斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

経済を犠牲にして世界のCO2排出量をゼロにするなら、今年のCOVID-19での経済停滞みたいなのが12年起きればいい

この記事を読んで、

再生可能エネルギーの嘘を暴くマイケル・ムーア最新作の衝撃 | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

マイケル・ムーアの最新作がYoutubeで4/21から1ヶ月間無料で配信されているということを知り、早速見てみました。

www.youtube.com

音声も字幕も英語です。一応、Youtubeの機能で日本語訳してもおおよそ内容は理解できるはずです。再生可能エネルギーへの疑問を呈するもの。

見ながら、「再生可能エネルギーの代表例として、植物を燃やすバイオマスが含まれているのは欺瞞だよなー」と思っていたのですが、

そう言えば、COVID-19での経済停滞によって中国での大気汚染の原因の一つであるNO2(二酸化窒素)が減少しているという記事を思い出し、

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※画像はAirborne Nitrogen Dioxide Plummets Over China(NASA)から

少し調べたら、IEA(国際エネルギー機関)が先月公表したレポートで、年間ベースでのCO2排出量が、昨年対比で8%減の30.6 Gtとなり、これは2009年の世界金融危機の6倍になるという予想が書かれていました。大体、年2.5 Gtの減少です。

Global energy and CO2 emissions in 2020 – Global Energy Review 2020 – Analysis - IEA

Global CO2 emissions are expected to decline even more rapidly across the remaining nine months of the year, to reach 30.6 Gt for the 2020, almost 8% lower than in 2019. This would be the lowest level since 2010. Such a reduction would be the largest ever, six times larger than the previous record reduction of 0.4 Gt in 2009 due to the financial crisis and twice as large as the combined total of all previous reductions since the end of World War II.

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IEA, Global energy-related CO2 emissions, 1900-2020, IEA, Paris https://www.iea.org/data-and-statistics/charts/global-energy-related-co2-emissions-1900-2020

世界的には地球温暖化対策のため2050年にはCO2排出量をゼロにするという目標が掲げられていますが、単純計算をすると、今年ぐらいの経済停滞で2.5 GtのCO2排出量が削減できるわけだから、同じようなことが12年間起きれば30 GtのCO2排出量の削減が果たせる=CO2排出量をゼロにすることができます。

純粋に経済を犠牲にしたもので、再生可能エネルギーの進捗を考慮しないとしての前提でのあくまで単純計算ですし、単なる今年ぐらいの経済停滞だけなら横引きにしかならないから、本当はこんな風に単純化できないんでしょうけどね。

国によって異なりますが、今年のGDPの減少率は5~20%ぐらいなので、12年も経済停滞が続けばGDPが消滅する国も出てきます。書くのは簡単ですが、GDPが消滅するみたいな状況はまったく想像がつきません。

ちょっとした暇潰しに考えてみたことですが、マイケル・ムーアの映画にもあるように再生可能エネルギーの技術的な限界もあり、これから30年間でCO2の排出量をゼロにするという目標がいかに難易度が高いことなのかが私にとって少しだけリアリティを持って感じられました。

今日考えたのはこれぐらいです。