斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

おじさんの同居人が、父親のW不倫相手の娘だったという『水は海に向かって流れる』(田島列島)がとても面白かった

2020年のこのマンガがすごい!に選ばれていた作品を年末年始に適当に読み進めていて、「この作品に出会えて良かった」と田島列島さんの『水は海に向かって流れる』を読んでいて思いました。

水は海に向かって流れる(1) (週刊少年マガジンコミックス)

水は海に向かって流れる(1) (週刊少年マガジンコミックス)

  • 作者:田島列島
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2019/05/09
  • メディア: Kindle版
 

作者の田島列島さんの他の作品としては、約5年前に『子供はわかってあげない』をレビューしています。

大人のほっこりするトラブルが溢れる貫井徳郎『崩れる』と、ちゃんとした大人が子供の周りにいて安心する田島列島『子供はわかってあげない』 - 斗比主閲子の姑日記

当時から、可愛い絵柄なのに、重たいテーマで、しかも、適度なギャグが心地よく、大人がしっかり大人をやっているというので、めちゃくちゃ楽しかったんですけど、私としては5年ぶりに読んだ新作の『水は海に向かって流れる』は、更に洗練されている印象でした。凄い。

ストーリーは、高校生の主人公の男の子が高校に通いやすいおじさんの家に同居しようとしたら、その家はルームシェア状態で、複数人の成人男女が住んでいて、そのうちの一人の26歳OLが、実は自分の父親のW不倫相手の娘だった……というところから展開していきます。

ストーリー上重要な話はこの点だけで、二人ともすぐにこの事実を知るわけですが、それでも、過去の家庭内トラブルによる影響というのは、そう簡単には解消されるわけがなく、特に被害者側ともいえる26歳女性が心にモヤモヤを抱えながら、高校生の男の子と日々過ごしていきます。

テーマがテーマだけに普通に描いたら重たい話になってしまうものの、先ほどから言っている通り、絵柄が可愛いのと、ギャグが面白すぎて、重たさはそのままにして、すごくさっくりほっこりとページをめくることが出来ます。

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※1巻のp.170より。主人公の同級生の女子

上のコマは1巻で、主人公の同級生の女子が26歳女性から主人公への印象を聞き出したシーンです。

本当は「私の家族をぐちゃぐちゃにした男の息子だから、とても恨んでいる」といった恨み節でも聞いてきておかしくないシーンで、こういうネタが挿入されるので、もう、これは笑わざるをえません。

公式サイトで1話が無料で読めますので、私のレビューで興味を持てた人はぜひトライしてみてください。

pocket.shonenmagazine.com

終始楽しめること請け合いです。あー、幸せ。