TEDを見てたら面白い動画がありました。
要約すると、『北米の黒人男児は、教師の2%しか黒人男性教師がおらず、シングルマザー率が高いために、読書のロールモデルがいないのと、渡される本が説教臭いのとで、(白人男児と比べ)本を読む能力が低い。その解決のために、子どもは理髪店には月に1~2回行くので、プレゼンテーターは理髪店に面白い本を置くという試みをしている』というもの。
この動画の中で、
Scholastic's 2016 Kids and Family Report found that the number one thing children look for when choosing a book is a book that will make them laugh.
こんな調査が紹介されていたので、読んでみました。子どもにとっての本に絡む、定期的な調査らしい。
Kids & Family Reading Report Home
Schloasticというのは米国の出版社ですから、バイアスがかかっているかもしれないなと思いつつ、子どもが読書家になるためのプロセス・環境に関する調査結果を読んでいると、非常に思い当たるところがありました。我が家の子どもたち全員が現在読書家になった、プロセス・環境に近かったから。
列挙するとこういうところです。
- 子どもの成長に合わせて面白い本を探して紹介する
- 家庭内外に本を読むロールモデルが存在する
- 家庭でも学校でも本が潤沢にある
- 子どもが読む本を選ぶ
書いてて思い出したけど、しんざきさんの1年ぐらい前の記事も似たような話でした。
子どもたちがどうやら「本好き」になってきたので、意識してやったことを書いてみる。 | Books&Apps
子どもの成長に合わせて面白い本を探して紹介する
我が家では、子どもの成長に合わせて面白い本を親が見つけて紹介するようにしています。図書館で司書さんがお勧めしているものを片っ端から借りてくることもあれば、Amazonでリコメンドされたものを子どもに見せたりする。
もちろん、子ども自身が本を選んでくることもあるけど、親が本を紹介するのは(≠強制するのは)高校生ぐらいまで続けるつもりです。
これに関連するScholasticの調査は、どの年代の子どもにも本を見つけるのに困難を抱える子は結構いるのだけれど、親はそれを過小評価しているというもの。
私の観測範囲では、未就学児までは親が読書を手伝っても、小学校になると急に親が手を離すケースが見受けられます。
あと、紹介する本は、親目線で面白い本ではなく、子ども目線で笑える面白い本を選ぶようにしています。
レポートでも、子どもが本に求めるのは笑いが多い、次が探検。確かに、うちの子どもたちもこの要素がある本を好んでいる。
あと、好きな本のジャンルも年齢によって変わるから、それも考慮してます。
最近は、ジュニア文庫が我が家の一大勢力になりつつある。あとは、漫画。
絵本・漫画読みの子どもの次のスモールステップとしての児童文庫(ジュニア空想科学読本、星のカービィ、若おかみは小学生、IQ探偵ムーなどなど) - 斗比主閲子の姑日記
家庭内外に本を読むロールモデルが存在する
Scholasticsの調査だと、年齢が上がれば上がるほど、読書のロールモデルが減っていくらしい。
我が家では親が本を読んでいる(のを子どもが見ている)し、子どもの友達にも読書が趣味な子は結構います。そして、何より、きょうだいが本を読んでいる!
加えて、中高一貫校に通ってもらいたいと思ったのには、ロールモデルが多くいる可能性があるというのがあるのも以前に紹介したとおりです。中学受験に際して、色んな学校を見に行ったけれど、高校生が中学生をリードしているのは結構よく見かけました。
子どもに中高一貫校に通ってもらいたいと思った理由は、中学生時代に高校生との接点があること - 斗比主閲子の姑日記
家庭でも学校でも本が潤沢にある
最初に書いた通り、我が家では子どもに本を紹介するために、借りたり買ったりして、大量の本を子どもに提供しています。読むかどうかは置いておいて。
Scholasticの調査だと、家庭にある本には差があり(相関関係があるだけで因果関係があるわけではない可能性はもちろんある)、
学校のクラスに本がしっかりある子どもほど読書をしているらしい。
私の子どもたちが通っている学校も、本は潤沢で、子どもたちは学校でも本を読んでいるし、図書館の本を借りてきています。学校選びで、本の質と量は意識しました。
子どもが読む本を選ぶ
最後に、ここまで書いてきたことと重複しますけど、読む本は原則的に子どもが選んでいます。
絵本の読み聞かせでも子どもが読みたい本を優先して、読み聞かせしています。「読みたくない!」と言っている本は絶対に読み聞かせしませんし、読むことを強制しません。
これも、Scholasticsの調査だと、
好きな本は自分で選んだ本というのが大勢となっています。
親はリコメンドはするし、子どもが本のある環境は提供するけど、最後の意思決定権は子どもにあるということですかね。
締め
私はこのブログでも紹介している通り、企業や組織の不正に絡む第三者委員会の調査報告書を読むのも好きだし、発言小町のトピを読むのも好きだし、統計を読むのも好きです。小説も漫画も自己啓発本も読みます。論文も読みます。すべて楽しく読んでいます。たぶん、読書家とカテゴライズしていいはず。
でも、昔からこんなに幅広く読んでいたわけではなく、スタートは『ぐりとぐら』からでした。
料理で大切なことはすべて『ぐりとぐら』から学んだ - 斗比主閲子の姑日記
本は自ら選んできたと思っていたけれど、私の親は私を図書館に連れて行ってくれてたし、家には本(含む漫画)がたくさんありました。『ノルウェイの森』もそうして読んだ。
私の子どもたちが全員読書家になったのと、今回紹介したScholasticsの調査では重複する部分はかなりあったので、因果関係が明確とはいわないけれど、読者家になる道は、方法論としてはほぼほぼ確立されているっぽい感じがしました。
みんながみんな読書家になるべき!ということはないけど、読書をする環境が整っていないことで生まれる格差はあるんですよね。