ちょうど1年前ぐらいにTweetした以下の件、
この前、感心した子どもによるWebでのお金稼ぎがあったので、今度、ブログで紹介します。
— 斗比主閲子 (@topisyu) 2019年3月5日
レモネードを売るよりも手軽で、日本国内在住で、携帯電話(スマホ)があるなら、たぶん、ほとんどの子どもがやろうと思えばできるお金稼ぎ。
もちろん、親の協力は前提。Webサービスの大半は未成年は利用不可。
我が家でも検証が終わったので書きます。
結論から書くと、メルカリを使って子どもに飽きた玩具を売ってもらうというお金稼ぎです。
きっかけ
私はメルカリで、評価の悪い出品者・購入者を芋づる式に辿っていって、その人達のプロフィール情報からヤバさを推測する遊びを暇潰しにしていました。ヤフオク!でも20年ぐらい前に同様の遊びをしていたので、昔取った杵柄みたいなものですね。
それで、たくさんの人のプロフィール欄を見ていたら、「子どもが梱包・発送をしているのでお時間がかかります」みたいなことを書いている人がいました。
売っているものはほぼ子どもの玩具と服で、考えようによっては児童労働っぽく捉えられないこともないけれど、雰囲気から察するにどうやら子どもの教育目的でメルカリでの出品・販売をしているようでした。というのも、売れる値段で出品していなかったり、商品説明欄の日本語が怪しかったり、子どものお手製の作品なども出品されていたので。
その人はそれほど多くの取引をしてはいなかったものの、これを見て、メルカリを使って子どもにお金稼ぎを学んでもらうというのはアリだなと思ったわけです。
メルカリとバザーの違い
子どもに物を売らせる経験をさせる良い機会としては、バザーが引き合いに出ます。確かにバザーも悪い経験ではないんですが、メルカリと比べると色々な面で劣るんですよね。好きな人がいるのは知っていますが、学習効率は悪い。
まず、バザーは準備に手間がかかります。場所の確保から始まって、商品の搬送・陳列をするだけでもかなりの手間です。
あとは売るときにも、買い手が必ずしもいるとは限らず、値決めも難しい。時には根切り交渉があるけれど瞬時の判断が求められ結構辛い。
暑い中・寒い中・花粉に耐える中、丸一日使った割に得られるお金が1000円程度ぐらいだったりするので、徒労感も多い。
一方でメルカリであれば、スマホで写真を撮って、メルカリの指示で適当な値段を設定して、クリックを数回すれば出品は完了です。
子どもの玩具・服は、めちゃくちゃ高い回転率で出回っていますから、値決めさえ間違えなければ売れますし、価格交渉も即時性は求められません。
手間があるとすれば、売れた後のやり取りと商品の発送ですが、やり取りは発送が遅れず、梱包が酷くなければ、やり取りをせずとも特に悪く評価されませんし、商品の発送自体もコンビニで簡単にできます。
色々なハードルはあるにせよ、場所を押さえて準備が大変で物を売るコツを必ずしも学べず大して稼げないバザーに比べると、メルカリで物を売るのはコツを短期間で把握することが可能です。
我が家でも子どもに物を売ってもらった
ここまでの仮説を持った上で実証するために我が家でも子どもにメルカリで物を売ってもらいました。アカウントは親が作ったものを利用してもらいました。保護者の承諾を得られれば未成年でも自身のアカウントで出品は可能です。
まず、子どもには自分の持ち物でいらなくなったものを集めてもらいました。主にかつて遊んでいた玩具、読み終わった本、着なくなった服・靴などです。
それで、それらの物をメルカリで売ることを提案し、仮にメルカリで売れたら販売して得られた利益を労働の報酬によって手に入れられると伝えました。
具体的には、メルカリでの出品・販売プロセスを次のように区分し、
- 売る商品の選定
- 商品の写真撮影
- 出品手続きと説明文の記入
- 値決め
- 商品が売れたときのやり取り
- 梱包
- 発送手続き
販売単価 - 手数料・送料 = 販売益を7で割り、上記の1~7をどこまで自分でやるかで自分が得られる利益が増えると説明したわけです。300円で本を売れば大体100円ぐらい販売益が出るわけだけど、全部自分でやれば100円丸取りで、半分なら50円になる。
最初のころは、1以外全部を親に任せていましたが、商品が売れるにつれ、意外に稼げることが分かり、最終的には2と4と6ぐらいは自分でやるようになりました。つまり、利益の半分は子どもが得られるようになったわけです。
最盛期には「今度、勉強のご褒美に○○が欲しいんだけど、メルカリで売ったらいくらになるかな?」みたいなリセールバリューを意識した商品の調達をし始めたりしました。さすがに長続きせず今では落ち着いていますけど、一時はどうなることかと思うぐらいハマっていました。興味深かった。
メルカリで学べる値決め・在庫・売掛・客商売・物流
ざっと我が家でメルカリで物を売るための仕組みを説明しましたが、メルカリで物を売ることで学べる商売の基本について、もう少し詳しく書いてみます。
まず、メルカリでは分かりやすい広告を打てるわけではないので、マーケティングはそんなには学べませんが(説明文や掲載タイミングを意識するのはマーケティングと呼べないこともないがかなり制約はある)、値決めがいかに重要か、また在庫や売掛とは何か、客商売のコミュニケーションがどういったものか、また、商品がいかに運ばれるかの物流は、そこそこ学ぶことができます。
特に一番価値があると思うのは値決めです。自分にとって価値があるというものを自分の独りよがりな判断で値決めしてもまったく売れません。一方で、自分には価値がないと思うものも同様の物がいくらで売れているかを検索すれば、価値があることに気付けます。メルカリが勝手に値決めもしてくれますしね。物の値段が受給でどう変わるかというのもメルカリのシステム上で簡単に確認することができます。
また、売れずに残っているものは在庫として腐っていくことが理解できるし、売れたとしても入金がされなければ手元に現金が入ってこない=売掛という概念も理解できます。
商品説明でいかにアピールするかは、同様の物を売っている人の説明欄を参考にすることで学べるし、相手を不快にさせないで販売後のやり取りをするというのも客商売の基本的な練習になります。
発送した物はステータスが確認できるから、どこの地域に住んでいる人にどれくらいのタイミングで届くかもリアルタイムで分かり、物流への理解が深まります。
上記を子どものアカウントで子どもに任せて全部やってもいいでしょう。
我が家の場合は、親がその時その時でフォローしながら、物を売ることの楽しさ・コツというのを効率的に学んでもらうと面白いと思ったので、プロセスとインセンティブを細分化し、ある程度親がサポートする形で物を売ってもらいました。
締め
以上、メルカリを使った子どものお金稼ぎの紹介でした。
以前にも書きましたが、お金に慣れ親しむと数字への感度が高まります。
※お金のドリルは、つまずきやすい桁の概念を学ぶのに良い。ただし、適正年齢はある。
また、必ずしも商売のコツを学ばなくとも、自分の持っている玩具などが一体いくらで売り買いされるかというのを消費者側ではなく供給者側で理解するというのは、非常に良い経験になります。
発展形としては、売る商品の仕入れを自ら行うようになったり、また、メルカリなどマーケットプレースへの手数料(テラ銭)を嫌って自分でサイトを立ち上げてもいい。更に、メルカリ自体の業績がどうなのか、キャンペーンの状況から出品者と購入者のバランスがどうなっているかを推測したりするのも、楽しい。
※メルカリのFY2020.6 2Qの決算説明資料より
子どもにレモネードをガレージで売ってもらうのは日本ではなかなか馴染みにくいところがありますが、メルカリで中古の玩具を売るのはお手軽なので、子どもにお金儲けをしてもらいたい親御さんには、ぜひ一度トライしてみることをお勧めします。
※メルカリの出品自体はこのぐらいのムックを読めば十分だし、Youtubeに大量の解説動画がある。
最後に、メルカリ以外のサイトについて全然触れていなかったことを今更気付きました。別に絶対にメルカリじゃないといけないとは思わないんですが、ヘビーユーザー数が段違いなので、色々実験するなら今はメルカリなんじゃないかと思います。