先日、「ポジションを取って意見を言うことを大切にしてる」という記事の中で、「ポジションは取るけどポジショントークはしない」ということを書きました。
仕事で大切にしていること → ポジションを取って発言すること - 斗比主閲子の姑日記
あと、ポジショントークって言葉があるように、自分の利益に誘導する形でのポジションの取り方だと、そんな人の話は誰も聞きたくありません。
このポジショントークというのは、例えば、佐藤優さんや鈴木宗男さんがウクライナを非難する(ロシアを肯定する)ぐらい分かりやすいのは珍しく、常識のある人なら、「ポジショントークって思われるから、利害に関係のない話をしよう」と気を付けるので、実はなかなか遭遇しないものです。普通は隠します。投資家界隈だとジム・ロジャーズが有名だけど。
そんな貴重なポジショントークを、定期購読している個人投資家ブロガーさんお二人が紹介していました。
最近のさわかみファンドはどうなのか - 梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー(インデックス投資実践記)
冬の時代を迎えるインデックス投資(澤上篤人) - 40代でアーリーリタイアしたおっさんが たわら先進国株でベンツを買うブログ
アクティブファンドであるさわかみファンドを販売するさわかみ投信株式会社の創業者澤上篤人さんの日経の記事です。
冬の時代を迎えるインデックス投資(澤上篤人): 日本経済新聞
そんなインデックス運用だが、中身は玉石混交だ。金利上昇局面ではゼロ金利に甘えてきた企業の多くが、株価の下落に伴って淘汰されていくが、マーケットから退出する寸前まではインデックスの足を引っ張る。それがインデックス運用の成績悪化につながる。われわれのアクティブ運用からは大きく引き離されよう
記事の前半と後半で話があっちゃこっちゃに行ってよく分からないんですが、要は、金利上昇局面はインデックス投資のリターンが下がるから、アクティブ投資がお勧めということです。分かりやすいポジショントークですね。
私の感覚だと、こういう感覚論を言っても投資家には響かないので、
私だったら、せめて、過去の金利上昇局面でのインデックス投資(パッシブ投資)とアクティブ投資で、どれだけリターンの差が出ているかを紹介します。金利上昇局面ではアクティブが強いというデータがあるならすぐに出せるはず。もちろん、自分のところの運用が過去のトラックレコードで、金利上昇局面でリターンが良いならそれはそれで使えますよね。
しかし、澤上さんは特にデータも使わず、そして、自分のところの運用状況も書いていません。これでは、説得力に欠ける。
別にポジショントークそのものが悪いとは言いません。
ただ、アクティブファンドであるさわかみファンドは、手数料を年間1%取るのに、梅屋敷商店街のランダムウォーカーさんが紹介している通り、直近10年は日経225と同じか下回るぐらいの運用しか出来ていないかなり残念な状況で。金利上昇局面真っ只中の直近1年で見ても日経225とほぼ同じ動き。
ポジショントークをするなら、それに見合った実績が合った方が断然説得力があります。ちょっと待って自分のファンドが勝ててからでもいいんじゃないかと私は思いました。このタイミングはいまいちです。
ちなみに、前半と後半で話が繋がらないこの記事の、前半部分ではこんなことが書かれています。
とりわけ中小企業の事業承継問題は深刻である。中小企業や町工場の創業社長が高齢を迎え、その事業や技術をどうやって次世代に承継させていくか。この問題は以前から指摘されていたが、遅々として解消に向かっていない。
私はこの部分を読んで、自身の会社の事業承継が難しいということを暗に言いたいのかなと受け取りました。
というのも、さわかみファンドの運用がいまいちなここ10年というのは、社長が澤上篤人さんから息子の澤上龍さんに変わった時期(2013年-現在)と一致しています。この間の最高投資責任者の草刈さんは元舞台俳優。
その草刈さんは、成績不振によるものか、たわら男爵さんが紹介されているように、投資初心者でさわかみファンドに中途入社して4年ぐらいの経歴の黒島さんに最高投資責任者の座を譲りました。
こういうところから、たぶん、澤上さんの中では、自分の悩みと、自分の利益とがごっちゃになって、よく分からない記事に仕立て上がっちゃったんじゃないかと思いました。
ちなみに、私は金利上昇局面で、自分の目で玉石を見分けられないのは確かで、アクティブファンドには頑張ってほしいし、良いアクティブファンドがあるならお金を預けたい考えはないわけじゃありません。
ただ、自分の息子を社長に据えて、ファンドマネージャーに経験豊富じゃない人を2代連続で置いて、ポジショントークで投資家を集めようとしている会社にお金を預けたいかと言えば、ちょっとそれは厳しいです。
以上、今日はこんなところです。ではでは!