記録に留めておいたほうがいい発言と考えたので、ブログで紹介しておきます。麻生副総理による参院財政委員会での「民度が違う」発言です。
「民度が違う」発言で麻生氏がさらした決定的な事実誤認とは - 毎日新聞
麻生氏は「こういうのは死亡率が一番問題」と前置きした上で「調べてみたが、人口100万人当たりの死亡者が日本は7人、フランスは228人、米国が824人、英国で309人」と紹介。「『お前らだけ薬持っているのか』とよく電話かかってきたもんですけども、『おたくとは、うちの国とは国民の民度のレベルが違うんだ』っていつも言って、言ってやるとみんな絶句して黙るんですけど、そうすると後の質問が来なくなるんで、それが一番簡単な答えだと思って、クオリティーが違うという話をよくしていました」と続けた。
session-22でも音声を聞ききましたが、麻生副総理は楽しそうに流暢に語っていました。
この発言の話のならなさはいくらでもありますがあえて書き出すと、
- 他国からの問い合わせに対してまともに回答をしていない
- さらには他国の民度が低いという屈辱的なコメントをしている(悪印象を抱かせている)
- 相手がリアクションをしないことを上手く言ってやったと勘違いしている
- そもそも100万人あたりの死亡率が日本が特別に低いと考えている
こんなところでしょうか。
このような発言を副総理が他国からの問い合わせにしていたことに私は衝撃を受けましたし、こんな愚かな発言をして日本の地位を貶めていることに本人が気付いていないことにも衝撃を受けました。
財務大臣にも関わらず金銭感覚がないことは知っていましたが、
財務相「みんな銀行にお金が余っているじゃん」←No。貯蓄がない世帯は全世帯で約15%・母子世帯は約40% - 斗比主閲子の姑日記
まさか、外務大臣を2回勤め、首相経験のある人が他国に対して、日本の足を引っ張るような発言をしているとは思いも寄りませんでした。内輪の論理に浸り過ぎてバランス感覚が失われているようにしか思えません。
この発言はセンスのなさの塊のようなものですが、本人が数字に強いつもりだったら一番問題なのは4点目です。
以下は直近時点での100万人あたりの死亡者数です。日本は麻生副総理が言う通り7人で、これはヨーロッパ諸国やアメリカ・カナダ・ブラジルあたりと比べれば格段に低い。
※画像はファイル:COVID-19 Outbreak World Map Total Deaths per Capita.svg - Wikipedia
では、日本より低い国がないかと言われれば、韓国5人、オーストラリア・ニュージーランド4人、中国3人など日本より低い国がアジア圏には多数あります。
私の理解するところでは、麻生副総理は常々韓国や中国を見下す発言をしてきました。彼の理屈でもってすれば、日本より数字の低い韓国や中国は日本より民度が高い国になります。そんなことを麻生副総理が認めるわけがありませんから、他国の数字を正確に把握していなかったんじゃないかと推測されます。本人が強いはずの数字のセンスに問題がある可能性がある。
もしかしたら、日本以外の他国の数字を信じていないのかもしれません。
麻生氏、新型コロナで「中国が出す数字はだいたい違う」:朝日新聞デジタル
確かに、私も中国の出す統計数字は常に疑っていますし、インドネシアやインドの死亡者数が相対的に低いのは十分なチェックができていないのではという何となくの感覚があります。
ただ、統計不正を幾度となく行ってきた今の政府の中核的な人間が他国の数字を間違っていると推測しているとしたら、それは人は自分の鏡と見ているんじゃないかと訝しんでしまいます。ロシア政府が他国に対して疑り深いように、自分が数字を誤魔化すことが当たり前になっているから、他国も数字を誤魔化すと思っているんじゃないかって。
他国の国民のクオリティーを問う前に、ご自身の政治家としてのクオリティーを今一度考えていただきたいなと、一国民としては願っています。