斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

ヒューゴー賞候補作家が書いた、クリーパーの爆発で家族を失った女の子が主人公の『マインクラフト なぞの日記』(公式小説第3弾)

マインクラフトの公式小説第3弾である『マインクラフト なぞの日記』を買ってきて、読みました。私の子どもが。

マインクラフト なぞの日記

マインクラフト なぞの日記

  • 作者:ムア ラファティ
  • 出版社/メーカー: 竹書房
  • 発売日: 2019/12/13
  • メディア: 単行本
 

※電子版はKindle unlimited対象だから、加入してたら無料で読める!

前置き

少し前置きを書きます。興味がない人は飛ばしてください。

過去の日本語に翻訳された公式小説は2作ともレビューしています。(1作目『マインクラフト はじまりの島』、2作目『マインクラフト こわれた世界』

1作目は自費で購入し、2作目は出版社の竹書房さんに献本していただき、今回の3作目は再び自費で購入しました。発売した昨年12月13日すぐに。

実を言うと、竹書房さんからは3作目も献本で送ってもらっていたようなんですが、私が2作目の献本で指定した住所が現在存在しておらず竹書房さんに返送されてきたようでした。再度送り先の住所を教えてほしいと連絡があったタイミングでは、すでに自分で購入していたために献本はお断りしています。

さらにぶっちゃけていうと、2作目の『こわれた世界』は、1作目の『はじまりの島』に比べるとそんなに面白くなかったので、「もしかしたら3作目も献本が送られてくるかもだけど、本音でレビューしたいし、自費で購入しておこう」と先に買っちゃっていたのでした。

というわけで、前段が長くなりましたが、忖度(そんたく)抜きのレビューとなります。

ゲーム世界で生きる人々が登場人物で、ネザーが主な舞台

公式のあらすじは次のとおりです。

おとなしいアリソンとわんぱくなマックスは、マインクラフト世界で暮らすなかよし2人組。近所の空き家でエンチャントの研究日記とポータルを見つけた2人は、日記を残して消えたエンチャンターを探そうと、ネザーへ足をふみ入れる。そこに住む不思議な女の子・フレヤに助けられ、二人はエンチャンターを元の世界へ連れ帰ろうとするが!? クラフトとエンチャント、そして友情の力でモンスターのひしめく暗黒世界を生きのびろ。「マインクラフト」オフィシャル小説 第3弾!

これで分かる通り、本作はこれまでの作品のように、リアルな人間がマインクラフトの世界に迷い込んだというわけではなく、マインクラフトのゲームの中で生きるキャラクターが登場人物となります。

例えば、

おとなしいアリソンとわんぱくなマックスは、マインクラフト世界で暮らすなかよし2人組。

とかさらっと書いてありますけど、主人公のアリソンは家族がクリーパーに吹き飛ばされていて、マックスの家に居候しているところから話がスタートしますからね。マイクラの世界観を完全準拠している。

舞台は、1作目が地上、2作目がエンドときて、ようやくお楽しみのネザーです。普通、エンドとネザーは順番逆だと思いますが、どうしてこうなったんだろう。

そして、作者は、『六つの航跡』でヒューゴー賞・ネビュラ賞候補となったムア・ラファティです。

これだけで相当ワクワクしますね。ガチなSF作家がマイクラ世界を完全に前提とした小説を書いているわけですから、かなり期待が大きい。子どもが読んだ後に私も読んでみましたが、実際かなり楽しめました。

私の子どもの反応

本題の私の子どものリアクションは次のとおりです。

  • (最後まで読み終わった後の第一声 ↓)
  • ガストの涙は狼にはあげられない
  • (その後言っていたこと ↓)
  • スケルトンに逆さにヘルメットはつけられない
  • 呪いのエンチャントは統合版はできず、Java版のみ
  • キャラが溺れるのは全機種で共通
  • ガストの炎は、内部的にはデータ情報を変えただけで発火材と炎がセットになっているだけなので、物体に当たれば炎が出てくるから、ネザーゲートに火がつく
  • ノックバックで壁に当たったことでのダメージはない
  • チキンジョッキーはレアなので大量に登場することはない
  • ネザー要塞に、ネザーゲート、エンチャントの間はない。チェストはある
  • 小説の中ではネザーの1ブロックが地上での10ブロックくらいとあるが、正確には8ブロック。なお、地上で作った地図をネザーに持って行けば、ネザーでの移動で地上をどれだけ移動したか分かる。ただし、ネザーでは地図は作れない(表示されない)
  • エンチャントに蜘蛛の目は使えない。作品の中にはエンチャントの際に通常必要なラピスラズリが登場していない
  • 旗を持つスケルトンはない。略奪者のリーダーは旗を持ってるが。コマンドの発射装置を使えばつけられるか
  • 小説でのエンドの要素はエンダーマンとエンダーパール。チェストに入ってただけで、使われず
  • 結論としては、面白かった

以上です。

作品の内容へのコメントがほとんどないですね。ゲームと小説の仕様の違いがメイン。この子は以前にも紹介した通り、

子どもが読書習慣を身に付けられるよう、ゲームの攻略本を必ず買う - 斗比主閲子の姑日記

マイクラの攻略本だけで10冊ぐらいになっていますが、子どもたちは、たまに古いものも読み直しています。古いversionのマイクラの仕様を確認し、Java版でversionを古いのに変更して(Java版はこれができるのが良い)、仕様を確認しているらしい。色んな人間がいますね。面白い。

マイクラの機種/versionでの仕様の違いを確認するのが大好きなので、このようなリアクションになったのでしょう。

結論としては面白かったと言っているし、416ページという長編を確か2日ぐらいで読み切っていたので、面白かったのは確かだと思われます。

締め

以上、『マインクラフト なぞの日記』の紹介でした。マイクラ設定が活かされていて、主人公の精神年齢は中学生ぐらいなので、マイクラ好きの小学校高学年~中学生ぐらいまではかなり楽しめるはずです。

なお、竹書房さん曰く来年8月に公式第4段小説の和訳が出版されるそうです。すでに英語の原書は発売されているので中身を見てみたら、

Minecraft: The End (Official Minecraft Novel 4)

Minecraft: The End (Official Minecraft Novel 4)

  • 作者:Catherynne M. Valente
  • 出版社/メーカー: Century
  • 発売日: 2019/12/05
  • メディア: ハードカバー
 

For as long as they can remember, the twin endermen Fin and Mo have lived in the mysterious land of the End. On the outskirts of the great enderman city of Telos, they explore ancient ruins under the watchful gaze of the mighty ender dragon. They have everything they need in the end ship they call home, and know everything there is to know about their world—or so they think until the strangers from another dimension arrive.

The invaders are called humans, and they’ve come to steal artifacts and slay the ender dragon. Fin and Mo are ready to protect their home from the trespassers, but when they come face-to-face with the humans, they discover that they aren’t as prepared for battle as they’d thought. Caught off guard, the twins are trapped in the middle of a war between the endermen and the humans, with the future of their home at stake.

次は双子のエンダーマンが主人公だそうです。そして人間が侵入者として登場する。なんて、メタメタしてて楽しそうなんだ! 作者はSFとファンタジーの賞を受賞したことがあるキャサリン・M・ヴァレンテ

第5段も発表されていて、今年5月に発売されるようですが、こちらは表紙を見るに村と海賊船がテーマっぽい。作者はスター・ウォーズ小説を多数書いてきたJason Fry

『映画ドラえもん のび太の月面探査記』の脚本を担当した辻村深月さんがノベライズもされていましたが、一級の作家さんが身近な題材をテーマに小説に仕立て上げてくれるのはめちゃくちゃ嬉しいですよね。

いずれにせよ、今後の公式マイクラ小説はどれも楽しみです。