斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

朝日新聞出版が辛酸なめ子さん、倉田真由美さんを"国民の代表"として皇室の結婚を批判させる"虚しさ"

前回書いた記事の続きみたいなものです。

皇室結婚絡みでの4年間のマスコミ報道・SNSを見る限り、皇室に婚姻の自由は不要と考える日本人は多いのだろう - 斗比主閲子の姑日記

これ以上書くつもりはなかったけれど、相変わらずマスコミ報道が酷かったので、ちょっとだけ書きます。

Twitterでもちょっと書いた朝日新聞出版による今回の結婚報道についてです。

相変わらず、朝日新聞出版は被害者が被害を訴えて以降も、表面的な両論併記の体裁を見せつつ、大量の記事を量産しています。

「小室圭さん」に関する記事一覧 | AERA dot. (アエラドット)

両論併記していればトンデモでも載せていいというのはマスコミがいつもやりがちなふざけた方法で止めたほうがいいと思いますが、それは今回は置いておきます。

私が特に気になったのは以下の二つの記事。辛酸なめ子さんと倉田真由美さんが書いたもの。

眞子さんと小室圭さんの「謂れのない物語」に国民は胸に手を当て…「虚しさを感じた」 辛酸なめ子(1/3)〈dot.〉 | AERA dot. (アエラドット)

小室さん眞子さん結婚会見「30歳のお2人は幼過ぎた! 小室圭さんいいとこナシ」倉田真由美(1/2)〈dot.〉 | AERA dot. (アエラドット)

どちらもご丁寧に結婚後の姓の変わった女性の名前でタグ付けするなどちょっとした執念を感じさせるのですが、中身も相当に頭が痛くなる内容です。

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※姓が変わった後の女性の名前でタグ付けされているのは現時点でこの二つの記事だけ。サムネイル画像は黒塗りしました。わざわざ顔を載せるのは好きじゃないので。

詳しく触れるのも憂鬱なので一部分だけ引用します。まずは辛酸舐め子さんの記事。

「感謝を表す言葉も多かった一方で、『謂れのない物語』といった強い表現も目立ちました。厳しい印象を受けたので、もう少し場の空気をやわらげるような言葉があっても良かったと思います。会見での強い言葉からは、信用できる人とできない人を分けている印象を受けました。私を含む国民一人ひとりが果たしてそのどちらだったのか、胸に手を当てて考えてみないといけないなと感じました」

(中略)

「『心の傷』という言葉からは、『これ以上、何も言わないで』という感じを受けました。眞子さんにとって、今まで目にしてきた意見はすべて誹謗中傷だったのかな……。我々国民は、『謂れのない物語』の中にいたんじゃないかという虚しさは感じましたね」

※太字は筆者

次に、倉田真由美さんの記事。

「眞子さまは、しんどかった話をたくさん盛り込んでいましたが、しんどかった話をされると、逆に私たち国民が責められているみたい。婚約会見から今まで、眞子さんがしんどかっただろうなというのは、傍から見ていて十分わかっていますよ。これをもって、眞子さんの会見は最後になるんだから、マイナスな言葉はあまり使わない方が良かったのでは? 恨み言を言いたい気持ちも分かりますよ。でも、婚姻届けを出し終えた結婚報告会見でしょ?」

(中略)

「恨み、辛みの言葉が印象に残って、国民にはなんだかドス黒いものが溜まってしまった感じですね」

※太字は筆者

どちらも加害者が被害者のつもりで書いているのは個人の問題ですから私が何かできることはないのですが、気になったのはお二方ともに自らを国民と称して、国民の代表のつもりでコメントをしているところです。

皆さんご存じの通り朝日新聞出版は朝日新聞の100%子会社です。私は比較的リベラルな人間なので、朝日新聞の報道は基本的に好意的に見ています。

朝日新聞出版は子会社だから、親会社と同じ方針で運営されるべきとは思いませんが、AERAの報道姿勢は基本的には朝日新聞準拠かなと思ってみています。同じキャンペーンを貼ることがあるのと、鼻持ちならないエリート臭は共通している。

子宮頸がんワクチンの報道でやらかしたのに、新型コロナワクチンで「医師1726人の本音「いますぐ接種」3割」って朝日新聞出版に反省はないの? - 斗比主閲子の姑日記

それで、その朝日新聞グループの朝日新聞出版がわざわざ辛酸舐め子さんと倉田真由美さんに「国民の代表」としての記事を書かせたわけです。

これに"虚しさ"を感じました。正直言って不快です。

私はこの件にまったく興味がなかったし、自由に結婚してもらえばいいと思っていました。

なのに、「私を含む国民一人ひとりが果たしてそのどちらだったのか、胸に手を当てて考えてみないといけない」「逆に私たち国民が責められているみたい」「国民にはなんだかドス黒いものが溜まってしまった」などと、勝手にこの件の当事者にさせられて、胸に手を当てて考えてみないといけないとか、責められているとか、ドス黒いものが溜まったと言われないといけないんでしょうか。

これらは、辛酸なめ子さん、倉田真由美さん筆者個人の感想です。ご自身の心の問題ですから、ご自由にご自分の心に向き合ってほしい。日本に住む人全員が同じようなことを考えているなんて代弁しないでほしい。

まあ、上の記事のコメント欄を見ると、この筆者たちに同調する意見が多いようですから、朝日新聞出版の媒体自体が結局のところnot for meってことなんですけどね。

今日はこんなところです。

皇室結婚絡みでの4年間のマスコミ報道・SNSを見る限り、皇室に婚姻の自由は不要と考える日本人は多いのだろう

私はn=1の出来事に心を砕かないように気をつけています。また、有名とされている人の結婚・妊娠・出産・離婚・死去にはまず反応しないようにしています。目に入れてもすぐに忘れるようにしています。

その私にとって、この4年間耐えてきたことがあります。それは日本の天皇家のとある人(女性)の結婚報道です。

私が見る限り、クオリティペーパーから大衆紙に至るまで、そしてすべてのテレビ局で、4年前の会見からこれまでの間にこの件を取り上げていないところがないのではないかと思うぐらい、ずーっと報道され続けていました。

やれ、皇室の配偶者としての品格がとか、家庭環境がとか、どんな仕事をしているかとか、主に配偶者がどんな人かに着目した報道が多かったと、私の消したはずでも僅かに残っている記憶からはそんな印象があります。

この報道にいつも興味を向けていて、とにかく何でも知りたがる天皇家が大好きな人であれば当然ご存知の通り、皇室において、女性の婚姻には制約はありません。

以下、皇室典範からですが、

第十条 立后及び皇族男子の婚姻は、皇室会議の議を経ることを要する。

婚姻でプロセスが必要になるのは男性だけです。皇族や現役の首相等衆参両院議長等が出席する皇室会議で過半数の承認が必要です。ということで、皇族男性は憲法24条で定められた婚姻の自由がない唯一の日本国民です。

個人的には男性であっても婚姻の自由は認められてしかるべし(憲法が優先されるべき)と思いますが、そもそも、何の制約もない皇族女性の結婚について、マスコミがこれほど"粘着"して報道する姿勢には本当に辟易していました。

SNSを見ても、マスコミ報道を受けた配偶者のプライベート情報を"餌"にして、あーだこーだ言っている人がたくさんいて、これもできるだけ見ないようにしていました。特に、最近の配偶者の髪型がどうのという話は本当に意味が分かりませんでした。

今時、自分の子どもに配偶者候補を紹介された親でさえも、その配偶者候補の髪型に文句なんか言わないですよね。まあ、いまだにツーブロックを禁止する学校の校則があるぐらいですから、娘の配偶者が現在の天皇のようなツーブロックをしてきたら激怒する人はいるのでしょうが。くだらない校則は親・地域住民の願望の反映ですからね。ツーブロックが嫌いで、下着の色チェックが大好きな親・地域住民がいるから、そういう校則が作られ、維持される。

話が脱線しました。

たぶん、マスコミにも、そしてマスコミが対象にする視聴者の多くにも、皇室の結婚は皇位継承問題がなくても格好のエンタメなんですよね。数字が取れるからマスコミは報道しているわけで。

あとは、宮内庁で200~300億円の予算があるから、「私達の税金がこんなところで使われている!」って憤っている人もいるのかな。そう思うなら、個人への地味な嫌がらせよりも皇室廃止を議論したらいいのにと私は思いますが、他人の物の考え方は変えられないものですから、これ以上は言いません。

いずれにしても、この女性の結婚が決まってほっとしました。もう目に入ったゴミを取り除く必要がなくなりますから。

ただ、ちょっと気になっていることがあります。それは他にもいる未婚の皇族のことです。

もちろん結婚しない、もしくは皇室典範以外の事情があり結婚できないということはあるでしょうから、全員が全員結婚するわけではないでしょうが、これだけマスコミ・一般国民のバッシングを見ちゃったら、その人たちは自分が結婚するときのことはめちゃくちゃ考えちゃいますよね。

ほら、自分の兄弟姉妹が連れてきた婚約者を親が品定めするようなことを聞いちゃったら、親のメガネに適う人を連れてこなくちゃいけないんだってハードル上がるのと似たようなものです。

その皇族の人たちがどう考えているかは私の想像力では限界がありますが、もし、次に皇族関係者が結婚するなんてことがあるとすると、マスコミの人たちが何の矜持もなく同じような報道をすることは容易に想像できます。特に婚姻の自由がない、男性皇族の場合は今回の比ではないでしょうね。

そんな未来が容易に想像できるのが多少憂鬱なので、今のうちに、この手の報道にまったく興味がない人間がいることを表明しておきます。

マスコミでこの手の報道する人は"今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます"。

「親ガチャ」は存在していて、個人の努力で解決するものじゃない派

本当かどうか分からないんですが、親ガチャって言葉が流行っているらしくて。意味は、ソーシャルゲームのガチャになぞらえて、どんな親の下に生まれるかもガチャガチャみたいで運の要素があり、それでスタートが随分違うってことっぽいです。

最近はうちの子どもたちもガチャの概念を覚えていて、「最初にいいカードが引けないならリセマラするといいってYouTuberが言ってたよ」とウマ娘をやっている私に教えてくれたりしました。リセマラはリセットマラソンで、ゲーム内でいいアイテム・カードが出るまでリセットを繰り返すという意味です。

この親ガチャという言葉がそれなりに支持を得ているのは、日本社会で経済格差・教育格差の固定化があり、親の学歴・経済状況次第で子どもの人生が大きく決まってしまうという社会背景があると分析する人がいるとか、いないとか。

中には、「親ガチャなんて存在しない」とか「親ガチャと嘆くのは甘え」みたいに、言葉や伝えたいことを否定する人もいるとか、いないとか。

流行り言葉ではありますが、せっかくなので私もこの言葉に関連して思ったことを少し書きます。

まず、私は「親ガチャ」という言葉が示す事実は存在していると考えています。というか、もう何度も富の偏在と教育格差のスパイラルが存在していることは根拠とセットで紹介していますから、ブログ読者の皆さんからすればそりゃそうだろうと思われるでしょうが。

日本でも教育格差があることを知りたい人は松岡さんのこの本を読んでみてください。

次に、親ガチャの要素は人生にあるとして、それを社会としてどう取り扱うかという観点では、私はこれも言うまでもないですが、個人の問題としないほうがいいというスタンスです。

中には自身の努力で親ガチャのスパイラルから逃れられた人もいるかもしれませんが、そういう人が当たり前にいるんなら、教育格差も富の偏在も長年固定化していません。

格差が固定化しているのを否定しているならまだしも、格差が固定化しているのが事実だと認めているんなら、解決策を"主に"個人の努力にするのは、結局格差の固定化がOKって言っているのと同じだと私は考えています。

努力を過信しすぎです。

「お前は何者にもなれない」「どこにもいけない」と子どもの頃から何度も刷り込まれて、心を折られ続けてきた人は自分の苦境を脱するための努力をする基礎体力がありませんから。努力をするのは、努力を認められ続けたほうがよっぽど楽にできるんですよね。習慣ですから。

ここから一気にn=1。

私たち夫婦はともに学歴があり、経済的にも豊かですが、私の子どもたちは、毎朝勝手に六時半に起きて、勝手に勉強して、用意された朝ごはんを毎日食べて、学校に通っています。毎日何かしらの本を読んでいます。西尾維新さんの物語シリーズの一冊を一日で読破することができるぐらいの読書家です。そういうのを見て、私は日々自分が格差の固定化を作っているなと感じながら子育てをしています。

私が子どもの頃に、学校で勉強しないで外でガラの悪い人と遊んでいる子は結構いました。その子たちは軒並み家庭環境は恵まれていませんでしたね。親御さんは大学は出ていないし、子どもの勉強は見ている気配はありませんでした。

ある子からは、母親が水商売で"パパ"を定期的に家に連れてくるから、家が落ち着ける環境でないとか、そういう話を聞いたりしました。割れた窓をダンボールで塞いだ、その子の家で女神転生をプレイしたのはよく覚えています。

n=1から戻ります。

私は選択的夫婦別姓制度もそうですし、同じような主張をずっと表明し続けています。理由は簡単で、世の中がそんなに変わっていないからです。選択的夫婦別姓制度は相変わらず導入される気配がないし、格差の固定化は解消されるどころか強まっているぐらいの状況です。

今の自民党総裁選では、経済格差を解消するための資産課税的なものを提案している候補が結構いるし、立憲民主党は以前からそのスタンスです。とても良いので、あとは実践されるのを期待したい。

個人が生きる上では自分にできる部分での努力をするほうが、望む環境を得られやすいのは事実です。それとは別に、努力できない人に支援を差し伸べられるのが当たり前の社会になってほしいので、私は同じようなことをこれからも何度も表明し続けるつもりです。

今日はこんなところです。

死亡5日前「鼻から牛乳や」、死亡前日「(食べたいものは)アロンアルファ?」、死亡当日「ねえ、薬きまってる?」

今年の3月の名古屋入管でのウィシュマさん死亡事件に関する最終報告書(『名古屋出入国在留管理局被収容者死亡事案に関する調査報告』)を読んでいます。

背景

報告書の中身に入る前に、この件が数字の上ではどう考えられるかを紹介します。n=1ではない話ってことです。

日本では、国外退去を命じられて、出入国在留管理庁の収容施設に収容される外国人が増加し、また、その収容期間が長期化傾向にあります。その収容施設は、環境の悪い刑務所みたいな場所です。

収容ってなんですか?弁護士に聞く収容問題 | 認定NPO法人 難民支援協会

詳しくは、国立国会図書館『退去強制手続における外国人の収容』を見てもらうといいんですが、2015年では収容期間6ヶ月以上の人が3割程度だったのが、2019年6月には5割になっています(下表)。

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収容中に死亡した収容者の国籍は、今回のスリランカ人のウィシュマさん以外に、ガーナ、インド、中国、ブラジル、韓国、フィリピン、ミャンマー、イラン、カメルーン、ベトナム、ナイジェリア、インドネシアと多岐にわたります。

そして、国連からは何度も収容対応・収容期間・収容期間中の処遇について指摘を受けています。法改正の議論もありますが、改悪する形で法案が提出されたため改正案は今年6月に廃案になっています。

「入管法改正案は改悪、廃案を」 学者ら505人が声明:朝日新聞デジタル

ということで、問題がある状態が続いているのが日本の収容施設です。なお、本当の背景には、日本の難民認定率の低さがあります。少し古いですが、5年前に私が難民支援協会の人とやり取りした内容を公開していますので、興味がある人は読んでみてください。

なぜ今、難民問題なの? 難民支援協会さんに聞いてみた ~6/20から表参道で写真展~ - 斗比主閲子の姑日記

入管職員が自分で調べて、自分で書いた調査報告書

ここからが本題です。

まず、この報告書は責任者が出入国管理部長で、入管職員が調査チームで、職員が調べてまとめたものです。

一応、外部の意見は取り入れているというものの、外部の有識者の一覧は別紙となっていて、その別紙は公開されていません。

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※画像は名古屋出入国在留管理局被収容者死亡事案に関する調査報告について | 出入国在留管理庁より

ということで、当事者が自分で調査して、自分で再発防止策等を書いたものになります。

調査報告書の中身からの抜粋

自分で調べた内容ということもあって、当たり前ですがお手盛りの可能性もあり、事実関係以外はあまり参考にならないと思いながら読んでいました。

で、以下は、入管でのウィシュマさんへの対応が不適切であったことが明確に分かる箇所です。気分が悪くなるかもしれないので、注意してください。

A氏がウィシュマさんです。

まず、ウィシュマさんが死亡する5日前の対応。

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鼻から牛乳というのは、嘉門タツオさんのヒット曲からですね。まともに座っていられず、嚥下もできないウィシュマさんを見て看守が言った発言。ユーモアに富んでいます。

次に、ウィシュマさんが死亡する前日の対応。

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もうトイレの移動も厳しいウィシュマさんに対し、希望する食事を聞いたときに「アロ・・・」という言葉に対し、「アロンアルファ?」と聞き返したもの。アロンアルファはこの入管職員にとっては食べ物なんでしょうね。

この情報だけでは分かりませんが、アローはジャガイモという意味なので、ジャガイモのカレーとかだったのかな。

最後は、ウィシュマさんが死亡する当日。脈が停止するのを確認する5時間前。

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ここまでですでに衰弱が見られて、言葉も正確に発せないウィシュマさんに対して、薬が効いているからそういう反応なんだろうと入管職員が言っています。家族であっても言わないだろう、非常にフレンドリーでフランクな話し方です。

以上、明確に不適切だと思われる箇所を抜粋しました。入管職員が自分で調査した資料で、自分たちに不利な情報が書かれているのは不思議ですよね。

荻上チキさんのSeesionで、ウィシュマさん遺族の担当弁護士さんが見解を述べられていて、ビデオに残っているから言い逃れができないからだろうということでした。

【音声配信】「収容中のスリランカ人女性ウイシュマさん死亡問題。最終報告書で明らかになった名古屋入管の問題点とは」▼指宿昭一×荻上チキ▼2021年8月11日(水)放送分(TBSラジオ「荻上チキ・Session」平日15時半~) | トピックス | TBSラジオ FM90.5 + AM954~何かが始まる音がする~

締め

ということで、今回は軽めにウィシュマさん死亡事件の最終報告書の中身を一部紹介しました。

加害者サイドが自分で調べて、しかも、外部の有識者が誰かも公開せず、事実関係を取りまとめて、再発防止策を書いたものですから、普通に考えれば参考になりません。

それでも明確に不適切な対応は確認できるので、これが常態化しているとすれば、収容されている人はもちろんのこと、働いている入管職員も強烈なストレスに晒されているんじゃないかと推測されます。

普通の感覚だと目の前の死ぬかもしれない人に対して、こういう対処はできません。脳みそで何かの感覚をシャットダウンしているからできることで、入管職員が仕事以外の日常生活をまともに営めているかが心配です。

いずれにせよ、第三者に改めて調査をしてもらいたいですね。その調査報告書が出てくるようなことがあれば、詳細をブログで紹介します。

夏休み明けの二学期には子どもが新型コロナに感染する前提で、学校にPlan Bを確認しておく(できればPTAも巻き込んで)

8月も後半にさしかかり、地域によっては今週から二学期が始まっているのではないでしょうか。

最近は、神奈川の塾でクラスターが発生したり、甲子園球児が試合の出場を辞退したりと、これまでは感染者が少なかった10代以下での新型コロナウイルスの感染例が目立ってきています。

実際、感染者数のグラフで見ても、例えば東京都で前例になく10代以下の陽性者数が増えていることが分かります。

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※グラフは、第48回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(令和3年8月18日)資料2-4 全国の新規陽性者数等及び高齢者のワクチン接種率等より

東京都の10代以下の人口は200万人強で600人ということですから、東京都でこの数字だとすると、実際に自分の子どもが感染するというケースはそれほど多くはないかもしれません。重症化は一桁台。

小児における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の現状と感染対策についての見解|公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY

とはいっても、実際に陽性になることもありえるでしょうし、また、文科省の現在のスタンスからすると学校が一斉休校になることはなさそうなので、

また、感染不安などを理由とした地域一斉の臨時休業については、子供の学びの保障や心身への影響、学齢期の子供がいる医療従事者等の負担等の観点を考慮し、慎重に検討する必要があること。特に、小学校及び中学校については、現時点で家庭内感染が大部分であることも踏まえれば、子供の健やかな学びの保障や心身への影響等の観点からも、地域一斉の臨時休業は避けるべきであること。

新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言等を踏まえた小学校、中学校及び高等学校等における新型コロナウイルス感染症への対応に関する留意事項について(令和3年8月17日) 

自分の子どもが陽性もしくは濃厚接触者として、学校に10日~14日間通えないという事態に遭遇する家庭も増えてくることでしょう。しかも、複数回感染することも否定できないわけで、そうすると一ヶ月間ぐらい学校教育に関われない可能性もありえます。

今回は、ちょっとしたシミュレーションとして、私だったら、子どもが陽性もしくは濃厚接触者になることを想定して、どのように学校側に対応を相談するか考えてみることにします。考え方として、子どもをリスクに晒さないために、学校に行かないという選択をしたときにもほぼ同じになります。

オンライン授業の対応方針を相談

まず、自宅待機中でオンラインで授業を受けられるかは事前に相談すると思います。

オンライン対応は地域・学校によって対応はまちまちで、日本の公立学校はかなり出遅れているものの、相談しておけばもしかしたら学校側が準備してくれるかもしれません。一縷の望みをもって相談しておきます。

実際のところは、ハイブリッド授業は相当難易度が高いのが分かっているので(私も仕事でやりましたがかなりキツい)、クラスや学年単位での一斉休校でもなければ、対応できないでしょうけどね。

私立ならお金出しているだけあって対応してくれるところは多いはずです。

自宅学習なら教材の受け渡し方法を確認

で、オンライン授業がないとなれば、去年の一斉休校時にあったようにプリント・宿題が大量に配られる可能性はあるでしょう。

正直プリントだけ配られて、しかも子どもが陽性かもしれない中で、30代~40代の親が子どものプリント学習をどこまでサポートするかというと、やらないほうがいいんじゃないかと私は思います。

が、いずれにせよ、学校が配るつもりなら配られることでしょうから、私だったらプリントの受け渡し方法を学校に確認しておきますね。

それこそ連絡帳みたいに近所の子ども経由とか、先生自らがプリントを手渡しするなんてことはありえないでしょうから、安全な受け渡し方法は確認しておくといい。

タブレットが配布されているなら、配信されている学習アプリをどう勉強するか指示があるかもしれない。

PTAを巻き込んで学校に公式スタンスを確認

実際のところは、多くの公立小中学校において、自宅待機期間中の子どもに対してオンライン授業もなく、自宅学習用の教材の指示も出ないんじゃないかと推測しています。

もし、学校と話すとしたら、親が一人で学校を相手にすると学校からすれば所詮はn=1ですし、また、それぞれの親から問い合わせがあると、ただでさえ忙しい学校側としてキャパオーバーになることも想像できます。

学校にアクションをしてもらうためにも、負担を減らすためにも、私だったら、学校側とのやりとりはPTAを巻き込んで進めます。PTAとして、陽性・濃厚接触の子どもに対する学校側の方針を確認するってことですね。知り合いの、比較的やる気のあるPTA役員に話します。PTA役員がやる気がなさそうなら、PTA経由は諦めます。

あと、学校が機能不全に陥ったときのことも、PTA経由で学校とは話しておくといいかなと思います。

例えば、学校の司令塔である校長・教頭が新型コロナウイルスに感染した場合に学校の日々の運営に問題がないかとか、職員室でクラスターが発生した場合にはどうするかとかですね。ここまで感染者が増えればありえる状況でしょう。

先生方のワクチン接種状況もさりげなく聞くかもです。教えてくれないだろうし、把握もしてないでしょうけどね。先生がどこまでリスクに晒されているかは分かっておきたいなって。

締め

以上、シミュレーションでした。

ご覧のように私は学校に任せるというより、自分から動いて当事者として学校とは接するスタンスです。学校に全面的に任せるというご家庭もあるでしょうし、この辺は色んな考え方がありますね。

ちなみに、地域によってはすでに休校を選択したり、夏休みの延長をしているようです。そういう学校は増えるんだろうな。

沖縄の小中高校、夏休みはいつまで?【随時更新 18日午後5時】 | 沖縄タイムス+プラス ニュース | 沖縄タイムス+プラス

いずれにしても、ここまで感染者数が増加しているとなれば、9月中に収束するという事態はなかなか想定しづらいかなと思います。2月3月の受験にも大きな影響が出るかもしれない。

学校へのアクション以外に、我が家は子どもへのワクチン接種の検討と自宅学習の環境整備をしておきます。

電通中間決算最高益の原因は、①研修所・運動施設の売却、②海外回復、③国内デジタル好調

電通の業績が注目されているようです。

電通中間決算は最高益 五輪効果、収益への影響は限定的:朝日新聞デジタル

電通がオリンピック・パラリンピックの広告事業を引き受けているのだから収益がいいに違いないという発想からのようですが、中間決算の中身を軽く見た限りでは、中間決算が最高益になっているのは、①研修所・運動施設の売却、②海外回復、③国内デジタル好調が原因です。

どうやって確認したかを簡単に紹介します。

損益計算書の内訳を確認

まず、今年の1-6月が最高益だということですから、電通が開示している決算書を確認して、どの利益項目で去年と差が出ているかを確認します。

損益計算書を下から眺めていくと、

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※文字の追記は筆者

営業利益で前年同期比で差が出ていて、それは固定資産の売却益291億円が効いているのと、粗利が300億円ぐらい改善しているのが効いているのが分かります。

固定資産の売却益は社員向けの運動施設と研修所の売却です。

電通グループ、都内の運動施設など売却 約300億円で: 日本経済新聞

セグメント情報の確認

では、粗利の改善は何が効いているのでしょうか。電通が開示している決算説明資料を見るとその分析があります。

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ご覧のようにDI(電通インターナショナル。電通の海外事業)の貢献と、DJN(電通ジャパンネットワーク。電通の国内事業)の貢献というのが見て取れます。北米・ヨーロッパを中心に今年の1-6月は景気が回復していたので、海外の広告が好調だったということです。

国内売上は会社別で内訳が出ていますが、デジタル領域の成長が顕著です。

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締め

ということで、電通の中間決算最高益の内訳は、金額が大きい順で①研修所・運動施設の売却、②海外回復、③国内デジタル好調ということのようです。

オリンピック・パラリンピックによる売上は7-8月にも一部計上されるかもしれませんが、少なくとも1-6月では利益の貢献は限定的に見えます。

ちなみに、電通は皆さんご存知の通り売上(収益)は海外55%、国内45%と海外の方が大きく、それもあって執行役員の半分ぐらいは外国人になっています。

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また、電通はこの5年ぐらいで成長率が下がっていて(今期は回復予定)、資産の効率性を示すROAも2019年2020年と二期連続でマイナスでした。

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ここ10数年の電通は、国内はデジタル領域に注力することで何とか売上を維持しつつ、海外企業を買収して海外売上を伸ばしてきたわけですが、ROEやROAは改善が見えていないため、資産効率改善を目的として本社ビルの売却を発表しました。

電通グループ、本社ビル売却益890億円: 日本経済新聞

電通というと国内の政府やテレビ局との関係が注目を浴びがちで、その観点だけで分析しようとすると限界があります。

今回三要素として取り上げた、資産効率性、海外進捗、デジタル事業の観点で眺めてみると、電通全体をより俯瞰的に見えるようになると思います。

今日は、こんなところです。ではでは!

日本の公立小中学校の体育館のエアコン設置率は5%

以下のグラフは去年の9月1日時点での文科省の調査結果です。

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予算が付いたことにより、ここ2~3年で普通教室のエアコン設置状況は大幅に改善しているのは見て分かるとおりです。北海道や青森のように設置の必要性が乏しいと思われる自治体があるので、この辺が限界でしょうね。

一方で、体育館でのエアコンの設置状況はあまり数字は上がっていません。上のグラフは幼稚園や高校まで含めた数字で、公立小中に限ると5.3%という状況です。

公立小中学校の体育館は子どもが利用する以外にも、災害時の避難場所としても利用されます。エアコンの効いていない夏場の体育館が避難だと、かなり地獄です。

恐らく体育館のエアコンはコストの面で躊躇があるのでしょうが、災害が頻発化する日本においては、公立小中学校等の体育館へのエアコン普及は後押しするものでしょう。

n=1で社会を語らない

しばらくブログの更新はお休みししていました。気になったことがあったので簡単に書いておきます。

どうやら集団を対象にした殺人未遂があったようで、そのニュースに対して、「○○という属性の人が窮地に追いやられていたことが原因だ」とか、「攻撃対象が○○という属性だったのはいつものことだ」とか、色んなコメントがSNSで流れていました。

個々人が何を思ってどういうリアクションをするかは個々人の自由ですから、私が何か言うつもりもないですし、何か言ったところで大して効果もありません。

ただ、私個人としては、何度も書いているように、n=1のニュースで社会を語らないように気をつけてはいます。

というのも、自分で言っているうちに、世の中に対して偏ったイメージを持つようになってしまうからです。(逆に、政党・政治家の政策・発言ではn=1でも、過去からの連続性で見るように意識しています。そうでないと見誤る。)

例えば、犯罪の認知件数はここ10数年以上に渡って減少傾向にあり、殺人事件もずっと減少しているのはご理解の通りですが、被害者でみれば男性も女性も等しく減少傾向にあります。

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※グラフは令和二年犯罪白書より

性別で被害者の特徴が出るのは、30歳未満の女性に対する強制性行等と強制わいせつや65歳以上の女性に対する詐欺です。そして、今回報道されたような加害者と被害者の事件が統計上増加傾向にあるとは私には確認できませんでした。

日本は驚くほど犯罪が減少している国なのは間違いありません。にも関わらず、n=1の事件で、加害者属性と被害者属性に着目して、同じような犯罪が多く行われているのではないかと思うと非常に生きにくくなります。

ほとんどの男性は犯罪をしていませんし、ほとんどの女性は犯罪に遭遇していません。妊婦が攻撃されるなんてことはまず起きません。

※とうとう子どもができたゴローさんとパウさん。ゴローさんの「妊婦がこんなに優しくされると思っていなかった」「ネガティブな話題ほど広がりやすい」「不安な気持ちも分かる」というくだりは良かった

当然ながら、どんな事件事故に遭うかは住んでいる地域によっても異なるわけですから、世界のどこかで起きていることが、自分の真隣で起きていることなんてほとんどありません。

そんなレアケースのn=1に脳みそのリソースを費やして恐れるぐらいなら、私は日々の生活での手洗いの励行を忘れないようにしたいと考えています。殺人事件や暴力の被害者になるより、病気に感染するほうが私によってはよほど可能性があるからです。

個人的に、日本の犯罪で着目している点は再犯率の高止まりです。

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初犯が減少しすぎて、再犯も多少は減っているものの減りきっておらず、日本の検挙人員の中で再犯者がほぼ半数を占めている状況です。

これ以上日本で犯罪を減少させようと思うなら、初犯をどうにかするより母集団がある程度絞れる再犯者に着目するほうがよほどコスパがいいんじゃないかと素人ながら考え続けています。

最後に、繰り返しですが、個々人がn=1の事件で色々考えるのは私は何も否定しません。ただ、その事件の国民の反応が大きいから、特定の政策を導入するなんてことは私は絶対に反対します。

この前もとある交通事故で首相自らが対策をとりまとめていましたが、私はこのような対応には反対です。

菅首相“通学路点検行い10月末めどに対策まとめ”|NHK 首都圏のニュース

というのは、児童の交通事故での死者重傷者数は、児童の人数の減少以上に減少傾向にあるからです。首相がやることは、重要な式典で自分が読む原稿がのり付けされていないか予め確認するとか、他にあるでしょう。

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※グラフは警察庁資料より

日本には残念なことに潤沢なリソースはもはやありませんから、ゼロリスクを目指すのではなく、他の問題と定量的に比較して、政治的には費やすべき分野を選んで欲しいと考えています。報道機関もどうにかしてほしいところです。

今日はこんなところです。

オリンピックにそぐわない言動で森氏・佐々木氏が辞任したように、障がい者を虐待していた小山田氏を組織委はすぐに解任したほうがいい

私は、キャンセルカルチャーは行き過ぎるとよくないし(だって私が見る限り90%以上の人は一貫性がないから)、過去の過失で敗者復活ができないのは社会が脆弱になると思っています。

私の好きな『ちはやふる』と末次由紀 - 斗比主閲子の姑日記

でも、今回の小山田さんの件は、前から分かっていたことなのに謝罪をしたのが自主的にではなく外野が盛り上がってからでした。その上、起用されるのがオリンピックという平和の祭典の重要な部分なわけです。

小山田さんが過去何をしたかは、なぜか日本の報道では詳しく書かれていないので、気になる人は海外の報道をチェックしてみてください。

Japanese composer who abused disabled classmates and forced them to perform sex acts remains involved in opening ceremony

He describes locking a disabled classmate in a box, taping a cardboard box around his head and pouring chalk inside, wrapping him in a mattress and kicking him, making him eat his own faeces, and forcing him to masturbate in front of other students.

障がい者への虐待です。

これがいかに問題かは、みなさんご存知の通り、今回のオリンピックの基本コンセプトの多様性と調和に関係します。

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※画像は大会ビジョンから。赤枠は筆者

私は、以前にも書いたように、他者を排除する姿勢は多様性を壊すもので、暴力的な言動は多様性には含めないスタンスです。

私は民主主義を愛してるので都構想支持者もトランプ支持者も許容する - 斗比主閲子の姑日記

小山田さんは雑誌でインタビュー対応をしてから20数年間で、いくらでも自身の過去の言動を省みる機会はあったはずです。バレて大事になったから謝罪しましたというのでは、多様性を尊重する人にはとても思えません。

私は興味がありませんが、オリンピックはその国がもっとも注目される機会の一つです。このまま組織委が小山田さんを起用し続けるようだと、日本は障がい者差別に寛容な国と思われることになります。それは、私は嫌です。

小山田さんは自身では辞任する意思はなさそうで(できない?)、一方で、組織委は解任する権限があるっぽいので、国外からのプレッシャーで判断するような最悪な状況になる前に、組織委が"自主的に"小山田さんを解任したほうがいいと思います。

組織委が小山田圭吾氏の留任明言 武藤氏「謝罪され、十分理解」 - 東京オリンピック2020 : 日刊スポーツ

今はむしろ、解任し、組織委が責任を取らないと、考えたくない事態になりかねない状況にあります。新型コロナへの政府対応含めて、ここまで溜まりに溜まった不満を個人で一手に引き受けている状態です。耐えられる人はまずいません。

実際、責任の所在はオリンピックの組織委にあります。もちろん、過去まったく対処をしてこなかった小山田さんには非はあるでしょうが、調べればすぐ分かるはずなのに、起用した組織委に明確に問題があります。

起用してしまったのは怠慢か、もしくは、民衆を馬鹿にしていたかのどちらかです。私の感覚だと後者です。

森さんのときにも、佐々木さんのときにも思いましたが、この国の偉い人たちは、女性であったり、障がい者であったり、弱者が本当に尊重されるべきとは信じていないんですよね。

もし、そう思っていたら、オリンピックが目前に迫る中で、オリンピックを主導する与党の国会議員がLGBT差別発言を平気で言ったり、

「種の保存にあらがう」 自民議員のLGBT差別相次ぐ:朝日新聞デジタル

夫婦別姓反対派の丸川さんを、よりにもよって男女共同参画担当相や五輪担当相にしないでしょう。これだけ"適材適所"なことはありません。

夫婦別姓「賛同しないで」 自民有志、丸川担当相も連名 | 共同通信

私からすれば、自民党でLGBT議論を主導し、夫婦別姓でも少なくとも議論の土壌に乗ろうとする稲田朋美さんのほうがよほど適任です。

世界の多様性の常識からすれば、まずありえない人選をし続けているんですから、人手不足でないとしたら、弱者はどうでもいいと考えているわけです。 

以上、この件で言いたかったことです。

私の過去の言動に一貫した形で記事を書きました。ハラスメントを許容する傍観者になりたくないので、意見を表明した次第です。

「女性がたくさん入っている会議は時間かかる」「女性はいくらでもうそをつけますから」が冗談として機能しない世の中にするために「傍観者」にはならない - 斗比主閲子の姑日記

なお、繰り返しですが、私は個人の存在を認めつつ、それはそれ、これはこれで、言動を批判するスタンスです。

どんなに優秀だったとしても、パワハラ・セクハラをしていい免罪符にはならない - 斗比主閲子の姑日記

小山田さんの音楽は意識して聞いたことはありませんが、今回の件で本人の"存在"が否定されるものではないと考えています。他者の存在を否定した人であっても、批判されるべきはその人の言動。

現状は、言動に限らず、小山田さん個人の存在も否定している意見が散見されます。恒例の、被害者意識のある加害者が大量に出ている状態です。「あんな酷いことをしたんだから、こっちも酷いことをしていい」というもの。

被害者意識 の検索結果 - 斗比主閲子の姑日記

ある人がハラスメントをしたとして、その人にハラスメントをする免罪符を周囲の人が得られるなんてことはありません。

ジュニアNISAの利用割合は約2.5%、金額は平均で50万円程度、投資信託が約6割

ジュニアNISAの口座数は今年3月末時点で50万口座だそうです。買付額は約3000億円だから、平均で50万円程度の利用になります。

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※画像はNISA・ジュニアNISA口座の利用状況に関する調査結果の公表について:金融庁から

ジュニアNISAは20歳未満が加入できますから、日本でいえば約2000万人が対象になります。50万口座ということは、2.5%の子どもしか利用されていないことになります。

また、平均買付金額も50万円というのは、年間80万円の5年間で合計400万円投資できて制度は2023年度に終わることからすると、フルに利用されていないだろうことがうかがえます。

以前に書きましたが、我が家ではジュニアNISAをフルに活用しています。ついでに、金融教育用途にも使っています。

我が家のジュニアNISAは米国株45%、先進国株40%、新興国株5%、国内株5%、ひふみプラス5%(合計100%) - 斗比主閲子の姑日記

読者さんからのモヤモヤメールでもジュニアNISAを利用されている人が非常に少ないというのは分かっていました。数字としてせいぜい2.5%しか口座を保有していないことからすると、我が家は相当マイノリティだったんだなと改めて思いました。

まあ、確実に使うことになる学費をリスクを取って運用するというのは日本人の感覚には合わないですもんね。だから、もともとお金に余裕がある家で利用されているのでしょう。

まだまだ運用はし続けるので今の金額を見てどうこう思うのは無意味でも、しっかり運用益は出ていますし、私が狙ったとおりに、我が家の子どもたちのジュニアNISA口座では、日本株と新興国株アクティブファンド(ひふみ)は先進国株に評価益でかなり負けています。

自分の中では確定拠出年金もNISAもすごく当たり前のものになっていたけれど、世の中は必ずしもそうではないようなので、ジュニアNISAで金融教育を狙っていること含めて、超少数派であることは自覚しておきたいなと思いました。

入社3ヶ月の新人を、一人で、立入禁止の場所に送り込み、取材方法も教えず、バレたら身分をはぐらかすよう指導してたって、どんな極悪企業

なぜかGoogleの検索エンジンに引っかからないように設定されている、北海道新聞の社内調査報告書を読みました。

旭医大取材の本紙記者逮捕 社内調査報告:北海道新聞 どうしん電子版

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※noindexを設定するとGoogleは検索結果にそのページを表示しない

私は調査報告書には目がない一方で、関電の第三者委員会の調査報告書(2020年3月)東芝の調査報告書(2021年6月)も、まともにこのブログで紹介しきれていなかったので、北海道新聞の調査報告書も積ん読しようかと思ったのですが、

会員登録しないと調査報告書が読めず、また、検索エンジンにも引っかからないようになっていると知り、これはきっとGoogleドライブ上で公開され、ダウンロードも印刷も禁止になっていた聖マリアンナ医科大学の調査報告書以上に他人に見てほしくない調査報告書なのだと俄然好奇心が湧き、読むことにしました。

読んだ感想としては、調査主体が誰か分からず、社内だけで完結している調査なので主観と客観がごっちゃで、再発防止策も具体的に触れられていないし、最後に今後も事件にひるむことはないと書いちゃっているので、調査報告書としては程度の低いものだと思いました。調査報告書というより弁明書です。記事を書くプロである新聞社が書いたものとはとても思えないクオリティ。

クオリティの低い調査報告書であることは置いておいて、私が読んでいて気になったのは逮捕されたとされる入社3ヶ月の新人記者への会社の指導方法です。まともな指導がされてきていないというのが調査報告書を読んでいるだけでも推測できました。

新人社員の所在を把握していない報道部

まず、逮捕された記者は、会社から現場にいることが認識されていませんでした。以下、調査報告書からの引用です。

旭医大は6月22日午後3時から、吉田晃敏学長の解任問題を議論する学長選考会議を校内で開きました。

節目の会議だったため、北海道新聞の4人を含む報道各社の記者が、会議を終えた選考委員に取材するため大学の敷地内で待機していました。

午後3時50分ごろ、旭医大は報道各社にファクスで、会議終了後の午後6時に同大中央玄関前で記者団の取材に応じることを通知。文書には新型コロナウイルス感染防止のため、構内への立ち入りを禁止していることも記載していました。

大学から通知を受け取った報道部では、現場取材の責任者(キャップ)ら3人の記者に通知をメールしましたが、現場に入社1年目の記者もいることを把握しておらず、この記者には送りませんでした。

※太字は筆者

入社して3ヶ月程度の新人社員がどこで働いているかを把握していないというのは、かなり杜撰じゃないでしょうか。スケジューラーに入れたり、同行者の確認とか普通はしませんか?

新人を単独で立入禁止の場所に取材方法を教えずバレたら身分をはぐらかすよう指導

極めつけは、その新人社員への取材のさせ方です。こちらも調査報告書からの引用です。

新人記者を単独で校舎内に立ち入って取材させたことにも問題がありました。この記者が旭医大問題を取材するのは22日が初めてで、取材経験の浅い記者に校舎内に入るよう指示した理由について、キャップは「経験を積ませたかった」としています。

的確な指示がなかったため、記者は一部の先輩記者から聞いた体験談をもとに、自分の判断で会議内容をスマートフォンで無断録音していました。北海道新聞は取材のルールを記した「記者の指針」で、記者の倫理上、無断録音は原則しないと定めていますが、指導が徹底されていませんでした。

職員に見つかった際も、すぐに北海道新聞記者と名乗り、取材目的であると告げるべきでしたが、動揺していたこともあって、できませんでした。キャップや別の記者から、校舎内で身分を聞かれても、はぐらかすように言われていたことも影響しました。

※太字は筆者

構内への立入禁止のメールを受けていない新人社員に、「経験を積ませたかった」という理由で単独で校舎に立ち入らせ、指示がなかったから取材方法として禁止している無断録音に至り、あろうことかバレたら身分をはぐらかすように指導していたというわけです。

こんな企業ってありますかね。指導不足というより、もはや新人いじめ、ハラスメントじゃないでしょうか。

新人に度胸試しで一人で名刺配りをさせる地雷企業がありますが、さすがにそんな企業でも立入禁止の場所に新人を一人で送り込んで、何をどうしたらいいかを教えず、また身分を隠すようになんて言いません。

こんなやり方で積んだ経験が長く生きるはずがないわけで、会社として人材を長期育成する気が甚だしく欠けていると思いました。そう思って、社員のレビューを見たら、やはり人材の長期育成は2点(5点満点)と低評価でした。

想定される再発防止策は?

こういう状況だとすると、北海道新聞が一切触れていない再発防止策としては次の内容が考えられます。

  1. 社員の所在把握のためスケジューラーへの所在入力の徹底
  2. 従業員への「記者の倫理」教育の再指導。特に年次が上の社員を中心に
  3. 経験の浅い社員にはワンオペさせず、「記者の倫理」の把握状況を確認の上、適宜単独取材の時期を検討
  4. 社内でのハラスメント通報が適切に運用されているかの確認

私はメディア業界には詳しくないので素人が思いついたものですが、特に2番目と4番目は一般企業としても重要だと思います。事務次官がセクハラをしていた財務省でも幹部に対してセクハラ研修をしていました。

財務省でセクハラ研修 講師「世の中の常識とズレてる」:朝日新聞デジタル

締め

繰り返しですが、私はメディア業界に所属しているわけではないので、論点になっていた「この程度で逮捕するのは権力によるメディアの弾圧だ」という点もあまり答えを持ちません。

気になっているのは、この新人に対するハラスメントとも考えられる指導方針です。

あんまり言いたくないけど、大学生と間違えられる年齢の記者(22歳)に、あえて何も伝えないで送り込んで、記者が若い女性だから無茶しても有耶無耶にできるなんて現場の経験のある記者たちは考えていたんじゃないかと穿って見てしまいます。

報道機関としての再発防止策は置いておいて、これをきっかけに社員の働き方改善、特に新人指導の方法は見直したほうがいいんじゃないかと思いました。

若者であること、女性であることは搾取していい免罪符では決してありません。

「人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証し」の五輪だから観客は必要だよね!

日本学術会議と違って明確に政府に任命権がある、内閣官房参与や政府の新型コロナウイルス感染対策分科会の委員が多数名を連ねている『コロナ専門家有志の会』が東京オリンピック・パラリンピックへの提言を出していました。

2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に伴う新型コロナウイルス感染拡大リスクに関する提言|コロナ専門家有志の会

政府がしっかり人選した方々が出された提言ですから、私は現在の日本政府を信じているので、同様にこの提言もしっかり読まないといけないと思い、熟読しました。

文章も分かりやすいし、スライドも伝えたいことがコンパクトにまとまっていたので、未読の人はぜひ目を通してみてください。たぶん、医療の専門家ではなく、ネットでの広報のプロを起用しているはずです。とても分かりやすい。

私が興味深かったスライドを3つ紹介します。

1つ目は日本とイギリスの人口10万人あたりの新規感染者数推移を比較したもの。イギリスはワクチン接種率が30%から43.9%まで上がっていても、感染者数がここまで増加しているとは知りませんでした。イギリスの新規感染者のうち9割ぐらいが後述するデルタ株に感染しているらしい

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2つ目は日本での実効再生産数のグラフ。ものの見事にイベントがあるとスパイクしてますね。オリ・パラは2週間も続くから、イベントが大規模である以上、何も影響がないなんてないよなーと思う。

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3つ目は、五輪を開催したときにデルタ株の影響を分析したもの。イギリスでも猛威を奮うデルタ株の影響を考慮したときのグラフの伸びが凄い。これ、右側のグラフをしっかり上まで載せたらどこまで行くんだろう……?

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これ以外のスライドもメッセージがとても分かりやすいので、長い文章を読むのが苦手な人はスライドだけでも専門家のみなさんが言いたいことが十分伝わるはずです。

次のスライドなんかは誰でも思いつく話ですよね。

まさか、政府を含めた主催者がこんな当たり前のことを認識していないのか、わざわざ専門家が指摘しないといけないことなのかと、ちょっと馬鹿にしすぎなんじゃないかと思うぐらいです。

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まあ、特に菅首相は、安倍政権下の官房長官時代に、アベノミクスといって金融政策・財政政策で市中にお金をじゃぶじゃぶ流しつつ、一方で消費税を増税しちゃうという、アクセルとブレーキを同時に使って、結局相殺させるという神がかりな政策を横で見てきたのですから、

オリパラ開くよ、でも、静かに盛り上がってねという一見すると矛盾するメッセージを出すのも、総合的・俯瞰的にみればおかしなことではないのでしょう。

スライドの最後の方は、五輪が開催される前提で、感染拡大リスクを軽減するための政府・大会主催者への提言がされています。

1つ目のスライドは政府への提言。経済的支援の強調と、感染拡大したときの準備をしてねというもの。

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2つ目のスライドも政府への提言で、開催直前・開催中でも強い対策を行うこと。たぶん、オリンピック期間中に緊急事態宣言を出すのは恥だと日本政府は考えるだろうことを想定して釘刺ししてる。

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3つ目のスライドは大会主催者に対するもの。規模の縮小と無観客の推奨。客を入れるにしても基準を厳しくすること。

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4つ目も大会主催者向けで、対策と観戦スタイルのアナウンス。

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以上、ざっと抜粋してみました。

たぶん、これらを見て、人によっては「開催する前提で提言がされているのはしょせん御用学者」「最後まで開催拒否を貫いてほしい」と考える人もいるでしょう。

私は、この規模のイベントの開催までもはや1ヶ月程度しかない中で、学校の運動会や文化祭のように「やっぱやめます」なんて判断がされるはずがないと考えているので、専門家の皆さんが開催を前提とした提言を取りまとめられることには違和感はありません。そもそも、専門家の皆さんには五輪開催を判断する権限は一切ないのですから。

単に開催に反対し続けて、大規模な対策が手薄で五輪が開催されて、感染者数が増大するなんてことになれば、専門家であるからこそ悔やみきれないものでしょうし。

常識的に考えれば、提言のうち無観客試合にするのは経済的な打撃は大したことないですし、割と実行しやすいと思うんですが、私の予想だときっと普通に観客は入れちゃうんじゃないかなと考えています。

というのも、もともとこの東京五輪は、東日本大震災からの復興を世界にアピールすると言っていたのが、途中から、人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証しとして行われることになっちゃったので、無観客だと絵面として打ち勝った感じが損なわれちゃいますから。

絵面は大事ですからね。絵面さえ良ければ支持は得られるものです。

良い絵面をオリンピック期間中にバンバン流せば、政権への支持率も回復して、五輪後に予定されている衆議院選挙も勝てるでしょうし。

そういう意味では、今のところ五輪開催に批判的な報道をしている各種メディアが、どこまで五輪を抑制的に報道するかは注目しています。専門家のみなさんもメディア向けに提言しているように。

オリンピック・パラリンピックの際の感染対策を涵養する報道様式についての要望書|コロナ専門家有志の会

1. 人流を抑制するための報道の工夫

「パブリック・ビューイングで熱狂する観衆」や、「地元出身の選手の活躍を皆で集まって応援する人々」、さらには「沿道でマラソンを応援する観衆」といった映像や記事は、現代ではオリパラの報道を構成する要素になっています。しかし、こうした慣習化した報道は、人々に感染症対策のうえで脆弱な行動を喚起しかねず、今回は避けられなければなりません。

2. 自宅での応援スタイルの涵養と普及

上と関連しますが、感染症対策との両立を考えれば、今回のオリパラが実施されるならば「メディア<だけを通じて経験する>イベント」に留める必要があります。そのためには、競技を見守る人々が、一体感も感じつつもそれぞれの自宅にとどまって応援するような報道を実現せねばなりません。

ハロウィンの渋谷のDJポリスの報道みたいな馬鹿騒ぎは、どのメディアもしないんじゃないかなと期待しています。

アメリカだと保守層のワクチン接種拒否率が低いようだけれど、日本では傾向はあるのだろうか

アメリカ(北米)では何でも統計取っちゃって凄いですよね。数字が当たり前のように取られて、数字で議論されるのはとても羨ましく眺めています。

NPRの今年3月の世論調査では、新型コロナウイルスのワクチン接種について、共和党支持者、トランプ支持者、大学を卒業していない白人、福音派の白人などなどがワクチン接種に否定的な割合が高いというのが傾向として見て取れます。

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※出所:Poll: Vaccine Hesitancy Near Equal Among White And Black Americans : Coronavirus Updates : NPR

上の調査では数字に出ていませんが、黒人のほうがその他の人種に比べワクチンに懐疑的だという数字もあって、カマラ・ハリス副大統領が黒人の多いスーパーマーケットにキャンペーンに行ったりもしているそう。

このようにグルーピングは資源の投入を効率的に行うために有効です。地域や人種や宗教の特殊性を考慮しないで、均一の方法で対応しようとしても(均一で対応するのも大変だけど)、大きな差が出ちゃいますから。日本の小学校で算数の少人数学級が行われているように、ある程度のカスタマイズは必要です。

一方で、グルーピングを見て差別的な発想を持つ人はいます。トランプ支持者は非科学的だとか、黒人はやはり劣っているだとか。実際は、トランプ支持者でもNPRの数字上はワクチン接種拒否率は47%だし、黒人も全員がワクチン接種拒否しているわけでなく歴史的な背景もあります。アメリカの黒人への人体実験です。

CNN.co.jp : ワクチン接種ためらう一部の黒人や中南米系、不信感の要因とは 米

歴史は一部の黒人に暗い雲を投げかけている。

1932年から72年にかけて行われたタスキギー実験では、梅毒患者399人と非患者201人の計600人の黒人男性を対象に、死亡したり重い健康問題に苦しむ男性を治療しないまま、病気の進行を追跡調査した。

また歴史的に、黒人奴隷は医師によって薬や手術方法の実験材料に使われ、合併症や死を経験してきたという経緯もある。

私も、仲良くしているアメリカの黒人男性から「家族は人体実験を疑っていてワクチン接種しないって言っているんだ」という話を先月ぐらいに聞きました。根強いものがあるのでしょう。

そういう観点で、接種の進む日本での接種拒否層というのは政治信条・宗教・性別・年齢・地域等でどういう傾向があるのかという数字を見てみたいんですが、寡聞にも見つけることができていません。知っている人がいたら教えてください。

私のママ友でワクチン接種の拒否を公言している人(n=1)は、いわゆるナチュラル志向で、新型コロナウイルスのワクチンだけではなく、一般の予防接種にも否定的だし、"白"砂糖の接種が健康に悪いみたいなことを信じている人です。院卒で就業経験はあります。

次の記事で、自治体に電凸しているFacebookグループがあったので、せっかくだからとグループに参加している人たちの属性を眺めていました。

コロナワクチン、年少者接種に抗議殺到 戸惑う自治体、背景にSNS―過激化も:時事ドットコム

ざっくり見た感じでは、学歴は短大・大卒以上が多そう、男性より女性が多そう、陰謀論を信じていそうっていう感じの傾向でした。私のママ友と同じくナチュラル志向もありそう。

ワクチンを接種するかは本人の自由ですから、その人がワクチン接種をしようがしまいが他人が何か言えるものでもなく、私も何も言いません。ママ友だってそうだし、私の親族に対してだって同じ。

ただ、私のママ友は暗に他人にワクチン接種をしないように示唆していましたし、自治体に電凸している人たちは他人のワクチン接種の機会を奪うことに必死になっているので、それはダメだと考えています。表現の自由はあるけれど、他人の表現の自由を制限する表現はダメってのと同じ理屈。

日本では同調圧力がありますし、保守層が支持者の自民党が政権を取っていてワクチン接種を推奨していますから、今後もワクチン接種率はしばらくは上昇していくことでしょう。一方で、ワクチン接種がいちはやく進んだアメリカでも、州によっては未だに接種率が30%に満たないところもあるようです。70%の接種には程遠い。

いかにもアメリカ的?米ワクチン接種「あの手この手」 | 米国社会のリアル | 樋口博子 | 毎日新聞「経済プレミア」

日本政府はマイナンバーカードの普及であの手この手で政府がキャンペーンをしているように、今後の接種件数が停滞することがあれば様々な施策を打たざるをえなくなるはずです。

キャンペーンを非効率にすれば税金の無駄遣いですから、どういう層でワクチン接種拒否率が高いのか、そして、その層に対してはどのようなアプローチが有効なのかというのは調査した上で、PDCAを高速回転してほしいなと願っています。

日本政府の発信する情報を"正しく"理解すれば新型コロナは実は大したことはない

最近考えてたんですけど、たぶん、こういうことだなって分かったんで書きます。日本政府、または自民党や日本維新の会の政治家の言動を"正しく"理解すれば新型コロナウイルスは大したことはないんじゃないかって。

まず、去年の12月に5人以上の会食を控えるように西村経済再生相が言っている最中に、相次いで自民党系の政治家が5人以上の会食をしていました。

自民党系政治家による今年12月14日以降の5人以上の会食集 - 斗比主閲子の姑日記

ちなみに、上の記事は更新していませんが、その後も1月、2月と与党系の政治家の会食は頻発していました。この時点で変だなと思ったんですよね。

石破氏が9人で会食、緊急事態宣言の開始日 文春報道 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル

感染拡大の宇都宮で市議20人が会食 「危機感ない」自民関係者も批判 | 毎日新聞

与党議員の銀座クラブ通い、首相が陳謝「しっかり対応」 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル

自民党・白須賀衆院議員 緊急事態宣言下に麻布「高級ラウンジ通い」写真 | 文春オンライン

で、今年の4月~5月に大阪での感染者数・重症患者数の増加で医療の逼迫状況が伝えられ、緊急事態宣言が発令されることになっても、日本維新の会・大阪維新の会の吉村知事は医療崩壊はしていないと主張し続けていました。ここでも、「え、そうなんだ……!?」と少し驚きました。

吉村知事「医療崩壊」に語気荒らげ反論「厳しい医療体制とは申し上げた」 - 社会 : 日刊スポーツ

「医療崩壊を招いた責任についてどう思うか」の質問には「極めて厳しい医療体制であるとは申し上げた。いまも医療従事者のみなさんが命を守る活動をしてくださっている。僕自身が“医療崩壊”だと言うことではないと思っている」と語気を荒らげ、反論し、「医療体制が極めて厳しい状況にあるということを府民のみなさんにお伝えする必要がある」と話した。

極めつけは今年の6月初旬でのオリンピック開催についての一連の報道です。

感染症の専門家で、西太平洋でのポリオの根絶やWHOでSARS対応にもあたった、現在日本で首相と並んで対応にあたっている尾身茂さんの「今オリンピックを開催するのは普通ではない」という発言に対して、

【速報】尾身会長「今の状況で五輪開催は普通はない」 規模の最小化促す|TBS NEWS

自民党の厚生労働大臣の田村さんはあくまで自主研究とリアクションし、

尾身氏見解は「自主研究の発表」田村大臣、非公式の認識 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル

同じく自民党の五輪担当相である丸川さんは、

東京五輪 丸川氏、立場の違い強調 尾身氏の「何のため」発言に | 毎日新聞

丸川氏は「我々はスポーツの持つ力を信じてやってきた。別の地平から見てきた言葉をそのまま言ってもなかなか通じづらい」と開催の意義を訴えた。

と、端的に言えば「何を言っているか意味がわからない」とコメントしていました。私からすれば、丸川さんのスポーツの力を信じるって言葉のほうが通じづらいんですけど、ここでも、「あれ、もしかしておかしいのは私なの?」と思いました。

ちなみに、特に自民党と関係はなく、脳科学者の茂木健一郎さんという人が(有名人?)、確実に世界レベルの感染症の専門家と思われる尾身茂さんを何の専門家か分からないと言っていたのが報道されていたり、

茂木健一郎氏、尾身茂会長をバッサリ「一体何の『専門家』なのか。道徳か?」(スポーツ報知) - Yahoo!ニュース

東京五輪で多くのアウトソーシング業務を受託している人材派遣会社のパソナの会長をしている、経済学者の竹中平蔵さんが尾身さんを越権行為と批判していたり、

竹中平蔵氏 尾身会長の五輪発言を批判「明らかに越権」「ひどい」/芸能/デイリースポーツ online

ちょっと前ですけど、今年5月に政治学者の三浦瑠麗さんが尾身さんを"宗教指導者"と呼んだりしているのも見かけて、

三浦瑠麗氏が緊急事態宣言解除を主張 延長示唆の「尾身さんは“宗教指導者”」 | 東スポのニュースに関するニュースを掲載

感染症の専門家とはとても思えない脳科学者・経済学者・政治学者が、感染症の専門家として類まれなる業績がある尾身さんをここまで否定しているんだから、もしかしたら、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会で会長を勤めている尾身茂さんの発言のほうが間違っているのかも知れないと思い始めました。

というわけで、

  • 貴重な人材である与党政治家は会食をし続けていたし、
  • 大阪は緊急事態宣言化で医療が逼迫していても医療崩壊はしていなかったし、
  • 政府が起用している感染症の専門家の発言を現役の閣僚や専門外の人々が否定していたりするし、
  • こんな状況でもオリンピックは開催される前提で粛々と準備が進んでいるのだから、

一連の情報を"正しく"理解すれば実際は新型コロナは大したことはないんじゃないかと思ったわけです。

人によってはとっくに気付いていたんでしょうね。緊急事態宣言が出ていても飲み会に行く人がいるわけです。

尾身会長「自粛している所にお祭りの雰囲気をテレビで見てどう思うか」 - 五輪一般 - 東京オリンピック2020 : 日刊スポーツ

以上、本題でした。

余談

以下、特に本題とは関係ないですが、最近読んだ記事です。興味がある人はどうぞ。

コロナで重症化 約半数の人がイメージ持てず 東大など調査 | 新型コロナウイルス | NHKニュース

コロナ自宅療養に殺されかけた話|工藤スナッフ|note

【ご報告】コロナに罹ってましたが無事帰ってきました : デレステ速報 ~デレ速~

「次々に亡くなった」25人死亡の老人保健施設 職員が語る実態 | 新型コロナウイルス | NHKニュース

ウメハラ「無事帰ってこれましたけど……死ぬかと思った」 新型コロナから回復、コメント欄が「おかえり」に染まる(1/2 ページ) - ねとらぼ

「当たり前の医療ができない」「仲間を守れるのか」大阪・看護師たちの悲鳴 | 文春オンライン

39度でメモ途絶え…特殊清掃業者が見た自宅療養の現実(1/2ページ) - 産経ニュース

WEB特集 夫も兄もコロナで死んだ「私が殺したんや」自分を責める日々 | 新型コロナウイルス | NHKニュース

コロナ隔離病棟で泣き叫びそうになった話|あらいちゅー@馬主で大家で占い師|note

コンペ後の会食で半数が感染「私の体験と反省を反面教師に」 | 新型コロナウイルス | NHKニュース

「私はコロナをなめていた」一時重体 後遺症に治療法なく | 新型コロナウイルス | NHKニュース

一応、日本政府が表向き発信している情報も載せておきます。

新型コロナウイルス感染症に備えて ~一人ひとりができる対策を知っておこう~ | 首相官邸ホームページ

ちなみに、現時点での日本での新柄コロナウイルスでの死亡者数の累計です。例年の交通事故の死亡者数/年の3-4倍ぐらい、自殺者数/年の半分ぐらいの水準になっています。

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※出所:新型コロナウイルス感染症について|厚生労働省

昨年は年間死亡者数が減少するという極めて特殊な状況でした(肺炎、新型インフルエンザ、交通事故などで減少)。今年はこれだけ新型コロナウイルスでの死亡者数が増加しているのと、救急医療体制の逼迫度合いから考えれば、年間死亡者数はさすがに減少することはないんじゃないでしょうか。

新型コロナ: 年間死亡数11年ぶり減 コロナ対策で感染症激減: 日本経済新聞

東京五輪パラ選手村はお酒の持ち込みが自由で、選手にコンドームが16万個配られる

心温まるニュースがありました。

五輪パラ選手村ではお酒の持ち込みが自由だそうです。

五輪パラ選手村で酒類持ち込みが可能と判明「選手同士の交流の場」規制せず : スポーツ報知

組織委の選手村担当者は、酒類に関し「組織委自らがお酒を提供することもなければ、村内での販売もない。ただし持ち込みは可。祝勝会などの要望があればケータリングとして届けることもできる。理由としては、選手村はもともとが異なった国の選手同士の交流の場なので」と説明した。

あと、前から報道されていたとおり、コンドーム16万個(ソースによっては15万個)が選手に配布されるそうです。

【東京五輪】日本コンドーム工業会 選手村配布の意義「情報発信力あるアスリートへの啓発」 | 東スポのスポーツ総合に関するニュースを掲載

五輪選手村ではHIV(ヒト免疫不全ウイルス)の感染予防を目的に1988年ソウル大会から配布する習慣が始まった。新型コロナウイルス禍の今大会においては「濃厚接触を助長する」との批判もあるが、大会組織委員会は「選手村で使うというものではなく、母国に持ち帰っていただき啓発にご協力いただくという趣旨・目的のもの」と説明している。 

選手村でのコンドーム配布は、建前では、情報発信力のあるアスリートへのお土産ということになっていますが、実際のところは選手村では70-75%の選手が性行為をしているという証言もあるなど、性病への感染予防というのは知られた話です。

Athletes spill details on dirty secrets in the Olympic Village - ESPN The Magazine

"There's a lot of sex going on," says women's soccer goalkeeper Hope Solo, a gold medalist in 2008. How much sex? "I'd say it's 70 percent to 75 percent of Olympians," offers world-record-holding swimmer Ryan Lochte, who will be in London for his third Games. "Hey, sometimes you gotta do what you gotta do."

常時のオリンピックであれば、酒類の持ち込みもコンドームの配布も恒例行事として問題ないのでしょう。少なくとも、オリンピックを長野五輪以降まともに見たことがない私にはどうでもいい話です。

ただ、一部地域で緊急事態宣言が発令されている日本で、そして、選手・役員向けプレイブックでも濃厚接触は避け、ハグや握手でさえ禁止しているのに、酒類の持ち込みは自由で、恒例通りコンドームを配布しているというのは、少々理解が追いつきません。

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※プレイブックのp.6

食事でさえ2mの距離を保てと書いているのに、お酒が持ち込めて、コンドームも配布しているとなれば、私だったら、「そうか、距離を保てというのは建前で、実際は、仲間とお酒を飲んでワイワイしていいし、性行為ぐらいは許可されているんだな」と理解します。「心が弱い人ならば、とても耐えられないだろうな」とも。

恐らく、私などには想像がつかない、高度な判断が行わているのでしょう。頭のいい人の考えは常人の発想を超えていきますね。

そこまでの知性があるなら、国民へのワクチン供給が世界でも最低水準にならなかったと思いますが、これも常人には理解できない思惑があるのでしょう。

酒類やコンドームは氷山の一角に過ぎず、このままきっと常人には理解の及ばぬレベルで安心・安全な五輪パラが開催されるはずです。今からとても楽しみですね!