斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

韓国首都ソウルの合計特殊出生率が過去最低の0.64(全国0.84)に

今日も一人小町にしようと思ったんですけど、気になったニュースがあったので。

これです。

で、確か、私の理解だと↑に書いたように韓国全体の合計特殊出生率に比べて首都ソウルの合計特殊出生率はさらに低かったはずなので、韓国の統計庁のソースを見に行ってみました。

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韓国統計庁の2020年12月人口動態統計 p.4より。赤線は筆者

そうしたらやはり、首都ソウル(人口1千万人)の合計特殊出生率は全国に比べて格段に低く、0.64という数字でした。恐らくこの数字は世界の首都の中で最も低い数字でしょう。東京・シンガポール・香港でも1.1ぐらいですから。台北よりも低いはず。

京畿道でみれば全国より高く0.88という数字なので、首都圏でもソウル内外で状況はかなり違うことが読み取れます。ただ、それでも、0.88。

韓国での少子化が強烈に進んでいるのは、去年は新型コロナウイルスの影響があったにせよ、人口の都市集中、都市部の不動産価格の高騰、都市部の教育費の高騰、手薄い社会福祉だろうなと推測します。

韓国ソウルの不動産市況が見るからにバブルで、家計債務が急増していて韓国経済が心配 - 斗比主閲子の姑日記

2年前に書かれた『韓国 行き過ぎた資本主義』ではその辺が詳しく書いてありました。未見の人はまずは表紙の内容だけでもチェックしてみてください。

ここに挙げられた点は日本でも同様の議論はありますが、都市集中率や不動産価格や教育費は韓国ほど高くはないですし、また、年金の金額水準・カバー率も韓国より日本が高いのはご存知の通りです。10万人あたりの自殺率も日本より韓国が高く、OECD加盟国最も悪い数字です。

他にも、韓国での全上場企業の時価総額に占めるサムソンやLGや現代などの10大グループで50%ぐらいになっていますが、日本はそんなに同じグループが寡占しているわけではありません。中小企業の裾野も広い≒就職先の多様性があるということです。

だから、私の中の整理では、韓国の現状というのは、日本の資本主義が行き過ぎた場合の到達点の一つとしています。

韓国は文化的にも地理的にも政治的にもジェンダー的にも日本に非常に近い部分がありますから、北欧諸国に比べれば、過度な資本主義・少子化への対処の動向としては日本人が最も注目するといい国。

『82年生まれ、キム・ジヨン』にも就職と住居の確保がいかに難易度が高いかは触れられていました。キム・ジヨンの続編が書かれたとすれば、フェミニズムの観点に加えて、教育費の高さや中高年のリストラ、高齢者の社会保障の手薄さが描かれるだろうなと考えています。『パラサイト 半地下の家族』でも垣間見れるものですね。

今日はこんなところです。