斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

音楽に興味がないけど、クイーンの伝記映画『ボヘミアン・ラプソディ』(映画)は楽しかった

姑に子どもを預けて、パートナーとデートをすることができたので、では、映画でも観に行こうかと思い、今、上映されている映画を一通りチェックしたところ、ロックバンドのクイーンを題材にした伝記映画である『ボヘミアン・ラプソディ』が最も評判が良かったので、観に行ってきました。

Bohemian Rhapsody (The Original Soundtrack)

タイトルに書いてあるとおり、私は、音楽にまったく興味がなく、むしろ、音楽は人生の邪魔と思っているぐらいで、クイーンについても、ボーカルのフレディ・マーキュリーが白タンクトップのヒゲのおじさんで、曲はテレビCMで流れていたのを何曲か聞いたことがあるぐらいでした。

しかし、映画はとても楽しめました。音楽に興味がない人間による、こういう映画のレビューというのは、それはそれで需要がありそうだなと思い、あえて、ポジションを明確にして、この記事を書きます。(〇〇だけど、△△は良かったの、〇〇を書くのは私は意味があると思っている派です。)

そういうレビューを求める人だけ読んでください。素人の生半可なレビューをどうしても受け付けられない人は読まないことをおすすめします。あと、クイーンについてwikipediaに書いてあるぐらいのネタバレはあります。

何が面白かったか

まずは、フレディ・マーキュリー(の役者)が、何とも言えない、みすぼらしい青年であったことに驚き、そして、その青年が徐々にマッチョな彼に変化していく様が、楽しかったです。

だって、最初に登場したときのフレディ・マーキュリーは、空港の荷物を投げる仕事をしている、ヒョロいお兄ちゃんなんですよ。周りから、「このパキー(パキスタン人)、仕事を怠けるな」とか馬鹿にされている、か細い、神経質っぽい男の子が、あんな白タンクトップになるとはとても思えなかったのに、かなり無茶な売り込みで実現した初ライブでは、「ああ、確かに、この人なら、あの白タンクトップになるわ!」と思わせる、パフォーマンスをいきなり発揮する。

役者って凄いなと感心しました。演出も巧み。

あとは、途中途中のライブシーンも格好いいんだけど、最後の10分?以上あった、1985年のライブエイドのシーンは、私もそのときに一緒にいて、一緒にライブを聞いている感覚になれました。

とても楽しかった。

違和感があったシーン

面白かったけれど、私個人として違和感があったシーンはいくつかありました。というか、キャラクターというか。

一人は、フレディ・マーキュリーの最初のパートナーであるメアリー。途中、フレディ・マーキュリーが迷走すると、どこからともなく現れて、道を正そうとします。ただ、フレディ・マーキュリーが一緒にいてくれと懇願しても、結構そっけなくいなくなっちゃうんですよね。実際、元パートナーであったとしてもできることはその程度でしょうが、わざわざ異国の地まで彼を心配して訪ねにくるのに、苦言を呈してさよならという感じだと、なんだかなと思う。

もう一人は、こちらはフレディ・マーキュリーの最後のパートナーである(らしい)ジム・ハットン。映画の中でのジムとの出会いは、フレディ・マーキュリーの乱痴気パーティの後片付けにきていたジムのお尻をフレディがなでたらかなり怒られたんだけど、実はジムもゲイで、フレディとその後、一夜をともにする。でも、ジムは名前を教えるだけで、その後しばらく登場シーンはなし。

何かあるなと思っていたら、物語の終盤で、フレディが唐突に(一応、けじめをつけたということなんだけど)、ジムを見つけ出し、両親にイチャイチャしているところを見せたり、バンドメンバーに見せたりして、ライブエイドのシーンでは、ジムの顔が何度も映る。ライブエイドでめちゃくちゃノッてるときに、物語的には馴染みのないジムの、しかも、とてもつぶらな瞳を何度も見せられると、いや、そんなにジムを押されても……という気持ちになりました。

メアリーにしても、ジムにしても、フレディ・マーキュリーを説明する上では欠かせない人物であることは、帰宅して読んだwikipediaで理解はできたのですが、メアリーがちょくちょく登場するのと、ジムが最後にめちゃくちゃ目立つのは、何か違和感あるなと思いました。

私個人の感性の問題もあるでしょうし、フレディ・マーキュリーについて知らないからこそ感じた違和感ですから、特に一般化できるものでもないし、一般化したいとも思いません。

そういえば「ベルファスト出身のカトリックでゲイ」も良かった

一方で、映画を観た人なら、たぶん、7割ぐらいが不愉快な人間であると同感するだろう、ポール・プレンターについては、「ベルファスト出身のカトリックでゲイ」と語る場面と、雨の中で、フレディと決別するシーンは、とても良かったです。面白かったシーンに書くのを忘れてた。

フレディがバンドメンバーと仲違いし、恐らくはエイズに感染する機会を与えただろうこともあって、完全に嫌われ役としてポールは描かれているのですが、彼の生い立ちが、要は、ベルファストのカトリックという少数派の中で、更にゲイというマイノリティであると知ると色々考えさせられるものがあり、また、フレディと決別するシーンの女々しさも、人間の苦しさ、寂しさを感じられました。

ポールのせいで踏んだり蹴ったりなフレディ。でも、フレディはポールを重用している。フレディもマイノリティだったから、マイノリティであるポールを簡単には切れなかったという風に私は解釈しました。

この点をもっと深堀りしたいと思って、私が読んで良かった記事もあわせて紹介しておきます。

https://sotodeyo.hateblo.jp/entry/paul-prenter

締め

以上、ざっくりした感想です。

ちなみに、Youtubeでクイーンのライブエイドの動画が見られるんですが(合法動画かどうか判断できないので貼りません)、映画はほぼ状況を再現していました。

ライブシーンだけを見るのでも十分価値があると思います。私はIMAXシアターで見て、それでもかなり感動したので、ライブが好きな人はDolby環境で見られるなら見るといいじゃないかと思いました。映画館でこそ観て楽しい映画ですね。