以前からモヤモヤを送ってもらっている方から、ヤマシタトモコさんの漫画『違国日記』をお勧めされたので、読んでみました。
トピ主さんこんばんは。お久しぶりです。いつもブログ拝見してます。突然ですが、トピ主さんに是非おすすめしたい漫画がありまして……。
ヤマシタトモコさんの「違国日記」という漫画です。賞などとっているので見聞きしたことがあるかもしれません。
もうご存知でしたらすみません……。
突然交通事故で両親を亡くした思春期の15歳の女の子と、そのおばにあたる人付き合いが苦手な作家が同居するお話です。
とても細やかに心情を描かれていて、きっとトピ主さんもお好きではないかなと思っています。
勝手ながら、結構前からトピ主さんと漫画やアニメの趣味が似てるなあと思っております。
凪ちゃんとか、聲の形とか、きのう何食べとか、それ読んでるー!ってなったり、漫画を買った次の日にトピ主さんが取り上げたりとかが多くて、密かに嬉しく思っていました。
結論から言うと面白かったです! そういうわけで、この記事では『違国日記』のレビューを書きます。
レビューは書きますが、一巻からしっかりちゃっかり面白くて、2019/12/22まで1巻が無料で配信されているので、
違国日記 1巻 |無料試し読みなら漫画(マンガ)・電子書籍のコミックシーモア
私のレビューはどうでもいいので、興味を持った人はまずは読んじゃってください。
あらすじ
タイトルにある通りです。シンプルですね!
叔母である槙生(まきお。35歳)は人と接するのが苦手で一人暮らし。で、姉である実里(みのり)の子どもである朝(あさ。15歳)が、実里と父親を交通事故で亡くし、引き受け手がいなかったから、ついなんとなく勢いで自分が朝の身元を引き受けると言い出したわけです。そこから二人暮らしが始まります。
こういう前提からだと、槙生が朝の心の傷を癒やしていく物語なのかな?と思うかも知れませんが、実際はそうではありません。宇海街diaryやうさぎドロップのように、保護者と非養育者と綺麗に分かれるわけではない。
槙生は槙生で、朝のお母さんであるところの実里に子どもの頃から否定をされ続けていたために嫌悪感を持っており、朝と暮らす中で、自分の中での姉の整理をしていくところがあります。あと、基本的な生活ができない。
朝は朝で、死の喪失からの回復というより、生前の母親が自分に対してどのように関わっていたのか、かなりコントロール気味だったことに徐々に徐々に気付いていって、言葉にはしていなかったモヤモヤを少しずつ言葉に出していきます。家事は好き。
要は、実里というモラハラ気質のヤバい人を介して繋がっている二人が、姉・母である実里の死後に彼女との関係性をそれぞれ捉え直すプロセスが描かれているわけですね。それに加えて、年は20も違ってキャラも全然違う者同士ですから、普通に暮らしていてもそれ相応の揉め事はあるので、それがどう勃発して収束するかを丁寧に描いています。
ほっこりポイントがいっぱい!
必ずしも大人と子どもという明確な関係ではない二人の丁寧な心の変化を楽しみつつ、それ以外にほっこりポイントがたくさんあります。
例えば、1巻の葬式シーン。
この会話は葬式あるあるですね! この後、見かねた槙生が身元引受を宣言するわけです。世間への反発心半分で。
私は以前から申し上げている通り葬式がかなり好きなんですけど、好きな理由は、上の画像のようなきな臭い会話がそこかしこで聞けるからです。
読経はみんな黙っていて、その鬱憤を晴らすように控室とか通夜振る舞いとかで遺族そっちのけで言いたい放題な親族がいるものなんですよね。死人に口なしというのもあって、この際だから故人へのモヤモヤを口に出しちゃう。
私も通夜振る舞いで似たようなシーンを見たことがあって、年端の行かない子どもに対し、「お母さんは離婚していないらしい」「お母さんがいないだけあって髪の毛染めちゃって」と聞こえるように話している人がいたから、「ここのご飯、超不味いね!」って大きな声で言って、その子に話しかけたことがありました。今思い出してみると私は槙生っぽいことしてますね、その子は引き取ってないけど。
これ以外にも実里のコントロールシスター・マザーっぷりは途中途中で印象的に描かれるので、その点も相当ほっこりします。親に毒っ気があった人は少し辛いかも。
イージーな悪役はいないから、安心して
あんまり具体的に書くとネタバレになっちゃって、それはそれでこの作品の大切に描いているものを台無しにしちゃうから書きませんけど、イージーな悪役は出てきません。
ヤバそうな実里にも事情がありそうなことは序盤から何となく分かるというか、まあ、これぐらい丁寧に槙生と朝の関係を描いているのだから、他の人物でも、同様に一人一人がどういう人間で、どうしてそういう言動に至っているのか、何が弱いところか、その弱いところを隠すためにどう強がっているかがじっくり描かれています。
勧善懲悪的な感じですっきりしたい人にはお勧めしませんが、くだらない悪役や愚かな大人に振り回されるような展開もありません。安定感、安心感があります。
締め
以上、『違国日記』のレビューでした。
私はヤマシタトモコさんの漫画を読み始めたのは2010年ぐらいからのにわか読者で、これまでの作品の印象では、あんまりほっこりエピソードを描くような人ではないと思っていたので、本作では心温まる人間関係トラブルの種がてんこ盛りでとても楽しめました。紹介してもらえて助かった。
そういえば、辻村深月さんも存じ上げなかったものの、読者からお勧めされて読んだらどの作品もほっこりエピソードがないものがなく、どれも楽しめました。
辻村深月の小説『かがみの孤城』がとても良かった。不登校が中心にあるファンタジー。お勧め - 斗比主閲子の姑日記
※中学生女子に人気
私が好きかもという作品があれば是非メール(etsuko.topisyu@gmail.com)かTwitterかブログのコメント欄ででもお勧めしてもらえると嬉しいです。ほっこりエピソード+料理シーンがあると大体食いつきます。あ、書くのを忘れてたけど、『違国日記』にも料理要素はあります。
※左が槙生で、右が朝です。槙生が違国の孤独な女王で、朝が紛れ込んだ子犬ということらしい。まあ、そんな感じではある。