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斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

「えー、意外!マンガなんて読むんですか!?」

読み物 子育て お勧めの○○

タイトルのような発言、今までの人生の中で20人ぐらいに言われてきました。仕事ではマンガどころ小説さえ読んでいても異端に思われるので(経済小説は別)、マンガの話は一切しません。

 

先日、『風の谷のナウシカ』で人生を狂わされたという方の記事を読みました。その方は、スタジオジブリの『風の谷のナウシカ』でアニメにハマり、1989年の東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件におけるマスコミでのオタク・バッシングとそれに伴う学校でのいじめから、高校あたりからいわゆるオタク趣味を捨てようとしたものの、脱皮しきれず辛い人生を送られたそうです。今ではそういう過去の辛い経験は昇華されているようで、ナウシカを作った宮﨑駿さんに対して感謝をされているようですが。

風の谷のナウシカ 1 (アニメージュコミックスワイド判)

世代としては35歳~40歳ぐらいの方です。自分も東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件後のオタク・バッシングについてはよく覚えています。あの事件の後、『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』に宅八郎さんが異様な格好で登場したり、香山リカさんが颯爽と登場したり、オタク文化というものについて、かなり偏ったイメージがしばらく流布されていたように思います。

リカちゃんコンプレックス

仕事では漫画を読むことを伝えないようにカモフラージュが上手くなったのは、その記事を書かれた方と同じように、自分も子供の頃、マンガやアニメを好きで迫害された経験があるからだと思います。

 

貸本屋でマンガを借りる

自分がマンガやアニメに親しむようになったのは両親の影響によるものです。

父はビッグコミック系統が好きで、読み終わった雑誌を無造作に居間に置いていました。それを母が捨てる前にこっそり持ち出し、密かに読むのが楽しみでした。

母は母で花の24年組が好きで、萩尾望都さんや山岸凉子さんのコミックスを夫婦の寝室の子供の手の届かないところに置いていました。それも、密かに持ち出し少しずつ読み進めました。

幼稚園~小学校低学年の頃は、貸本屋(駄菓子屋と併設)で自分が生まれた前後のマンガ雑誌を借りていました。

子供の頃はアニメは見ていました。あさりちゃん、じゃりン子チエ、おじゃまんが山田くん、Gu-Guガンモ、パタリロ!なんかは完全に親の趣味です。

じゃりン子チエ : 1 (アクションコミックス)

 

テレビにトレーシングペーパーを貼り付ける

自分の意志でハマったアニメは、サムライトルーパーや幽遊白書です。

鎧伝サムライトルーパー大事典

元々絵を描くのは好きで、美術の成績は5段階評価で5以外を取ったことはなく、時々県の大会に作品を提出することもありました。勉強もできましたけれど、絵を褒められるのも嬉しかった。テストは早く解き終わるので、余った時間を利用して、解答用紙の裏側に周りの生徒の様子や先生の似顔絵をデッサンしていました。

 

アニメの絵を描くのも自分の中では至極当然のことで、テレビ画面にトレーシングペーパーを貼り付けてなぞっていました。アニメには登場しない独自のキャラクターを想像して、夢の中で共演させたりもしましたね。一日必ず十枚は何かのキャラクターの絵を描くことというノルマを課していた。

 

そうやって上手くできた絵を学校なんかに持ってきては上手い上手いと周りが褒めてくれたんですが、小学校高学年ぐらいになってきて、周りが惚れた腫れたの話に興味を持ち始めると、アニメの絵なんか描いてくるのは気持ち悪いという評価がついてきたのでした。

 

元々、自分は模写がメインで、自分自身で物語を作ることができるとは思っていなかったので、東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件以降のバッシングの中でのいじめを経験してから、アニメの絵も封印し、絵を描くのも止めました。自分程度の軽いアニメ好きが、アニメを好きであることを隠したほうがいいと思うぐらい、それはそれは1990年前後のオタクバッシングは強いものだったように記憶しています。タイミングが悪かった。

 

バイトのお金でマンガを買い集める

しばらく、マンガやアニメが好きであることは同年代には明かさないで、家で嗜む程度でした。今のようにマンガを読むようになったのは以下の本をたまたま入手してからです。 

日本一のマンガを探せ!―20世紀最強のコミックガイド (別冊宝島 (316))

日本一のマンガを探せ!―20世紀最強のコミックガイド (別冊宝島 (316))

 

『このマンガがすごい!』で有名な宝島社が1997年に出版したムックです。前年には、今の『このマンガがすごい』の原点とも言えるムックが出版されており、これを下地にしながらも、作品数を倍にし、実に2000作品のレビューが掲載されたマンガの辞書のようなものでした。 

このマンガがすごい―83ジャンル1000作品を厳選紹介 (別冊宝島 (257))

このマンガがすごい―83ジャンル1000作品を厳選紹介 (別冊宝島 (257))

 

このムックは自分のマンガのバイブルとなりました。バイトで稼いだお金で、掲載作品を少しずつコツコツと買い揃えていきました。所蔵していたマンガは引っ越しをする度に減っていきましたが、現在でも『日本一のマンガを探せ!』は手元にあります。

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※見開きでそのジャンルでの作家さんの位置付けが分かる

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※漫画家ごとの特集。山岸凉子さんと諸星大二郎さんが同じ見開きに載っている。

時代としてはエヴァンゲリオンもブームになっていて、アニメやマンガ好きであることは以前よりは言いやすい環境になってきていました。その影響もあって、STUDIO VOICEやQUICK JAPANに手を出したりするわけですね。 アニメは監督別にチェックするようになる。

庵野秀明 スキゾ・エヴァンゲリオン

 

STUDIO VOICE  1997年3月 No.255 エヴァンゲリオン 終わりと始まり

※どちらも実家にまだ保管してあるはず。 

 

差別意識を持たない友人たち

再度マンガやアニメに対して(あくまで消費者視点で)楽しみ始めたわけですが、その背景には、良い友人に恵まれたというのもあるかと思います。

特に入学した旧帝大では他人がどういう趣味があるかについて差別的に見る人はほとんどいませんでした。自分が好きなモノを表明することに抵抗はなく、表明している者に対して尊重する精神があった。講義にも、美学だけではなく、映画批評なんてものもありましたね。

今でも大学時代の友人とは仲が良く、時々会うと今どんなものに興味があるかという話になり、その中にはマンガやアニメやゲームも含まれます。彼らは大変貴重な存在であり、彼らと出会えたことが大学での最大の財産の一つです。

アオイホノオ 1 (ヤングサンデーコミックス)

 

公では今でもカモフラージュをしている

そして冒頭に戻ります。

仕事であったり、子供の繋がりでの親の集まりでは、マンガやアニメをたしなんでいることは一切表に出しません。

時代が変わったと言っても、子供が楽しむならまだしも、いい大人がそういった作品を喜んで見ていることに対して良いように思わない人がいるのを知っているからです。そんな低俗なものを楽しんでいる輩は信頼に足らないと思う人がいる。

だから、マンガやアニメをたしなんでいることは言いません。映画も、本も、旅行もたしなみますから、ネガティブに捉えられない趣味で誤魔化すのは容易いです。何かあったら、子供が好きだからと言い訳できますしね。いて良かった子供。

 

締め

ブログでも意図的にマンガやアニメの話に触れないようにしていました。ただ、好きな作品をちょこちょこ紹介していくうちに、読者の中にも隠れキリシタンならぬ、隠れマンガ・アニメ愛好家の方々がいらっしゃることが分かり、少しオープンになり、今回の記事を書くに至りました。

小説はもちろん、歌舞伎や落語でさえ、登場した当時は低俗的なものだという見方がありました。そういう意味ではアニメやマンガもその時代を経て、今の子供達にとってはかなりオープンな存在になっていると思います。

また、自分のようになかなか普段は表に出せずとも、今はインターネットもあり、いくらでも情報収集はできますし、ネット上の友人と会話をすることもできます。

コミックナタリー - マンガのニュースを毎日発信

いい時代になったと思いますが、これからも新しい娯楽に対しては同じような差別的な見方がされることがあるかもしれないし、その娯楽に子供がハマるかもしれません。それでも、その娯楽が違法性があったり、身の危険が及ぶようなものでなければ、自分からすると異文化のものだとは思わず、まずは楽しんでみたいと考えています。自分の大きな部分をマンガが作ってきてくれましたし、いいものがあればそれを忌避するのではなく取り入れたいと考えています。

 

 

 

関連

過去マンガやアニメに言及した記事を紹介しておきます。ご理解の通り、周辺分野と言える特撮、ゲームについても、それなりにたしなんでいますが、記事の中では意図的におぼこのように書いています。ブックマークコメント(以下の赤字の数字の部分をクリックすると読めます。)と合わせてお楽しみください。 

ちなみに、姑との共通の趣味はラジオと落語と少々のBLです。