斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

映画『ジョーカー』を観終わったあとの夫婦の会話

子どもを預けて夫婦で映画『ジョーカー』を観てきました。以下は観終わったあとの私とパートナー(以下、パと略します)の会話です。

Joker - Put On A Happy Playlist [Explicit]

私「どうだったー?」

パ「そもそも前提知識があやふやなんだけど、どこにバットマンって登場したの? ゴッサムシティはバットマンにだけ登場する街??」

私「それを分かっていないでよく観に行こうと思ったね!?」

パ「だって周りで話題になっていたから面白いのかなって。でも、よくあれにお金を出してみようと思う人がいるよね。お金を払ってなぜわざわざ苦痛に共感しないといけないのか。ジョーカーが体験していることは気分が悪いし、カタルシスもないし」

私「はいはい」

パ「映画とは楽しくなるためのものでないの? なぜこの映画が売れてるんだろうか。売れてるんだよね? 自分にはよく分からないけど人が好きなものはあるから、そういうものの一つなんだろうな」

私「そんなに辛かったのに、よく最後まで観られたね!」

パ「期待値が低かったから。世の中の人は何が観たくて観に来てるのかな? バットマンが好きな人が観に来るの?? ダークナイトのときからバットマンは単純明快活劇じゃないというのは知っていたけど、ヒーローのバットマンが好きな人たちがこれを観に来るの? ヒーローも関係ないし、何をどうしたらいいのか、どこを楽しめばいいのか、分からなかった」

私「よく、本当に観てられたねー!」

パ「繰り返しだけど、期待値が低かったのが良かった。凄いと思ったところはあるよ。よくぞ人が狂うまでの過程をここまで積み上げたものかと。ホラーではないということだろうけど、ホラーならホラーとして楽しめるんだけどね。怖いものを面白くみるわけでも、最後救いがあるわけでもないし」

私「はいはい。どう観るかのスタンスは難しかったね」

パ「この映画が売れているということは、世間一般の大衆が楽しんでいるということなんでしょ? この映画を高尚な人が見るのは分かるんだけど。短館上映ならまだしも。この映画は普通にハリウッドの大作ってことでいいんだよね? これがハリウッドの大作ということなら、これが受け入れられるだけにアメリカ人も勧善懲悪だけが好きな人だけじゃないんだな」

私「なるほどね」

パ「周りの人から凄い面白いって聞いてたけど、そういう形でアンテナに引っかかった作品とすれば大衆的じゃなかった。どこを楽しんでいいか分からなかった。で、あなたはどうだったの? アベンジャーズとか好きなのに楽しめたの??」

私「正直なこというと、私はアイアンマンとかバットマンはそのキャラクター単体は好きじゃないんだよね。どっちもお金持ちでしょ。お金持ちが事情がある犯罪者を叩き潰すという構図が嫌い。だから、この映画は自分がルサンチマンの視点で、ジョーカーに鬱屈したものの代弁者になって欲しくて観てたわけ。異世界転生物の小説やアニメで、現実世界で目立たなかった人が俺tueeeをしているのが観たかった」

パ「え、ルサンチマン!? え、あなた、そんな悲惨な人生を過ごしてきたの!?」 

私「いや、世界で相対的に見ればまったくもって悲惨じゃないよ。ただ、メンタル面としてはそんな感じ。何というか、反骨精神というか、反体制というか、そういうのはあるんだよね」

パ「ふーん」

私「で、映画のジョーカーがそんなに悲惨かというとそこまででもないかなと思った。確かに、お母さんと一緒に住んでいる建物は酷いけど、生活にギリギリ感はなかった。家賃の督促状が来ることもなかったし。もっと悲惨で良かった」

パ「え、もっと悲惨なほうが良かったの!? ジョーカー、辛かったじゃん」

私「え、辛い?」

パ「だって、悲しかったでしょ。フィクションだと分かっててもあの境遇は悲しいじゃん。すぐ隣でマレフィセント2やってて、みんなヴィランに憧れるお年頃なのかな?」

私「それに絡んでだと面白いニュースが日経にあって。ドナルド・トランプって歴代大統領の中で支持率がもっとも変動が少ないんだって。

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※画像はトランプ氏VS民主 ひもとく3つのデータ:日本経済新聞から

ほら、低いところでトランプの支持率って安定してるでしょ。で、共和党支持者と民主党支持者では相手のことを好ましくないと思う人の割合が増えているというのも同時に統計が紹介されている。アメリカでは分断が明確に進んでいて、そういう背景からすると、スーパーヒーロー人気との逆で、ヴィラン人気も強固になってるんじゃないかと思う」

パ「へー。さっき、思ったよりは悲惨じゃなかったって言ってたけど、じゃあ、面白くなったってこと?」

私「まあ、そうね。私は、悲惨さの期待値を凄い上げちゃってたから。アメコミのスーパーヒーローやジャンプでもそうだけど、最近は事情があってヒーローがヒーローやっているというのが一般的になってたから、最高のヴィランの一人として人気のあるジョーカーだから、もっと説得力ある形で、もっと悲惨であったほうがいいなと思った」

パ「なるほどね」

私「『僕のヒーローアカデミア』でのウィランいるじゃん?」

パ「しがらき?」

私「そう、死柄木弔(しがらきとむら)。最新刊の24巻でヴィラン連合のそれぞれの背景が一人ひとり説明されていったでしょ。あれも悲惨さが足りなかった。特に死柄木弔はすでに数百人は殺しているはずだけど、その原因があの家庭内事情というのは、ちょっとなと」

パ「闇に対して割があわないってこと?」

私「そう。抱えている闇の割にしでかしていることが割が合わない。正義なりの必然性があるように、悪役なりの必然性を悪役キャラでは描かれて欲しい。ジョーカーも、面白かったけどもう一ひねりが欲しい。一つ一つは環境が揃えば誰にでも起こりそうなものでも、人(ジョーカー)を壊すには十分だったてことを映画では見せたなかったのかな。正直、社会的なメッセージはどうでも良いと思って観に行っていたから、もしかして、not for meだったのかもしれない」

パ「なるほどね」

私「もっとジョーカーの妄想が酷くなってほしかったね。妄想って一つの切り口だけだったから。それだけじゃないでしょって。終盤のあの一連のシーンはカタルシスがあったけどね。ああいうのがないと悪の象徴にはならないから」

パ「エンタメ作品として期待していたってことかな。個人的に暴力で問題が解決するのは良くないと思っているから、そういうエンタメ作品が今後どうなるか、その中でも一番先を走っているアメリカのヒーロージャンルがどうなるか楽しみで観に来てたから、こういう映画も作れる(観られる)んだというのは面白かったよ」

私「確かに、そうだね。じゃあ、セックスしようか」

パ「うん」

以上、『ジョーカー』を観終わったあとの夫婦の会話でした。夫婦で観てきた過去の映画も紹介しておきます。

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