斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

オリンピックにそぐわない言動で森氏・佐々木氏が辞任したように、障がい者を虐待していた小山田氏を組織委はすぐに解任したほうがいい

私は、キャンセルカルチャーは行き過ぎるとよくないし(だって私が見る限り90%以上の人は一貫性がないから)、過去の過失で敗者復活ができないのは社会が脆弱になると思っています。

私の好きな『ちはやふる』と末次由紀 - 斗比主閲子の姑日記

でも、今回の小山田さんの件は、前から分かっていたことなのに謝罪をしたのが自主的にではなく外野が盛り上がってからでした。その上、起用されるのがオリンピックという平和の祭典の重要な部分なわけです。

小山田さんが過去何をしたかは、なぜか日本の報道では詳しく書かれていないので、気になる人は海外の報道をチェックしてみてください。

Japanese composer who abused disabled classmates and forced them to perform sex acts remains involved in opening ceremony

He describes locking a disabled classmate in a box, taping a cardboard box around his head and pouring chalk inside, wrapping him in a mattress and kicking him, making him eat his own faeces, and forcing him to masturbate in front of other students.

障がい者への虐待です。

これがいかに問題かは、みなさんご存知の通り、今回のオリンピックの基本コンセプトの多様性と調和に関係します。

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※画像は大会ビジョンから。赤枠は筆者

私は、以前にも書いたように、他者を排除する姿勢は多様性を壊すもので、暴力的な言動は多様性には含めないスタンスです。

私は民主主義を愛してるので都構想支持者もトランプ支持者も許容する - 斗比主閲子の姑日記

小山田さんは雑誌でインタビュー対応をしてから20数年間で、いくらでも自身の過去の言動を省みる機会はあったはずです。バレて大事になったから謝罪しましたというのでは、多様性を尊重する人にはとても思えません。

私は興味がありませんが、オリンピックはその国がもっとも注目される機会の一つです。このまま組織委が小山田さんを起用し続けるようだと、日本は障がい者差別に寛容な国と思われることになります。それは、私は嫌です。

小山田さんは自身では辞任する意思はなさそうで(できない?)、一方で、組織委は解任する権限があるっぽいので、国外からのプレッシャーで判断するような最悪な状況になる前に、組織委が"自主的に"小山田さんを解任したほうがいいと思います。

組織委が小山田圭吾氏の留任明言 武藤氏「謝罪され、十分理解」 - 東京オリンピック2020 : 日刊スポーツ

今はむしろ、解任し、組織委が責任を取らないと、考えたくない事態になりかねない状況にあります。新型コロナへの政府対応含めて、ここまで溜まりに溜まった不満を個人で一手に引き受けている状態です。耐えられる人はまずいません。

実際、責任の所在はオリンピックの組織委にあります。もちろん、過去まったく対処をしてこなかった小山田さんには非はあるでしょうが、調べればすぐ分かるはずなのに、起用した組織委に明確に問題があります。

起用してしまったのは怠慢か、もしくは、民衆を馬鹿にしていたかのどちらかです。私の感覚だと後者です。

森さんのときにも、佐々木さんのときにも思いましたが、この国の偉い人たちは、女性であったり、障がい者であったり、弱者が本当に尊重されるべきとは信じていないんですよね。

もし、そう思っていたら、オリンピックが目前に迫る中で、オリンピックを主導する与党の国会議員がLGBT差別発言を平気で言ったり、

「種の保存にあらがう」 自民議員のLGBT差別相次ぐ:朝日新聞デジタル

夫婦別姓反対派の丸川さんを、よりにもよって男女共同参画担当相や五輪担当相にしないでしょう。これだけ"適材適所"なことはありません。

夫婦別姓「賛同しないで」 自民有志、丸川担当相も連名 | 共同通信

私からすれば、自民党でLGBT議論を主導し、夫婦別姓でも少なくとも議論の土壌に乗ろうとする稲田朋美さんのほうがよほど適任です。

世界の多様性の常識からすれば、まずありえない人選をし続けているんですから、人手不足でないとしたら、弱者はどうでもいいと考えているわけです。 

以上、この件で言いたかったことです。

私の過去の言動に一貫した形で記事を書きました。ハラスメントを許容する傍観者になりたくないので、意見を表明した次第です。

「女性がたくさん入っている会議は時間かかる」「女性はいくらでもうそをつけますから」が冗談として機能しない世の中にするために「傍観者」にはならない - 斗比主閲子の姑日記

なお、繰り返しですが、私は個人の存在を認めつつ、それはそれ、これはこれで、言動を批判するスタンスです。

どんなに優秀だったとしても、パワハラ・セクハラをしていい免罪符にはならない - 斗比主閲子の姑日記

小山田さんの音楽は意識して聞いたことはありませんが、今回の件で本人の"存在"が否定されるものではないと考えています。他者の存在を否定した人であっても、批判されるべきはその人の言動。

現状は、言動に限らず、小山田さん個人の存在も否定している意見が散見されます。恒例の、被害者意識のある加害者が大量に出ている状態です。「あんな酷いことをしたんだから、こっちも酷いことをしていい」というもの。

被害者意識 の検索結果 - 斗比主閲子の姑日記

ある人がハラスメントをしたとして、その人にハラスメントをする免罪符を周囲の人が得られるなんてことはありません。