この前、マインクラフトの公式小説第一弾のレビューを書いたところ、Twitterで出版社の竹書房さんにフォローされ、その後、公式第二弾の小説の献本を頂けることになりました。
竹書房にフォローされたと思ったら原因はこれか。
— 斗比主閲子 (@topisyu) February 27, 2019
『マインクラフト はじまりの島』はとても面白い冒険小説でした。
次回作の高校生の女の子が主人公の『マインクラフト こわれた世界』も子どもは楽しみにしています。(これも竹書房が出版するもので、来月15日発売予定) https://t.co/PeU0BqWa6L
いつもの通り、網棚経由(隠語)で受け取り、子どもに渡してみたところ、415ページもある分厚い本にも関わらず、休日を一日使って読み切っていました。子どもからはまとまった感想はなく、次のようなことを呟いていました。
「今回は(マイクラの世界に)迷い込んだんじゃないんだ?」「(ゲームモードをサバイバルではなく)クリエイティブモードにすればいいのに」「着火したTNTや剣を投げているから、未来のバージョンのマインクラフトかな。タブレット版でもこんなことできないよね」「黒曜石の柱がグラグラするのもおかしい」
以上です。
主にゲームとの違いが気になったらしい。これは前の第一弾小説でも同じでした。「どうだった?」と聞いたら、「面白かった。でも、難しかった」「三弾目の小説は今年の終わりに出るんだって。また読みたい!」ということでした。難しいと思う小説を一日で読み切る体力があることに驚きました。
ちなみに、主な登場人物の紹介と目次を見てから、すぐに最後の章に目を通して、その上で、最初から読んでいました。私も本を読むときによくやるんですが、特に子どもに教えていたわけではないのに、マネなのか、自分で編み出したのか、親子で似たようなことをやるものなのだなと感慨深げに眺めていました。
ここまでが子どものコメント。ここからは私が読んでみての感想です。
私が読んでみた限りで、この子が難しいと思った要素は、今回のマイクラ小説がリアルと連動しているところと、主人公以外に登場するキャラがいて結構複雑な会話をするところなんじゃないかなと思います。
第一作の小説では、マインクラフトのゲーム世界で一人でサバイバルすることが主題ですから、終始ゲームの話が中心でした。一方で、今作では、マインクラフトの世界を仲間たちと冒険しつつ自分自身の心に向き合うというものなので、マイクラの要素は当然ありつつも、必然的に仲間たちとのコミュニケーションに割かれる部分が増えています。かつ、仲間がリアルで抱えるトラウマがモンスターとして登場するという設定もある。他のゲームでたとえると、サイレントヒルみたいな感じ。サイレントヒルほど怖くはないけれど。一部引用すると、
「…あいつを消すには、なにがあったのか話すしかない」アントンは手を伸(の)ばしてわたしをつかもうとした。でもわたしは、さっとよけて、また歩き続けた。「ゲームのなかにいたって、おれらは現実(げんじつ)の世界から逃(に)げられるわけじゃない。ほんとうの意味ではな。外の世界で悩(なや)んでることすべてを、おれらはここに持ちこんでるんだ」
わたしはペースを上げて、アントンから離(はな)れた。「なんのこと? わたしにはけりをつけなきゃいけない問題なんかないし」頭がずきずきしたけど、わたしはその痛(いた)みを無視(むし)した。「それに、そんなのどうでもいいし。大事なのはゲームを最後までやることだから」
(p.287-288。ふりがなは本の通り)
こんな感じです。揉めてますね。
ちなみに、少し難しい漢字には、上のようにふりがながふってある一方で、母親、説明、必要、連中、出発、中立的、成長、立方体、仲間、部屋ぐらいの漢字にはふりがなはふってありません。ふりがながふられる基準はよく分からないけれど、小学校四年生ぐらいまでの漢字の読み方は知っているとスムーズに読めるはず。
まとめると、第一弾はサバイバルモードのソロプレイ好き向けで、第二弾の今作はチームプレイ好き向けという感じですかね。第三弾はどういう趣になるか分かりませんが(英語版も見つけられなかった)、発売されるのが楽しみです。
※帯文でネタバレされてる!(というのが分かっていても問題なく楽しめるということ)。こちらもKindle Unlimitedの対象になってます。