斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

「子どもの学費は、払出制限のあるジュニアNISAより、一般orつみたてNISAで運用したほうが便利ではないでしょうか」

先日(「投資情報をどう入手する?」)に引き続き、投資関連の質問にお答えします。ジュニアNISAに絡むものなので、ジュニアNISA自体をよく知らない人は先にこちらの記事を読んでみてください。

子どもの学費相当(400万円)をジュニアNISAで運用する - 斗比主閲子の姑日記

ざっくりいえば、ジュニアNISAとは、

  • 子どもの投資口座を開いて、そこに親や祖父母がお金を入れてあげて、子どもの代わりに子どもが18歳になるまでお金を運用する
  • 期間は今から始めたら最大5年間、80万円/年まで運用可能(合計で最大400万円分)
  • 18歳になったときに売却をして、仮に運用益が出ていても課税されない
  • 一方、子どもが18歳になるまでは勝手に解約することはできない

という仕組みです。

Q. 子どもの学費は、払出制限のあるジュニアNISAより、一般orつみたてNISAで運用したほうが便利ではないでしょうか?

斗比主閲子さま

はじめまして、いつも楽しく記事拝見しております。

表題の件について、疑問に思ってることを質問させていただきたく、メールいたします。

私も子供の学資保険代わりにジュニアNISAでの運用を検討中なのですが、NISA商品(ジュニアNISA、一般NISA、つみたてNISA)をそれぞれ比較した場合、あえてジュニアNISAにする必要あるかなと思えてきました。

ジュニアNISAの運用資金を他のNISAで運用すれば払出制限が無くなるため、よりリスクが無くなるように感じたのですが、その辺次回の記事更新の際に、商品のお話と一緒に、多少でも触れていただけると幸いです。

突然のメール失礼しました。寒くなってきましたので、お体ご自愛ください。

一読者より

A. 一般orつみたてNISAの枠を自分用ではなく子どものために使うなら、ジュニアNISAより便利です。だけど……

質問に答える前に、NISAについて知らない人について、NISA全般について紹介します。

NISAには現在3つの種類があります。①NISA、②つみたてNISA、③ジュニアNISAです。①のNISAをNISA制度と分けるように、一般NISAとか普通NISAと呼ぶので、ここでも一般NISAとします。

参考:NISAとは? : 金融庁

①一般NISAと②つみたてNISAは、非課税で途中で解約して運用した資産を受け取ることができます。一方で、③ジュニアNISAはそれができない(子どもが18歳になるまで解約できない)ことになっています。

ですから、子どもが18歳前になる前に、なにかお金が必要になったときには③ジュニアNISAだと困るわけですね。だから、今回メールを送ってこられた、一読者さんとしては、子どもの学費は③ジュニアNISAではなく、①一般NISAや②つみたてNISAで運用したほうがいいのでは?と仰っているわけです。

これについては、そのとおりであるものの、必ずしもそうではないところがあります。必ずしもそうではないというのがややこしいので、NISAの3つの制度の比較表を作りました。

NISA制度 ジュニアNISA 一般NISA つみたてNISA

これ以外にも、この3つのNISAについて違いはいくつかありますが、今回の質問に関連するところ限定で比較しました。(簡単にまとめたものです。間違っていても私は責任が取れないので、詳しくは上に紹介した金融庁のページを見てください。)

それで、この表でもって何が言いたいかというと、

  • 投資額と運用期間次第で、どの制度を使ったらいいかが違う
  • ①一般NISAと②つみたてNISAはどちらかを選ぶ。③ジュニアNISAは①と②と併用が可能

ということです。

例えば、年間のNISAでの投資額が40万円までと考えているなら、①~③の中で、②つみたてNISAが一番便利です。運用期間が20年間あり、途中解約もできるので、融通がきく。

でも、年間のNISAでの投資額を40万円より多く120万円までと考えているなら、①だけ or ①と③ or ②と③を選ぶことになります。

更に、年間のNISAでの投資額を120万円より多く200万円までとしたいなら、①と③の組み合わせになります。

年間の投資額をどれくらいかにするで、どの制度を利用するかが変わるわけですね。ちなみに、これは親一人と子ども一人という組み合わせだけですから、親二人と子ども一人だとまた変わります。金融庁のページでは、①を両親二人、③を子ども二人で、合計400万円運用できると紹介しています。

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※画像はジュニアNISAの基礎知識 : 金融庁から

さらに、NISA制度と、確定拠出年金制度(iDeCo含む)は、また別ですから、確定拠出年金は確定拠出年金で運用可能です。なお、確定拠出年金は10年以上の投資期間で60歳以降にしか解約できないので、子どもの学費の運用には向かないですけどね。

もちろん、NISA口座を使わないで、運用益に課税されてもいいなら、ふつうに投資してもいいわけです。

締め

このように、お金の運用方法はNISAだけでも色々あるので、子どもの学費の運用方法として、ジュニアNISAではなく、一般NISA or つみたてNISAを使うべきかといえば、必ずしもそうとはいえないと書きました。

さらにややこしいことを書くと、学資保険は、NISAと違って生命保険料控除が効くので、生命保険料控除の枠を使っておらず、リスクのある投資をするつもりがないなら、NISAを使わずに学資保険を検討しても全然おかしなことではありません。

この辺の制度は非常に複雑であり、各家庭の収入状況や、また、資産運用の方針で、どの制度をどれくらい使うかは、人それぞれ、家庭それぞれとなります。

絶対的な答えがあるわけではないし、手続きもそれぞれ手間があって慣れないと辛いので、仲の良いファイナンシャルプランナーに相談することを個人的にはお勧めしたいところですね!