斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

アメリカだと保守層のワクチン接種拒否率が低いようだけれど、日本では傾向はあるのだろうか

アメリカ(北米)では何でも統計取っちゃって凄いですよね。数字が当たり前のように取られて、数字で議論されるのはとても羨ましく眺めています。

NPRの今年3月の世論調査では、新型コロナウイルスのワクチン接種について、共和党支持者、トランプ支持者、大学を卒業していない白人、福音派の白人などなどがワクチン接種に否定的な割合が高いというのが傾向として見て取れます。

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※出所:Poll: Vaccine Hesitancy Near Equal Among White And Black Americans : Coronavirus Updates : NPR

上の調査では数字に出ていませんが、黒人のほうがその他の人種に比べワクチンに懐疑的だという数字もあって、カマラ・ハリス副大統領が黒人の多いスーパーマーケットにキャンペーンに行ったりもしているそう。

このようにグルーピングは資源の投入を効率的に行うために有効です。地域や人種や宗教の特殊性を考慮しないで、均一の方法で対応しようとしても(均一で対応するのも大変だけど)、大きな差が出ちゃいますから。日本の小学校で算数の少人数学級が行われているように、ある程度のカスタマイズは必要です。

一方で、グルーピングを見て差別的な発想を持つ人はいます。トランプ支持者は非科学的だとか、黒人はやはり劣っているだとか。実際は、トランプ支持者でもNPRの数字上はワクチン接種拒否率は47%だし、黒人も全員がワクチン接種拒否しているわけでなく歴史的な背景もあります。アメリカの黒人への人体実験です。

CNN.co.jp : ワクチン接種ためらう一部の黒人や中南米系、不信感の要因とは 米

歴史は一部の黒人に暗い雲を投げかけている。

1932年から72年にかけて行われたタスキギー実験では、梅毒患者399人と非患者201人の計600人の黒人男性を対象に、死亡したり重い健康問題に苦しむ男性を治療しないまま、病気の進行を追跡調査した。

また歴史的に、黒人奴隷は医師によって薬や手術方法の実験材料に使われ、合併症や死を経験してきたという経緯もある。

私も、仲良くしているアメリカの黒人男性から「家族は人体実験を疑っていてワクチン接種しないって言っているんだ」という話を先月ぐらいに聞きました。根強いものがあるのでしょう。

そういう観点で、接種の進む日本での接種拒否層というのは政治信条・宗教・性別・年齢・地域等でどういう傾向があるのかという数字を見てみたいんですが、寡聞にも見つけることができていません。知っている人がいたら教えてください。

私のママ友でワクチン接種の拒否を公言している人(n=1)は、いわゆるナチュラル志向で、新型コロナウイルスのワクチンだけではなく、一般の予防接種にも否定的だし、"白"砂糖の接種が健康に悪いみたいなことを信じている人です。院卒で就業経験はあります。

次の記事で、自治体に電凸しているFacebookグループがあったので、せっかくだからとグループに参加している人たちの属性を眺めていました。

コロナワクチン、年少者接種に抗議殺到 戸惑う自治体、背景にSNS―過激化も:時事ドットコム

ざっくり見た感じでは、学歴は短大・大卒以上が多そう、男性より女性が多そう、陰謀論を信じていそうっていう感じの傾向でした。私のママ友と同じくナチュラル志向もありそう。

ワクチンを接種するかは本人の自由ですから、その人がワクチン接種をしようがしまいが他人が何か言えるものでもなく、私も何も言いません。ママ友だってそうだし、私の親族に対してだって同じ。

ただ、私のママ友は暗に他人にワクチン接種をしないように示唆していましたし、自治体に電凸している人たちは他人のワクチン接種の機会を奪うことに必死になっているので、それはダメだと考えています。表現の自由はあるけれど、他人の表現の自由を制限する表現はダメってのと同じ理屈。

日本では同調圧力がありますし、保守層が支持者の自民党が政権を取っていてワクチン接種を推奨していますから、今後もワクチン接種率はしばらくは上昇していくことでしょう。一方で、ワクチン接種がいちはやく進んだアメリカでも、州によっては未だに接種率が30%に満たないところもあるようです。70%の接種には程遠い。

いかにもアメリカ的?米ワクチン接種「あの手この手」 | 米国社会のリアル | 樋口博子 | 毎日新聞「経済プレミア」

日本政府はマイナンバーカードの普及であの手この手で政府がキャンペーンをしているように、今後の接種件数が停滞することがあれば様々な施策を打たざるをえなくなるはずです。

キャンペーンを非効率にすれば税金の無駄遣いですから、どういう層でワクチン接種拒否率が高いのか、そして、その層に対してはどのようなアプローチが有効なのかというのは調査した上で、PDCAを高速回転してほしいなと願っています。