斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

感覚論を排し、定量で語るの大事

私が何か問題を解決したいと思ったときに大切にしていることとして、感覚論ではなく、定量で語るというのがあります。

例えば、子どもが部屋を片付けていないとき。

「部屋が片付いていないよ。キレイにしたら?」と子どもに指摘したとしても(実際は私はこの手の指摘はしない)、部屋の片付け度合いというのは人それぞれで感覚が異なりますから、言われた子どもはどこまでキレイにしたらいいか分からない。

これを、「床が見えるぐらいにしたら?」とかだったら、明確ですよね。

さらに突っ込めば、「一番奇麗なときを100として、もっとも片付いていないのが0として、今の段階は30ぐらいだから、70ぐらいを目指してはどうか?」と写真付きで段階で示すと、どこまで奇麗にしたらいいかが一目で分かります。

他人と自分の感覚というのは違って当然ですから、何か共通のゴールを目指そうとするときには、ゴールを定量化する必要があります。

「今度、成績が良かったら、ボーナスを多めに支払うよ」ではダメで、「売上が〇百万円を超えたら、その売上の〇%をボーナスとして支払うよ」にしないといけない(このインセンティブ設定も私は実際にはしない)。

定量で語るのは非常に強力です。新人でも熟練者に勝てるので、データを取るのは若い人には特にお勧めできる。

数字とロジックで語る

ファクトとは、事実のこと。つまり自分の経験談や、気の利いた言葉ではなく、動かしようのない事実をさします。事実の最たるものが「数字」。数字は誰も動かしようがなく、否定もしようがありません。ですから、数字でものを言うのが、いちばん効果的です。

出所:大石哲之. 図解 コンサル一年目が学ぶこと (p.26).

図解 コンサル一年目が学ぶこと

図解 コンサル一年目が学ぶこと

  • 作者:大石哲之
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
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私は自分の観察して気付いたことはできるだけ定量化して説明するようにしています。「私の感覚では、会議が盛り上がっていない気がする」ではなく、「1年前の会議に比べて、出席者の質疑応答数が〇%減少している」とか、「会議後のパフォーマンスが〇%低下している」とか、そんな感じにするってことですね。

定量化は数字を取らないといけないので、感覚論で語るのに比べると時間がかかってしまいます。即効で解決しないといけないときに、毎度定量を考えるのは手間がかかり、致命的なことになりえる。

ただ、集団で何かを実現したいときには感覚論で判断してしまうと、リソースを無駄に使ってしまいがちです。また、軌道修正するのも大変。

多くの人間で、何かを改善したいと思うのであれば、多少最初に時間がかかっても、問題を定量的に分析したほうがいいですよね。結果的に判断もしやすくなる。

判断を急がず、データを集めてから行動する

自由に裁量してよい部分が多くなるほど判断が難しくなるのは、客観的なデータによる裏付けに乏しいからです。ですが判断を急ぐのをやめれば、客観的事実とその受け止め方が非常に明白になり、迅速な判断ができるようになります。機が熟したからです。

出所:オードリー・タン; 黄亜琪. 天才IT大臣オードリー・タンが初めて明かす 問題解決の4ステップと15キーワード (p.169).  

また、定量的に分析しておくと、解決策がどれだけ有効だったかを測ったり、現状の進捗がどのくらいかを確認したり、そういう経過分析もできるようになります。

「〇〇という対処をした結果、何となく会議が盛り上がるようになった気がする!」では、個人の主観で終わっちゃいますよね。定量化することで、「〇〇による効果は、一度実行したときに〇%会議の発言数が増えた。〇〇を行う回数を増やしたことで、その後も〇%発言数が増えたので、〇〇は施策として有効だったかもしれない」という整理がようやくできるようになる。

さらに、定量化しておくと、自分の偏見に気付けたりします。「最近の若い子は語彙力がないな」「若い子は仕事を全然頑張らない」というのが、よくよく語彙力測定や仕事の成果分析をしてみると、実は自分が勝手に思い込んでいたりするなんてことはよくあることです。

「私は問題だと思っているのに、周りの人が全然動いてくれない!」「色んな解決策を提案・実行してきたのに、全然解決した感じがしない!」という印象を抱いたときには(これ自体も定量化したほうがいい)、ぜひ、定量化をするのがお勧めです。

1か0の話なのか、1か10の話なのか、このレベルのことでさえも、自分の感覚は安定しないし、また、人と自分の感覚も合っていなかったりします。

数字が嘘を付くとか、本当に数字で何かを分析するのにはリテラシーが必要だとか、そういう応用の話もあるんだけど、その手前として、感覚論で語るのではなく、定量で示そうとするという意識を持つのは、かなり大事だと思っています。

私はかなり意識しているけど、ときどき忘れてしまうことがあるので、備忘録的に書いておきます。