財務相がこんなことを言っていたんですが、
麻生財務相「商品券は貯金にはいかない」 経済対策 [新型肺炎・コロナウイルス]:朝日新聞デジタル
例えば、まあ色々な形で何か買ったら(一定割合や金額を)引きますとか、商品券とかいうものは貯金には(お金が)あまりいかないんだよね。意味、分かります?リーマン(・ショック)の時と違うんだよ。リーマンの時、マーケットにキャッシュがなくなったんだから。今回はどこにそういう状態があるの? みんな銀行にお金が余っているじゃん。だから、お金があるんですよ。要はそのお金が動かない、回らないのが問題なんだから。(24日、記者会見で)
これは誤りです。みんな=allが銀行にお金が余っているということはありません。割と常識的な話だと思っていたので、財務相がこの程度の認識なのは残念です。
少し古いですが、2016年時点で貯蓄がない世帯は14.9%ですし、母子世帯でいえば37.6%です。
ちなみに、「リーマン・ショックの頃に比べて余っている」というのも違います。
リーマン・ショックの直前の2007年時点で貯蓄がない世帯は2016年よりも低い10.2%です。2016年は2007年に比べ貯蓄額も平均で100万円ぐらい減っていますし、借入金も少しだけ増えています。
財務相の認識は大企業のことでしょう。今、大企業でリーマン・ショック前よりお金が余っているのは本当です。日本国内での資金の流動性がリーマン・ショック時より今のほうがましというのも本当。ただ、企業には商品券は配らないので、話がずれています。
個人でいえば貯蓄がない人は増えていますし、貯蓄の額も減っています。繰り返しですが、財務相が「個人消費がさえないのは個人が以前よりお金を貯め込んで使っていないから」という認識なのは財務省を見る大臣としては大変残念です。
官僚もやりがいがなくて辛いと思いますが、しっかりフォローしてもらいたいところです。あと、日経新聞の記者はこんなこと分かっているんだから、「大臣、頭は回っていますか?」と即座に突っ込んでください。