斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

何かと話題の例の紐、『幼児用リード』が燃える理由

子育て関係では、ある特定の話が特によく注目されることがあります。出産方法で言えば、陣痛促進剤を使うかどうか、無痛分娩か自然分娩か、男親が立ち会うかどうかなんていうところですかね。子育て関係で言えば、抱っこ紐、ベビーカー、早期教育などは鉄板で燃えやすいところがあります。

最近、人気になっているのは、皆さんご存知の通り、幼児用リードです。

 

幼児用リードとは

一応知らない人のために簡単に紹介しておきますね。百聞は一見にしかずということで、以下の様な商品です。   

http://www.flickr.com/photos/76089221@N00/262709756

photo by JosephGilbert.org

価格帯は1000円から2000円ぐらい。ハーネスとも呼ばれます。英語だと、toddler safety harnessesとか、child leashes。

元々は欧米圏で利用されていたもので、ここ数年日本に輸入されたものです。小さい子は少し目を離した隙にあっちこっちに行きますから、日本でも利用するメリットが理解され、少しずつ利用者が増えています。

 

分かりやすい燃える理由

それで、この幼児用リードの話題が燃えやすい(批判の対象になりやすい)理由は簡単です。

『犬の散歩に見える』から。

最初に紹介した写真を見て分かる通り、子どもを拘束しているように見えますよね。用途からするとあれぐらいがっちりしていないと困るわけですが、傍から見ると、子どもの自由を奪っているように見える。

加えて、名前に『リード』が含まれていますから、犬の散歩に使う紐のニュアンスが含まれます。子どもを犬のように従わせているのではないかという批判に繋がるわけですね。

http://www.flickr.com/photos/40736030@N00/51420418

photo by j o s h

確かに、見た目は犬の散歩に近いものがある。

 

見た目の問題も名前も変えられるけど、たぶんこれからも燃える

とすれば、非難がないように見た目や名前を受け入れやすくすればいいじゃないかという発想が出てきます。

見た目に関して言えば、色んな種類が出ているんですよね。リュックサックタイプが人気でしょうか。例えば、こんなもの。 

http://www.flickr.com/photos/42139271@N00/5037798692

photo by wenzday01

かなり可愛いですね。

後は、名前にリードを含めないで、ハーネスにしてもいいし、命綱にしてもいい。名前を変えることで変わる印象はあります。

でも、たぶん、幼児用リードに対して、モヤモヤする人はそれでも残るはずです。

 

本当の燃える理由

ちょっと、話が一般論になりますが、出産・育児というのは、一人の人生の中では一大イベントにも関わらず、決まりきった答えがはっきり提示されているわけでもないので、みなさん自己流でやっている部分が多いんですよね。一人一派みたいな感じで。

子育ての苦労はあるから、報われて欲しいと思う部分がある。楽をしちゃいけないという思いを持つ人も多い。苦労をしたから良い子になったと思いたい。

そういう色んな思いがあるので、違う方法で(特に一見楽をしている形で)子育てをしている人を見ると、つい自分のやり方と比較して、一言言いたくなるわけです。現役子育て世代だけではなく、子育てが終わった世代も。「お腹を痛めた子どもの方がかわいい」みたいに。

特に、目新しくて、普及し始めたものはそうなります。これが、新規性がまったくなくて、全く普及していなかったら、こんなにも気になる人は出てきません。

 

こういう流れは、抱っこ紐でも同じです。抱っこ紐というと昔からある日本の子守帯がイメージされるかもしれませんが、エルゴみたいな商品をイメージしてください。 

※これはAmazon.co.jpが販売しているのでたぶん正規品。偽物に注意しましょう。 

エルゴはエルゴでこれまでの日本の子守帯との違いから議論はあるんですよね。本当に安全かと。日本の子守帯は、別に安全性を検証されたわけではなくて、長いこと使われているから安全だと思われているだけなんですけどね。規格が統一されているわけでもない。

 

他には、ベビーカーもそうです。 

ベビーカーも昔からあるものなんですが、特に話題になるようになったのはここ10年ぐらいなんですよね。理由としては、バリアフリー化で、公共交通機関に乗り入れしやすくなったこと。これによって、ベビーカーがより利用しやすくなり、目にも触れるようになった。

 

幼児用リードは一見すると親が楽をしているように見えますからね。これまでとは違う商品が普及しているのを見ると、一言言いたい人が出てくるものです。

 

別に日本だけではない

話の流れとしては、日本だけ燃えやすい話題のように幼児用リードを紹介してきましたが、別にこれは、日本だけでもないようです。

以下のアンケートは、アメリカの情報番組である『TODAY』のWebサイトで行われたもので、child leashesつまり、子供用リードが、役に立つか、屈辱的かという二択について、3万票もの回答が寄せられています。

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※画像は、Child 'leashes': Are they helpful or humiliating? - TODAY.comから。2014年3月31日の記事で今でも投票できる。

賛否の比率は賛成の方が多いですね。Webでの簡単なアンケートですし、わざわざこういう記事を見に来る人の中でのものですから、偏りはあるでしょうけど。

賛否を議論しているサイトというのは他にもありますから、

The debate: Should you use a toddler leash?

輸出元の海外では全く問題なく受け入れられているかと言えば、そうでもないということだと思います。

 

幼児用リードの5つの使いどころ

海外のサイトをそうやって眺めていたら、幼児用リードをどのような場面で使うかを紹介している記事を見つけました。

5 leash laws for toddlers that make sense | BabyCenter Blog

1. You’re in a huge crowd.

2. You have your hands really full.

3. Your little one pulls forcefully when you hold her hand.

4. Your toddler won’t hold your hand, but wants to explore.

5. You’re tall and holding hands is painful for you.

ざっくり言えば、混雑だったり、両手がふさがっていたり、子どもが凄く手を引っ張ってきがちだったり、子どもが探検したがりだったり、親の身長が高過ぎるとき。

親が子どもを見ていられる状態で、子どもが自分で手を繋ごうとしているのに、幼児用リードを使っていると、子どもは親と手を繋ぐ習慣を獲得する機会が減りますよね。子どもが大きくなってから、本人に問題がないのに使い続けていたら、子どもの自立心を鍛える機会をなくすことになるでしょうし。

そういうこともあるでしょうから、利用する機会をある程度決めるというのも理解できる話です。

 

締め

エルゴやベビーカーもそうで、ある程度どんな商品でも最初の方は非難があるんですが、その便利さが理解され、適した利用法が浸透してくると、そういうものも多少は収まってきます。

幼児用リードはまだ日本社会ではデビューしたてですから、色々賛否の議論が出て当然で、むしろそういう議論を通して、知名度が高まり、適切な利用法も浸透していくのかなと思います。

最後に私見を書いておくと、犬の知能は2歳児ぐらいという話もありますし、

犬にリードをつけるのが許容されるなら、1~2歳児にリードをつけてもおかしいとは思いませんけどね。