斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

「消毒用アルコールが不足しているし消毒効果もあるようだし、学校での好意による次亜塩素酸水の噴霧に反対するのはなぜですか?」

家に引きこもりでみなさん辛いでしょうから、他のみなさんのほっこりエピソードでも共有できればと思いまして、

こんなTweetをして続いているこのシリーズ、今日は第16弾です。徐々にほっこり系からアドバイスを求める系が増えてきていますね。何でもどうぞ。

f:id:topisyu:20180701221015p:plain

読者からの質問

はじめまして、こんにちは。

3年前、知らない間に知人に売られて小学校のPTAの本部役員にされてから理論武装するためにネットを徘徊していた時こちらに巡り合い、以来いつも楽しく拝見しております。ありがとうございます。

今日は質問があり、メールいたします。

先日のブログ記事にて、次亜塩素酸水を噴霧するなら学校に突撃する、とのことでした。

「夫が持病持ちでの、子どもの学校再開に不安。学校再開・自粛解除にあたり少しでも安心する材料がほしい」 - 斗比主閲子の姑日記

学校は学校で、厚労省の新しい生活様式に沿った文科省のガイドラインに従っているはずですから、あまり心配はしていません。次亜塩素酸水を噴霧するとか言い出したら、速攻で突撃するでしょうが。

アルコール不足の昨今、炭酸次亜水や食塩電解次亜塩素酸水はかなりホットな代替品なのではないかと考えていたため、トピ主さんがなぜ学校に突撃するのか、その理由が知りたくなりました。

文脈からはやらなくていいこと=次亜塩素水噴霧

をやるなら怒って突撃し、やめさせるのかな?おこなのかな?

と読んだのですが、消毒効果もあるようですし、好意でやってくれることなような気がします。トピ主さんは、なぜ、突撃するのでしょう? よろしかったら、お考えをお聞かせくださいませ。

ちなみに、我が家の子供達が通う小学校では、3月から4月の初めにかけての学校運営に関しての考えで、「アルコール消毒剤でアレルギーを起こす子供がいるので、もし寄付していただいたとしても学校で使用することはできません」と、手指消毒剤の寄付を断られました。

ICTの導入なども市の教育委員会が毛のさきほども考えていない地域です。なぜこのご時世で導入をしようとしないのか、そのうち納得のいく説明をしていただく予定です。

Rより

斗比主閲子からの返信

Rさん、メールありがとうございます!

出だしの、

3年前、知らない間に知人に売られて小学校のPTAの本部役員にされてから理論武装するためにネットを徘徊していた時こちらに巡り合い、以来いつも楽しく拝見しております。

から、かなりほっこりしました。私が熱心にPTA特集をブログで組んでいたのが、もう5年前になりますから、時間が経つのも早いなと思います。

初心者でも分かるPTA ~マクロ編(全国組織、歴史、議論になる背景、地域差)~ - 斗比主閲子の姑日記

それはそれとして、次亜塩素酸水の噴霧をするなら突撃する = 噴霧の即時停止を要請しにいくというのは、次亜塩素酸水の空中への噴霧による消毒の有効性が確認されていないからです。私の上の記事を書いた前日に公的機関が調査を公表していました。

次亜塩素酸水 噴霧使用は控えて|NHK 首都圏のニュース

また、NITEでは、次亜塩素酸水は噴霧することで空間除菌ができるとして販売されるケースが少なくないことについて、人体への安全性を評価する科学的な方法が確立していないことや、国際的にも消毒液の噴霧は推奨されていないことなどを紹介する文書を合わせて公表しました。

NITEは「加湿器などで噴霧することや、スプレーボトルなどで手や指、皮膚に使用することは、安全性についての科学的な根拠が示されておらず控えてほしい」と呼びかけています。

次亜塩素酸水について噴霧だけでなく手指の消毒に使用することも控えることを示唆しているものですね。

「効くかもしれないし好意でやっているのだから、目くじら立てなくていいのでは?」と思うかもですが、調査では家庭にある普通の洗剤に含まれている成分でも消毒効果が確認されているので、

新型コロナウイルスに有効な界面活性剤を公表します(第2弾)~物品への消毒方法の選択肢がさらに広がります~ | ナイト | 製品評価技術基盤機構

2.昨日5月28日、第4回検討委員会を開催し、新型コロナウイルスを用いた候補物資の検証試験のうち現在までに得られた結果について検討を行いました。

その結果、前回有望であると判断された塩化ベンゼトニウム(0.05%以上)及び塩化ジアルキルジメチルアンモニウム(0.01%以上)について、新型コロナウイルスに対して有効と判断されました。
これにより、有効と判断された界面活性剤は次の7種となりました。

・直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(0.1%以上)
・アルキルグリコシド(0.1%以上)
・アルキルアミンオキシド(0.05%以上)
・塩化ベンザルコニウム(0.05%以上)
・塩化ベンゼトニウム(0.05%以上)【5月28日追加】
・塩化ジアルキルジメチルアンモニウム(0.01%以上)【5月28日追加】
・ポリオキシエチレンアルキルエーテル(0.2%以上)

3.なお、「次亜塩素酸水」については、今回の委員会では判定に至らず、引き続き検証試験を実施することとされました。

わざわざ判定がされていないものを学校が積極的に利用しようとしたら、「えー、ちょっと待ってよ」と私なら学校に連絡します。別に怒らずに淡々と。

ちなみに、上記の成分が含まれた商品リストも公開されていて、

界面活性剤が含まれている製品リスト(2020年5月22日版) | ナイト | 製品評価技術基盤機構

例えば、キュキュット、ジョイ、マジックリンなどのお馴染みの洗剤が新型コロナウイルスの消毒に効くとして紹介されています。ここまで親切にやってくれているのだから、わざわざ検証できていない次亜塩素酸水を消毒で利用するのは理解に苦しむ。

ちなみに、次亜塩素酸水は同じような名前の次亜塩素酸ナトリウム(ハイターとか)と混同されがちなことも結構危ういなと思っています。「次亜塩素酸水がないから次亜塩素酸ナトリウムを薄めて噴霧しよう」とか言ってるヤバい学校は、日本の中で1校ぐらいは出ているはずです。

「学校が好意でやっている」ことが実は害がある(もしくはエビデンスがない)ということは、水からの伝言やEM菌や江戸しぐさなどたまに見かけるものなので、私は空気を読まずに突撃するように心がけています。

PTAの業務リストラや学校のICT化と同じで、千里の道も一歩から、です。

f:id:topisyu:20200601003118p:plain

ポスター5/29版より

今回は以上です。

これを読まれたみなさんも、どうぞetsuko.topisyu@gmail.comまで、ブログにそのまま掲載してもよい、ほっこりエピソードをご気軽に送ってください。アドバイス希望でも大丈夫です。私が一言コメントを付けてブログに掲載します。

なお、投稿にフェイクを入れるのは確認で時間がかかるので、ご自身でするか、私に全面的にお任せする形でお願いします。また、どんな方向でコメントをしてほしいかも書いてくれたら、期待に応えるようにします。罵ってほしい、褒め称えてほしい、傾聴してほしい、何でもOKです。