今日は一人小町というか、読者から頂いたちょっとした疑問への回答です。
Q.漫画に慣れると本を読めなくなる、それは迷信なんでしょうか?
topisyu様
初めまして、こんにちは。年長の娘を持つ母です。同じ子を持つ親として、ブログの子育てネタはいつも大変興味深く拝読しています。
先日、
子どもたちがどうやら「漫画好き」になってきたので、意識してやったことを書いてみる。 - 斗比主閲子の姑日記
という記事を上げていらっしゃいましが、内容に結構驚きました。漫画やTVは、極力見せないようにするのが教育上望ましいと思っていましたが(古い人間なんです、化石ですかね)、お子様が漫画好きになのを喜んでいらっしゃったので。
一時期「おかあさんの扉」とか、「動物のお医者さん」とか、私の漫画を喜んで読んでいた時もあります。でも、漫画ばっかり読んでしまいそうで、隠してしまったのですよね。。。
私は本を読む力があれば漫画も読めるでしょ、と感じていて、小学生にでもなれば、お友達との関係などで嫌でも購入することになるだろうし、今読ませる必要を全く感じないのですけれど(電車やレストランの中で静かにしていて欲しい時にはいいかもしれないです)、とても理知的な子育てをされている topisyu様がわざわざ漫画を読ませるのはどういう理由によるものでしょうか? 漫画でなければ表現できない世界や感動があるのは分かるんですけど、漫画に慣れると本を読めなくなる、それは迷信なんでしょうか?
お暇な時に、いつかブログでお考えをご披露いただけたら嬉しいです。
一読者より
A.分かりません。ただ子どもがハマるものを提供してます
『おかあさんの扉』! 伊藤理佐さんの育児漫画ですね!! 吉田戦車さんの『まんが親』は最後まで読んでいて、伊藤理佐さんの方の漫画の存在も知っていたものの手を出していませんでした。ありがとうございます。夫婦のそれぞれの立場で一人の子どもの子育てを描くのは面白いですよね。なかなかない。ちなみに、ふたりとも再婚。
あと『動物のお医者さん』も素晴らしい作品ですよね。私は確か『動物のお医者さん』の影響があって、北海道大学に行こうと思ったはず。結局、行きませんでしたけど。私とは違って、『動物のお医者さん』を読んで実際に獣医さんになった人は結構いると聞いています。佐々木倫子さんは好きな漫画家の一人で、その後の『おたんこナース』『Heaven?』『月館の殺人』『チャンネルはそのまま!』は読みました。
私自身の話をすると、私は子どもの頃から漫画も読書も両方とも好きでした。漫画が好きだったのは以前ブログで書いています。
「えー、意外!マンガなんて読むんですか!?」 - 斗比主閲子の姑日記
自分がマンガやアニメに親しむようになったのは両親の影響によるものです。
父はビッグコミック系統が好きで、読み終わった雑誌を無造作に居間に置いていました。それを母が捨てる前にこっそり持ち出し、密かに読むのが楽しみでした。
母は母で花の24年組が好きで、萩尾望都さんや山岸凉子さんのコミックスを夫婦の寝室の子供の手の届かないところに置いていました。それも、密かに持ち出し少しずつ読み進めました。
幼稚園~小学校低学年の頃は、貸本屋(駄菓子屋と併設)で自分が生まれた前後のマンガ雑誌を借りていました。
読書はこれも両親の影響が大きいです。母親が読み聞かせをしてくれていましたし、母本人が小説が好きで私を図書館に連れて行ってくれていました。母はサスペンスや時代劇の小説が好きでしたね。森村誠一や池波正太郎。
大学時代の友人・知人には漫画好きが多かったです。高校までは漫画を読んでいることを公言するのが憚られる空気があって、私が小学校時代にいじめられた要因の一つはアニメの絵を描いていることだったので、大学生活は漫画好きをカミングアウトできる、とても居心地のいい空間でした。
それでご質問については、
漫画に慣れると本を読めなくなる、それは迷信なんでしょうか?
これは研究などは見かけたことがなく、分かりません。
私個人の原体験と、漫画好きの私の大学時代の友人・知人を見ている限りでは、漫画によって悪影響があったかと言われれば、ちょっとピンと来ません。それこそみんな普通に学術書や論文を読んでいて、研究者になったり、弁護士や医者になったり、それなりの企業でそこそこのポジションについたりしていたりしています。社会的には成功してる。サンプル数は数十人程度と少ないですけどね。
とても理知的な子育てをされている topisyu様がわざわざ漫画を読ませるのはどういう理由によるものでしょうか?
については、私は私の子どもに確かにわざわざ漫画を読ませています。ただ、わざわざ子どもに消費していただいているのは漫画に限りません。スマホのゲームも子どもと一緒にやっていますし、読書は図書館に週一は一緒に通っています。キャンプにも連れて行きますし、Youtuberの動画を見た後で科学の実験も一緒にやります。一緒にスポーツもやっています。この前、劇団四季のミュージカルに連れて行ったら不評でしたけどね(笑)
漫画は私が得意なジャンルの一つなので、導入からハマるまで相対的に丁寧にやりましたが、他のジャンルでも、子どもが好きだと思えるものに触れる経験を提供したり、好きだと思ったものにはハマれる環境を提供するようにしています。
動機はそんな大層なものじゃなくて、子どもたちが何かにハマっている姿を見てるのが楽しいからです。「これに興味を持ったらこちらもいかがですか?」というAmazon的な感じで、楽しいものを提供し続けています。子どもは結構キャパが広いので、色々提供しても吸収するんですよね。それが子育ての私にとっての面白いところの一つ。
その程度の理由ですが、もし、理知的な理由が知りたいということであれば、私がしかめっ面をしながらdマガジンで読んでいるプレジデントファミリーの最新夏号にも何かにハマることが大絶賛されていたりしますし、
プレジデントFamily(ファミリー)2018年07月号(2018夏号: 「熱中する子」がグンと伸びる!)
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研究もされています。子どもの頃の遊びの熱中度が高いと、いわゆる非認知能力が高いとか。しかし、この調査研究は、単に年収高い・高学歴の子どもが非認知能力が高いという結果だけじゃないかと疑っていますが……。もう少し、よく読んでまたブログで紹介します。
※グラフは『子供の頃の体験がはぐくむ力とその成果に関する調査研究』(国立青少年教育振興機構)から
子ども自身が勝手に身に付けるものは確かにたくさんあります。ただ、親が紹介しないとその存在に気付けない、得られないものというのも多々あるので、子どもが興味を覚えたものを楽しめる環境は提供するのはアリだと思って、私は子育てをしています。
私たちは子どもに何ができるのか――非認知能力を育み、格差に挑む
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