斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

非エンジニアが難関国家資格『プロジェクトマネージャ試験』に2週間(20時間)の勉強で一発合格した方法

昨年10月にIPA(情報処理推進機構)の国家資格『プロジェクトマネージャ試験』を受験しました。

年が明けて「そういえば合格発表はいつだったっけ?」とIPAのサイトを見に行ったら、昨年12月下旬には合格発表がされていて、無くさずに持っていた受験票の情報を使ってチェックしたら、合格していたのでした。結構厳しいかと思っていたので、新年早々かなり驚いてしまい声が出たので、家族には変な目で見られました。

※午前1は免除。午前2と午後1は60点以上で合格、午後2は4段階でAが必須

この記事では、非エンジニアの私がどうしてプロジェクトマネージャ試験を受験をしようとしたのか、どのような勉強をしたのかを紹介します。どなたかの参考になれば幸いです。

 

受験のきっかけ

私は非エンジニアで、日常業務でもシステム開発には一切従事していません。仕事は全然別のことをやってます。

プロジェクトマネージャ試験を受験したのは、3年前に書いた次の記事の通り、

子育て中の就職氷河期世代として、学び直し的に情報セキュリティマネジメント試験に合格してみた - 斗比主閲子の姑日記

・子どもに親が勉強しているのを見せたかった

・大人の学び直し(リスキリング)に向いている勉強をしたかった

というのが背景にあります。

情報セキュマネに合格し、その後、上の記事の次の目標として書いた応用情報技術者試験にも合格したので、2年以内であればIPAの上位資格の午前1が免除ということもあり、どれかを受験しようと考えたのでした。

この中で、私みたいな非エンジニアでプログラミングができない人間でも問題なさそう、かつ、内容が面白そうだったのが、春試験ではITストラテジスト試験、秋試験ではプロジェクトマネージャ試験でした。

プロジェクトマネージャ試験の試験内容は、何もシステム開発だけに限定されず、プロジェクト単位で仕事をする人であれば誰もが知って損がないものです。

IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:制度の概要:プロジェクトマネージャ試験

2.業務と役割

システム開発プロジェクトの目的を実現するために、当該プロジェクトチーム内でのプロジェクトマネジメント業務の分担に従って、次の役割を主導的に果たすとともに、下位者を指導する。

 (1)    必要に応じて個別システム化構想・計画の策定を支援し、策定された個別システム化構想・計画に基づいて、プロジェクトの目的を実現するためにプロジェクト計画を作成し、当該プロジェクトの目標とライフサイクルを設定する。
 (2)    必要となるメンバーや資源を確保してプロジェクトチームを編成し、チームのメンバーとプロジェクトの目的を共有する。必要に応じてメンバーを支援して、メンバーの成長とチームの自律的なマネジメントに向けた継続的な改善を推進する。
 (3)    問題に対して適切な対策・対応を実施するとともに、将来見込まれるリスクや不確かさに対して、メンバーの多様な考えを活用して早期に対応し、変化に適応することによって、プロジェクトの目的を実現する。
 (4)    プロジェクトのステークホルダと適切にコミュニケーションを取って、ステークホルダのニーズを満たすとともに、プロジェクトの目的の実現のためにステークホルダとの共創関係を構築し維持する。
 (5)    プロジェクトフェーズの区切り及び全体の終了時、又は必要に応じて適宜、プロジェクトの計画と実績を分析・評価し、プロジェクトのその後のマネジメントの改善に反映するとともに、ほかのプロジェクトの参考に資する。

※太字は筆者

太字にした、プロジェクトの計画、リソースの獲得、問題への対処、ステークホルダーとの連携、PDCAの構築というのは、ものすごく汎用性がある、多くの仕事で必要な知見ですよね。

ちなみに、試験の合格率は14%ぐらいです。国家資格の中では難関に分類されているらしい。

統計情報によれば、実務経験がある人が基本的に受験しているようだし、試験では実際に自分の経験を書くことになるので、まったくの未経験者の私が受かるとは思っていませんでした。

IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験:統計情報

2週間(20時間)しか勉強しなかった背景

具体的な勉強方法に入る前に、タイトルにある通り、なぜ2週間しか勉強しなかったかの背景も簡単に書いておきます。

実を言うと、2週間の勉強時間というのは意図的にそうしたわけではなく、受験票が届いたのがそのタイミングだっただけです。

確かに試験の3か月前ぐらいにIPAのサイト経由で申し込みをしたはずが、受付済みのメールがどうしても見つからず、「申し込んだのは夢だったのかな……」と思って勉強しないでいたら、試験日10/9の2週間前の9月下旬に受験票が届いて、慌てて勉強を開始したのでした。

しかし、2022年の9月下旬というと、スプラ3が発売された直後です。以下の記事のように、私は試験前後に平均3時間はスプラ3をプレイしていました。

当然、仕事をして、子育てをしながら、スプラを毎日平均3時間プレイしているわけで、勉強時間は十分に取れる状況ではありません。結果的に勉強時間は一日2時間ぐらい取れたか取れないぐらいでした。2週間で20時間ぐらい。

私の目的は、子どもに勉強している姿を見せることと、自分にとっての学び直しになればということですから、必ずしも合格を目標にしているわけではないものの、短い間でどうしたら効率的に学習できるかを意識して学習を開始しました。

勉強計画の策定

まずは勉強計画を策定しました。試験の全体像の把握です。

プロジェクトマネージャ試験には大きく4つの試験科目(午前1・2、午後1・2)があります。試験は9:30~16:30まで半日かけて行われ、最初の方の試験科目で合格最低点数に達していなければ、次の科目は採点されません。その時点で不合格です。

詳しくは、過去問を見てもらうとして、午前1・2はマークシート、午後1は簡単な記述、午後2は論文です。私は午前1は免除。

IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:問題冊子・配点割合・解答例・採点講評(2022、令和4年)

午前1 問題解答

午前2 問題解答

午後1 問題解答

午後2 問題解答

これらについて得点分布を見ると分かるように、午前2は9割、午後1は5割強、午後2は4割が合格しています。絶対評価。前の試験に合格した人だけが採点されているところからすれば、難易度は午後2>午後1>午前2の順番と考えられますし、体感としてもそうです。

足切りされてしまえば後半の難易度の高い試験は採点さえもされないわけですから、とりあえずは簡単な方から勉強を開始し、合格最低点に到達したら、次の試験の勉強をするという方針としました。

各試験のリソース配分

最終的に20時間程度の勉強時間でしたが、それぞれに充てられたリソースは、午前2は3時間、午後1は10時間、午後2は7時間ぐらいでした。

午前2(試験時間40分) 勉強時間 3時間

午前2はマークシート形式の25問中、過去問から4割~5割ぐらいは出題されるようなので、過去問を完璧に解ければ40点は確保できるという算段をしました。4択ですから、仮に残りの未知の問題が出題されてまったく分からずとも、ギリギリ合格できるだろうなと。

というわけで、午前2の過去問10回分を次の過去問道場というサイトで解いてみました。1回解くのに10分ぐらいで、間違えたところだけ解きなおして5分ぐらいで、1回分は計15分ぐらいで、これを×10回で合計150分です。

プロジェクトマネージャ過去問道場|プロジェクトマネージャ試験.com

試験日の移動時間に、過去間違えた問題だけ30分ぐらいで見直して、合計3時間ぐらいのリソースを費やして、合格できる水準に持っていきました。

午後1(試験時間90分) 勉強時間 10時間

午後1は大問が1~3ある中で2つを選び回答する形式です。長文があり、それに関連する問題を10個ぐらい記述で答えるもの。大問はどれも同じような問題なので、好きなのを2つ選べば良さそうでした。

まずは、過去問と解答を3年分ぐらいディスプレイで横に並べて眺めてみました。1時間ぐらい。

例えば、今回の試験の大問1だとこんな感じの設問で、

解答例はこんな感じです。

最低限のシステム開発の知識は必要であるものの、見れば分かるように知識を問うものはほとんどありません。割と常識的な内容で、簡単な国立大学の入学試験の国語の二次っぽい感じだと受け取りました。要は、答えは必ず問題文中にあるから、それを探してくるもの。

解答のレベル感が分かったので、実際にどう解答を引っ張ってくるといいのかのテクニックを参考書を使って確認することにしました。ここで、登場するのが三好さんの次の本です。たぶん、一番売れてる。

この参考書で、問題文からどうやって解答部分を引っ張ってきているのかの傾向を把握しました。2時間ぐらい。

加えて、三好さんがYoutubeで午後1の対策動画をいくつか上げてくれていたので、これも例の如く2倍速で視聴しました。1時間ぐらい。

youtu.be

これで大体解答できるだろうと手応えが得られたので、実際に午後1の過去問を解いてみることにしました。試験時間は90分ですが、問題文のどの辺に解答があるかを把握することが目的なので、しっかり書き切るのではなく、大問1つあたり20分ぐらい使って、解答がありそうな箇所を探し出してチェックするだけです。試験1回で大問3つで、それぞれ20分で解いて、10分で解答をチェックするのを2回分ぐらいやりました。3時間。

この作業で、おおよそ、正確に問題文から解答部分を探し当てていることが確認できたので、最後に90分使って、過去問1回分を実際に手書きでしっかり書き切ってみました。答え合わせをしてみて、時間以内で解答に近い内容を書けているっぽかったので、合格最低点は取れるだろうと思い、午後2の勉強に進むことにしました。

実際、試験当日は早めに退出できたぐらいで、受かってる感触は得られました。

午後2(試験時間120分) 勉強時間 7時間

午後2は論文式です。2時間の試験時間で、指定の問いに対して、自分のシステム開発での経験を書くもの。

大問2つから1問選択し、それぞれ3つの小問があります。今回だとこんな感じ。

私はシステム開発の未経験者ですから、当然ながら自分の経験談なんて書けません。しかも、IPAは模範解答を公表していません。レベル感が分かんない!

なので、最初はどういう風に解答を書くといいのかを、先ほど紹介した三好さんの本に書いてある解答例をWordにタイプしてみることにしました。私はタイピング速度がかなり早いので、誤字脱字を許容しつつ、大問1問3000字ぐらいを大体30分ぐらいで書き写してみました。それを4回ぐらい繰り返してみると、おおよそどういうことを書けばいいかが何となく把握できました。これで2時間ぐらい。

その上で、三好さんの参考書では解答案のどの辺がポイントかもチェックされていたので、それを眺めつつ、動画も視聴しました。これで2時間ぐらい。

youtu.be

この段階で、試験日前日です。

試験では自分の体験談を書くことになり、それを試験日当日に120分で妄想でひねり出して、3000字手書きで書くのはどう考えても無理なので、自分の過去の仕事を振り返って、新規システム開発っぽく捉えられるプロジェクトがないかを考えてみました。1時間。

それっぽいのが見つかったので、小問3つのカテゴリーである、①プロジェクトの背景と概要、②プロジェクト期間中のリスクや課題への対処、③プロジェクト後の評価とその後のPDCAサイクルの構築を項目出ししてみました。そして、これをシステム開発っぽい内容に改変しました。1時間。

その上で、本当は最後の仕上げで手書きをしなければいけないところでしたが、手書きが苦痛だったので、Wordでそれらしい文章を書いてみました。1時間。

ここでタイムアップです。

見れば分かりますが、明らかに勉強時間が足らなかったので、まさかこれで合格するとは考えていませんでした。試験日当日もひたすら書くことに集中していて、指定文字数を埋めるために冗長な表現も大量にありましたし。

私は元トピ職人ですから、昔取った杵柄みたいなもので、ほんの少しの真実からそれらしい文章を短時間で作り上げるのは得意ですから、何とかなったかもしれない。発言小町様様ですね!

なお、三好さんがYoutubeで言われてましたが、自ら未経験だと表明して論文を書くと必ず不合格になるようです。ですので、私みたいな未経験者が受験するとしても経験者風に書くのは必須となります。

締め

以上、未経験者としての受験の動機と勉強内容となります。

私の場合は試験勉強からプロジェクトマネージャの概念を知ることになりましたが、上に書いた通り、仕事一般でかなり有益なノウハウが得られる試験内容だと思います。

プロジェクトマネージャ試験の根幹にある、PMBOKの最新第7版では、それまでのウォーターフォール型からアジャイル型に大きく内容が変わったことが話題になったそうです。

界隈がざわつくほど超進化したPMBOK第7版の解説【プロジェクトマネジメント】|Mizuho Kushida|note

大方針というか、存在目的ごと変わっているといえます。(ウォーターフォールのように)成果物をきっちり届けることを目的していた第6版までとは異なり(その観点も含んだ形で)、価値を届けることが目的の第七版に変更されています。価値はまさに探しながら創っていくという、まさにアジャイルな考え方にピボットした、とも捉えられます。

厳密にいえば、予測型アプローチ(predictive approach)から、適応型アプローチ(adaptive approach)に変わったということです。

予測型から適応型に変わったというのは何もPMBOK(の対象)に限らず、社会全般に言えます。

少子高齢化、インフラの老朽化、国内市場の縮小、外国人移住者の増加、海外企業との競合、多くのスタートアップ企業の出現などなど、これまで通りのやり方を踏襲していたのでは上手く行かないことが増えてきています。VUCAの時代。

リスキリングのつもりで、プロジェクトマネージャ試験を受験したわけですが、図らずしもプロジェクトマネージャ試験を通して、不確実な社会でどう自らをリポジショニングしていくかの術(すべ)の存在を知ることができました。

プロジェクトマネージャ試験の勉強自体はごく短期間で、習得できたとは言い難いので、これを機会に、PMBOK 第7版と付随する情報を関連書籍を読んでみるつもりです。

そうなると次はPMP試験を英語で受験する感じかな。それ以外でも、リスキリングとして何かお勧めがあれば教えてもらえると嬉しいです!

※学び続けることを義務と考えるとしんどいけど、自分の好奇心を満たすのは幾つになってからでもいいと考えると、いい感じかも