斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

IMFの日本の消費税20%必要説は釈然としないのだけれど、資産課税に言及しているのは良いと思った

言いたいことはタイトルですべてです。

先日、IMFが日本に関する報告書を出し、合わせて、来日していたIMFの専務理事がインタビューに応じて、消費税を2050年までに20%に増税する必要があるとコメントしていました。

「消費税30年までに15%」 IMF専務理事 日銀物価目標、2%から幅を :日本経済新聞

昔からIMFは日本に消費税増税を言い続けていたので想定できる内容なんだけど、もっと労働者の給与を上げるべきとも言いつつ消費税増税も訴えるというのは、何だかなと思いながら読んでいました。

ただ、もとの報告書を見ないであーだこーだ言うのもよろしくないとIMFのページに行って、その日本向けの報告書をチェックしてみました。11月25日付けで発行されています。

Japan: Staff Concluding Statement of the 2019 Article IV Mission

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Strengthen redistribution effects . Japan’s capital gains tax (part of the Financial Income Tax which also covers dividends and interest) is a flat rate of 20 percent, with some exemptions intended to promote household financial investment. The rate of taxation on capital gains should be gradually increased to 30 percent, starting in 2022. Alternatively, re-introduction of a wealth tax could be considered. A new wealth tax with zero or very few exemptions, a high threshold, and a low flat rate would minimize administrative costs and help limit capital flight, while addressing inequality and collecting meaningful revenue.

それで、よく見ると消費税の増税以外に、株式の譲渡益課税が20%であるのを30%に増税するか、もしくは、資産課税をうすーく広く取ることを提案しています。

私はトマ・ピケティの影響を受けて、自身は富裕層であるものの富の分配政策としての資産課税を導入するべきというスタンスです。

今回のIMFの資産に対して一律に薄く税金を取るというのは、相続税や株式の譲渡益課税のように何かのタイミングでの課税に比べると、行政コストも少なくできそうな気がする。IMFが消費税増税をどうのこうの言い続けるのはこれからも正直いまいちに眺めていると思いますけど、資産課税に言及してくれるのは浸透のきっかけになっていいんじゃないかなと思いました。