マインクラフトの公式小説第4弾である『マインクラフト ジ・エンドの詩』を買ってきて、読みました。私の子どもと私が。
前置き
これまで竹書房が出版している公式小説はすべて読んでレビューを書いてきました。
うちの子どもが最初に読み終えた異世界転生小説『マインクラフト はじまりの島』
【3/15発売】マインクラフト公式小説第二弾『マインクラフト こわれた世界』の親子レビュー【献本】
ヒューゴー賞候補作家が書いた、クリーパーの爆発で家族を失った女の子が主人公の『マインクラフト なぞの日記』(公式小説第3弾)
2作目に続いて今回の4作目は幸運にも竹書房の編集者さんから受け取ることができたため(すったもんだがありました)、献本レビューとなります。ただし、編集者さんからはレビューで忖度はしなくて大丈夫ということで、本作の良いところだけではなく悪いところも含めて書きますので、どうぞご安心ください。
結論から言えば、私の子どもの反応と私の評価は、
はじまりの島 > なぞの日記 > 本作(ジ・エンドの詩)>>> こわれた世界
です。これはひとえにマイクラ要素をどこまで敬意を持って扱っているか(勝手な設定を入れていないか)が大きいです。正直、『こわれた世界』はマイクラじゃなくてもいいんじゃないかと未だに思っています。
では、早速レビューをしていきます。
エンダーマンが主な登場人物で、ジ・エンドが主な舞台
前作の『なぞの日記』はおじさんを探してネザーを探索する話でした。
今回もゲーム世界で生きる人々(つまり異世界転生やゲームの世界に飛び込んだリアルな人間ではない)が登場人物であるのは変わりませんが、主人公は人間ではなくエンダーマンです。そして、舞台はエンダードラゴンが悠々と飛び、エンダーマンが暮らす、あのジ・エンドです。マイクラのサバイバルモードでの最終目的地。
主人公はエンダーマンのきょうだいで、ジ・エンドをワープしてエンドシップで宝物を漁り、自分たちの住居に溜め込むのを日課としています。両親はオーバーワールド(マイクラの初期の世界。地上世界)で行方不明となったとされ、きょうだいは二人だけで暮らしており、主な話し相手は風変わりなシェルカーと、エンダーマンのカンだけです。
ゲームのマイクラでのエンダーマンは徒党を組んだ行動はしませんし、理性もあるようには見えません。しかし、この小説の中では独自設定として、エンダーマンは心の声で会話ができ、集団になればなるほど集団の知性が高まるようになっています。
で、このエンダーマンが支配するジ・エンドの世界に、エンダーマンとしては敵となる人間たちが侵入してきたことから、きょうだい含め、ジ・エンドの世界は大騒ぎになるというのがこの小説のあらすじです。
私の子どもの反応となぜ私がこんなに詳しい理由
ここまでで今までのマイクラ小説のレビューとちょっと違うと思われた方がいらっしゃったら、その人はかなり読解力が高いです。何が違いになっているかと言うと、本作は私がななめ読みではなく、かなりがっつり読んでレビューしているのです。
本作の私の子どもの読後の第一声は「難しかった」でした。土日の二日をかけて読み切ったし、第一作、二作、三作も難なく読んできたので、本作も楽しんだのかなと思ったら、「とにかく難しかった」と言うじゃないですか。
色々聞き出そうとしても唯一教えてくれたのが、
「ゾンビホースはコマンドかスポーンエッグでしか出現しない。普通は乗れないけど、小説ではきょうだいだけ乗れている」
ぐらいです。設定大好きなのは知っているのだけれど、これではまったく作品の中身が分からない。しつこく聞いたら一応ちらほらと教えてくれたのだけれど、どうも断片的で要領を得ない。
というわけで、私も読んでみたわけです。で、私の感想も「これは子どもには難しい……!」です。
エンダーマン世界の設定が複雑、物語が急展開することが難しさの原因
すでに書いたとおり、小説の中でのエンダーマンは普通に徒党を組んでコミュニケーションをして生活しています。このエンダーマンの生き方がちょっとよく分からないんですね。ゲームの設定じゃなくて、完全に小説の設定なので。
小説の中で、ジ・エンドに住むエンダーマンはかなり社会性があります。学校もあれば、武器防具の装備もできます。何よりも人間と同等かそれ以上の知性を備えて会話ができます。これはゲームにはまったくない設定です。
この小説の独自設定をそのまま受け入れられるなら本作は楽しめるはずです。ゲームの設定というものが大好きな私の子どもからするとどうも楽しみきれなかったようです。これは第二作の『こわれた世界』と似ている点。
後、難しさの原因は物語が急展開するところです。何を書いてもネタバレになるので一切触れません。主人公たち二人の位置付けががらっと変わるため、どう感情移入すればいいのか相当悩む作品だとも思いました。
ただ、海外も含めてレビューを見ると、感動的な作品として高く評価されているため、合うようなら楽しめるはずです。
締め
以上、『マインクラフト ジ・エンドの詩』のレビューでした。ちょっと厳しめにレビューを書いたものの、面白いかつまらないか、また、マイクラの公式小説のクオリティとしてどうかと問われれば、決してつまらなくはないし、公式小説としては恥じることのない作品です。ただ、ちょっと独自要素によって対象年齢の子どもが読むには複雑な作品になっちゃってた。
次作の第5弾は英語版はすでに出版されていて、どうやら村人が主人公のようです。次作はもう少しゲームの設定が重視されているといいなと願っています!