私は、子どもが生まれて生後2ヶ月ぐらいから、子どもたちに対して読み聞かせを続けています。
読み聞かせの時間は、一日30分ぐらいを目標としているから、ページ数や文字の少ない絵本の場合は、30分で5冊ぐらいは読めるので、
未就学児段階で延べ1万冊ぐらいを子どもに絵本を読んでいたことになります。
漫画も分け隔てなく読み聞かせをしていて、子どもたちの漫画デビューは、読み聞かせで読んだドラえもんでした。
さすがに、子どもが大きくなってからは、本の文字が増えてページ数も増えますから、30分の読み聞かせで、2冊読めたらいいぐらいで、1冊の本の1/5ぐらいしか読み聞かせできないこともあります。今は文字がメインの本の読み聞かせをしたり、漫画や図鑑や新聞も読んでいたりします。基本休みなしで、子どもに請われ続けているから、年換算で180時間。5年間で約1000時間だから、結構な積み上げです。
「子どもが大きくなってからは読み聞かせは不要では?(逆に害になるのでは?)」という考えがある人がいるのは知っています。ただ、害になるというエビデンスを私は見かけたことがありません。
また、私個人の経験としては、大学で難書を輪読することで自分の読解能力を引っ張ってもらえたことがありました。先日紹介した、Scholasticsの調査でも、子どもは年をとるほどロールモデルが減っていくとあるし、日本では中高生になると読書をする子がガクンと減る傾向があるので、
※画像はKids & Family Reading Report Homeから
読み聞かせをしている親自体が読書のロールモデルとなるということからも、私は、子どもが中高生までは、読み聞かせは続けるつもりです。膝の上に乗せるかとか、横並びになるとか、机で相対するとか、物理的な距離は広げていくようにして。
「子どもが文字メインの本を読んでくれない!」と嘆く親御さんがいるのであれば、私は本の読み聞かせを(継続)することをお勧めします。もちろん、本は子どもたちが読みたそうなものを選ぶ前提です。
「そんなこと言っても、子どもが読みたそうな、文字メインの本なんて分からない!」という親御さんもいらっしゃるでしょう。基本は図書館司書さんに相談することだと思いますが、子どもに直球で効くのは、各出版社のWebページに行って、子どもが気になる本がないかを、あらすじをチェックして、子どもと一緒に試し読みすることです。
例えば、角川つばさ文庫だと、以下のように、全作品の試し読みが可能です。
※画像はシリーズ | 本 | 角川つばさ文庫より
星のカービィなんかは絵本の延長線でとても入りやすいし、学校の怪談とか、小学生探偵とか、どれも好きな子どもが多いテーマですよね。
「そんなこと言っても、あらすじだけでは興味を持ってくれない!」という親御さんには、本を紹介する動画を見ることをお勧めします。次のように、小説の中身を紹介した出版社による動画というのはそれなりにあるものです。
こういう動画をいくつか眺めて、子どもが「面白そう!」と反応した本を、試し読みの読み聞かせをするわけです。5分~10分でトライできる作業です。簡単ですね。
で、試し読みの読み聞かせで、「面白い!もっと読みたい!!」となれば、本を入手するわけです。それも読み聞かせを最初します。子どもが一人で読み始めたらそれはそれで良しで、読み始めなかったら読み聞かせを継続するだけ。これで当初の目標の『子どもに活字メインの本に興味を持ってもらう』は達成できたと言えます。なお、子どもが読みたくないと言ったら、絶対に無理強いはしない。
「そんなこと言っても、いつまでも読み聞かせしたくない!」という親御さんもいらっしゃるとは思うんですが、そうであるなら、子どもが勝手に文字メインの本を読むようになるとを期待しないほうがいいと私なんかは思います。期待は子どもへのプレッシャーになるし、期待は子どもへの怒りに通じる。本を読んでくれたらラッキーぐらいに期待値を調整する。
また、「俗的な本ではなく、樋口一葉や幸田文を読んでほしい!」という親御さんもいるとは思うんですが、そういう親御さんは、自身がどういう経緯で樋口一葉に挑戦したかどうかを思い返してもらいたいところです。
私が『たけぐらべ』を読んだのはせいぜい高校生の頃です。小学生の頃は、アンデルセン、グリム、イソップや、赤毛のアンや若草物語などを嗜み、中学生の頃は、コバルト文庫を読んでいました。コバルト文庫。
学習にはステップが必要です。そして、必要なステップの細かさや、ステップの進み方は子どもそれぞれで違うし、時期によっても違います。子どもが楽しくない、子どもに無理があるものなんて、続けられるわけがないし、続けるのは不幸なことです。
ちなみに、我が家では、漫画でも小説でも、本は無制限に読んでいいことになっています。外で遊ぶのも門限以外制限はありません。LEGOも絵を描くのも無制限。一方で、ゲームと動画だけは、勉強をした後でしか楽しめず、時間制限があります。
娯楽として、相対的に水みたいにお手軽であることもあって、我が家の子どもたちは家で本をちぎっては投げ、ちぎっては投げ、読み散らかしています。本の片付けをしないときはたまに親がブチ切れます。
先日の記事と結論は重複するけど、子どもが好きな本というのは、しばしば、子ども自らが選んだ本です。
※画像はKids & Family Reading Report Homeから
親が読んでもらいたい本や、子どもの発達段階に合わない本を子どもに読ませようとしても無理がある。書店やブックオフに子どもを放牧して「好きな本を●冊/●円買ってきていいよー」として、子どもが選んだ本を基本的に否定しない。そして、子どもが本の中の世界を楽しむことを尊重する。「どうせまたくだらない本に影響されて」とは言わない。
子どもに本は読んでもらいたいけど、親自身が本を読まないとか、読むのが苦手ということなら、今回紹介したような方法でもって親自身も本を読んでみるといいですよね。私は、初代ジュラシックパークの映画が好きだっから、小説も読んで、その後、海外SFにハマった時期があります(書いていて思い出した)。今の世の中、物凄くニッチで、自分のニーズにあった本は探せばいくらでもあります。
子どもだけではなく親も一緒に楽しめる本もあります。次のラインナップは、現役小学校の先生の岩瀬さんがお勧めするもの。どれも素晴らしい作品ばかり。
伝記だって、リンカーンとかエジソンとか古臭いのじゃないのが今はたくさんあります。
子どもが読書を楽しんでもらいたいなら、親が全力で読書を楽しんじゃえばいいんですよね。一番近くにいる親が楽しそうにしてたら、子どもだって気になります。
以上、こんなところでしょうか。
この辺のシリーズとしては、学習まんがをテーマも紹介する予定です。お楽しみに。