斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

「自分に合わない映画か」は分かるけど、「投資で損切りするタイミングか」は私には分かりません

こんなTweet(漫画)が話題になっていました。 

お金を払って鑑賞することになったつまらない映画を、時間の無駄だと途中退席できるかは、投資をする際に損切りできるかに通じるという、そういう内容です。

要はサンクコストの重要性を示しているわけですが、映画を例にしてしまったせいで、プチ炎上しています。インベスターZ自体は10年前の作品ですから、今更プチ炎上したところで痛くもかゆくもないどころか、宣伝になって願ったり叶ったりでしょう。

それはそれとして、投資の世界では損切りが重要だというのはずっと言われ続けています。理屈としては、すでに下がってしまって上がる気配がない投資先なら塩漬けにしておくよりも、いっそのこと売ってしまって他の投資機会を探した方がいいというものです。

私も個人投資家を約20年やってきていると、損切りの重要性を説くメディアや投資家には多く出会ってきました。その度に私が考えていたことがあります。それは、「特定の株の価値が短期的に上がるとよく予想できるな」「今下がっているとして、そこから回復しないってよく判断できるな」「他に株価が上がる投資先をよく探してこれるな」といったものです。

冒頭に紹介したフィクションの世界であれば、損切りは簡単に実現できます。何しろ作者が自由に表現できるわけですから、都合の良いように損切りで成功するシーンを描けます。そんな分かりやすい漫画はつまらないと私は思いますが。

一方で、リアルの世界で損切りを行うのは非常に困難です。例えば、投資先に電気自動車のテスラを選んだとして、株価は乱高下しています。正直私にはいつ買っていつ売ったらいいかなんて全然分かりません。

※Googleファイナンス

「テスラは株価の変動が大きいから損切りの大切さを語る上で適切ではない」と言う人もいるでしょうから、日本のローカルな上場会社である養命酒の株価推移です。最近ぽーんと株価が上がっているのはあるとしても、1500円から2500円を行ったりきたりしていて、これも私にはいつ買っていつ損切りするのか、判断できる気がしません。

※Googleファイナンス

一方で、「この映画は自分に合わないな」というのは見始めて5分~10分ぐらいで判断はできます。もちろん韓国映画の『箪笥』や邦画の『カメラを止めるな!』みたいに、どんでん返しがある映画だと序盤だけ見て判断が難しいですけどね。

たぶん、私のように映画や漫画や小説などのエンタメが自分に合うか合わないかは多くの人が常日頃当たり前のようにやっていることだと思います。テレビ番組のザッピングだったり、Youtubeで見る動画を次々に変えたりしたりするのは、特別な才能は不要でしょう。

投資の世界で損切りが難しいのは、自分の感覚が信用に足らないからです。何をもって割安と思うか、何をもって割高と思うかは自分だけの判断では決まりません。自分が成長すると思っている企業でも他の人はそう思わなければ株価は上がらないし、逆もしかりです。投資の世界は美人投票というのは言い得て妙で、それが自分機軸のエンタメとの大きな違いです。正直、比較するのも意味がないと思うぐらい別の類だと思いますが。

そういうわけで、私のような株の割安割高が判断できない人間には損切りは到底できないことなので、諦めて、指数に投資をするインデックス投資を長期間続けています。

個人投資家として約20年投資をし続けてきて、投資先を売却したことは何度かありますが、基本的にはリバランスであったり、安い手数料の金融商品に鞍替えしたりする時だけです。buy and holdをずっと続けています。

損切りが非常に重要だと考えている人からは信じられない投資スタイルでしょう。ただ、地道にコツコツ投資をし続けてきた結果、投資資産の価値は1億円を超え、富裕層となりました。

映画の良し悪しを即座に判断するように、投資先の良し悪しを華麗に判断して損切りができる天才的な投資家でない、私と同様の一般人には、インデックス投資の長期投資で資産形成をするのが無難だと思います。

※投資初心者にまずお勧めするのはこの本。山崎元さん、これからも情報発信を続けてほしかった