以前に節税についてまとめて欲しいというお願いがありました。(id:chou381さん、ありがとうございます。)
お金に困らない生活をするために気をつけていること、気をつけないようにしていること - 斗比主閲子の姑日記
節税について一度まとめていただきたい。「黄金の羽根」〜の前著は読んだけど自営の節税ノウハウばかりで役立たなかった。
2015/09/23 21:01
年末ですし、確定申告の時期も近付いてきましたので、利用しやすい節税方法を紹介しておきます。以下、注意点です。
- 節税というのはその性質上所得や財産が多い人ほど節税額が大きいものです。
- 一般的なものに限定しています。タワマン節税のようなちょっとマニアックなものは紹介していません。どれも知っている人には当たり前の節税方法です。
- 脱税指南ではありません。国が制度として認めているものです。
以上、ご理解の上、ご覧になってください。
- 10万円超の医療費控除
- 生命保険料控除
- ふるさと納税
- 住宅ローン減税
- 個人事業主は小規模企業共済
- 個人型確定拠出年金
- NISA
- 贈与年間110万円の非課税枠
- 結婚・子育て資金の贈与1000万円の非課税枠
- 締め
10万円超の医療費控除
世帯で一年間の医療費が10万円を超えると超えた分の医療費の額を所得控除できます。確定申告が必要。レシート・領収書は捨てないように。生計を一にしている家族全員分まとめられるのと、家族の誰が手続きをしてもいいので、共働きなら稼ぎがいい方が申告するといい。
特に、出産タイミングに利用する人が多いですね。出産一時金(大体42万円)などの手当て分は除いた出産関連の費用を医療費扱いされるわけですが、医療費にはタクシー代も含まれたりしますので、無痛分娩とかちょっとお高い分娩を選択して、タクシー代なんかも支払っていたら、42万円+10万円=52万円超はすぐに出ていきます。だから、出産がある年に歯医者に行ったり、他の家族も体のメンテナンスにお金をかけたりするなんて行動に出るわけですね。
確定申告で医療費控除を受けるには?出産した年はどうなる? | 気になること、知識の泉
なお、所得が低い人(例えば年収300万円切るぐらい)だと医療費控除ができる下限が10万超を下回る可能性があります。
10万円以下でも医療費控除が受けられる場合がある [確定申告] All About
生命保険料控除
給与所得者なら年末調整で見てるはず。生命保険、個人年金保険、介護医療保険の保険料の一部を所得控除できます。保険会社のロビー活動の賜物です。
税金の負担が軽くなる「生命保険料控除」|公益財団法人 生命保険文化センター
ふるさと納税
ざっくり言えば、今住んでいる自治体に納付予定だった住民税を特定の自治体に寄付をすると、その寄付に応じて20~50%ぐらいの商品等をその自治体からもらえる制度です。純粋な寄付もできますけどね。別名、ふるさとショッピング。
米や肉や魚介類が人気です。3万円ふるさと納税をすると60kgぐらい米をくれる自治体があるため、これで生きながらえている人もいるはず。
住宅ローン減税
住宅ローン残高の1%が、所得税から10年間控除される制度です。ここずっと金利は低いですから、頭金を増やさずあえて借金を背負うことで節税できます。
個人事業主は小規模企業共済
有名ですよね。一定の掛け金が所得控除されます。個人事業主の退職金制度みたいなもの。
個人型確定拠出年金
自営業者や企業年金がない会社員が、証券会社や銀行で個人型確定拠出年金の口座を開き、そこで提供されている金融商品を購入すると、拠出金額が所得控除の対象となります。会社員は年間27.6万円、自営業は81.6万円までです。運用収益も非課税。60歳まで下ろせませんけど、下ろす時にも色々な課税控除があります。最強に近い節税方法の一つです。
2017年1月から対象範囲が専業主婦や企業年金がある会社員や公務員にも広がります。お勧めの証券会社・銀行は、楽天証券、SBI証券。
NISA
特に説明は不要でしょう。証券会社・銀行でNISA専用口座を開き、そこの口座経由で毎年100万円分まで投資した金融商品につき、その金融商品を売却した時の売却益が5年間の間であれば非課税になるというものです。
新しい投資優遇制度「NISA(ニーサ)」がスタート!将来に向けた資産形成を考えるきっかけに:政府広報オンライン
贈与年間110万円の非課税枠
これも有名ですね。贈与税は贈与する人が贈与される人一人に対して年間110万円までなら非課税です。相続財産が多い人が死ぬ前に子供や孫にお金を配るときに便利です。要するに相続税対策。受け取るほうが一人あたり最大年間110万円まで非課税なことに注意です。母方の祖母、父方の祖母から110万円×2もらっちゃったら課税されます。
結婚・子育て資金の贈与1000万円の非課税枠
贈与税110万円枠以外に、最近は親から子供に対する所得移転が進むような贈与制度が出来てきています。かなり現金がある一族限定ですが、流行っているので一応紹介しておきます。
以前から結婚式の費用は非課税でしたけど2015年4月から1000万円の一括贈与をしても非課税という制度ができました。不妊治療の費用にも使えます。
親から貰った結婚費用やご祝儀には、贈与税はかかる? [ふたりで学ぶマネー術] All About
類似のものに、住宅取得資金の贈与1500万円の非課税枠(将来的には3000万円)とか、教育資金の贈与1500万円というのもあります。どちらも流行っていて、2019年までの時限的措置です。高齢世代から若者世代への所得移転が目的ですね。
締め
消費税の増税、配偶者控除の廃止(予定)、相続税の基礎控除の減額など、今の日本では社会保障費の増加を受けて基本的に増税傾向にあります。
今回紹介したもののうち、時限的措置となっている節税方法は、ある意味、国からのお目こぼし・推奨です。一定の消費・投資・所得移転をすれば経済効果が大きいため、それなら節税させてあげますよというもの。
この種の節税方法は知っている人は知っているものの、趣旨や手続きを理解していないため利用していない人がかなりいます。個人型確定拠出年金はその筆頭ですね。
マイナンバー制度が始まり、これまで以上に所得は筒抜けになりますから、所得隠しではなく、節税需要は高まっていきそうな気がします。