斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

少年漫画に登場する女性が"主人公の足を引っ張るばっかりのエロい女性像"として描かれている事例はそんなに多くないんじゃないかな

NHKの2018年のノーベル賞特設サイトで、キズナアイさんというVtuber(Virtual Youtuberの略)が聞き手役になっていることについて、議論が行われていまして、

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※画像はNHKのサイトから。絵柄はこんな感じですけど、実物はリアルタイムにグリグリ動きます。

私もTwitterでちょっとだけ参加してみました。話があっちゃこっちゃして意味が分からないと思うので、興味がある人は荻上チキさんのラジオを聞いてみてください。

【音声配信】「キズナアイ」がジェンダー・ギャップとセクシャル・アイコンをめぐる議論のプラットフォームに〜荻上チキがコメント▼2018年10月4日(木)放送分(TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」)

で、今日書くのは特に上のこととは直接は関係しなくて、一連のTweet絡みで、こんなリプライを頂きました。

この中で、"主人公の足を引っ張るばっかりのエロい女性像"というのは、(この方がご覧になられた)少年漫画にそういう女性が多く描かれてきたということで、それが女の子の自分として辛かったということを仰っているのだと思います。

ただ、少女漫画も少年漫画もどちらも嗜む程度の私としては、少年漫画に登場する女性のイメージとして"主人公の足を引っ張るばっかりのエロい女性像"という描かれ方をしているケースがあんまりピンと来ませんでした。

個人の主観を書いてもしょうがないので、具体的な事例として、少年漫画の発行部数ランキング上位の漫画を見てみましょう。

歴代少年マンガ 発行部数ランキング | 年代流行

1980年~2010年代と年代はかなり幅がありますが、どれも有名で、影響力のある漫画ばかりですし、これをベースに議論をスタートしてもいいかと思います。

まず、発行部数が特に多い以下の少年漫画を見て、"主人公の足を引っ張るばっかりのエロい女性"が登場する漫画として該当しそうなものは、どれだけあるでしょうか。

  • ONE PIECE
  • ゴルゴ13
  • ドラゴンボール
  • ブラック・ジャック
  • ドラえもん
  • こちら葛飾区亀有公園前派出所
  • 名探偵コナン
  • NARUTO
  • SLAM DUNK
  • 美味しんぼ
  • 鉄腕アトム
  • タッチ
  • 北斗の拳
  • はじめの一歩

ゴルゴ13と美味しんぼは掲載誌からしたら、少年漫画じゃないとして、これらの作品に登場する女性が"主人公の足を引っ張るばっかりのエロい女性像"として描かれているかと言われれば、たぶん、そうではないと言う人が割合としては多いと思います。

これだけではなく、元のページで紹介された全65作品のうち、私は50作品ぐらいしか知らないんですけど、その中でも、該当しそうなのはそんなにない気がします。

まず、"主人公の足を引っ張るばかり"という条件が結構厳しいですよね。スーパーマリオのピーチ姫ぐらい分かりやすい例だと(ピーチ姫もスマッシュブラザーズでは戦うけど)、ドラゴンボールのブルマ、金田一少年の事件簿の七瀬美雪、北斗の拳のユリア、ろくでなしBLUESの七瀬千秋、聖闘士星矢の城戸沙織、るろうに剣心の神谷薫、シティハンターの槇村香は、主人公の足を引っ張ったことはある。ただ、足を引っ張る"ばかり"かといえば、城戸沙織も神谷薫も槇村香も自ら戦うし、ブルマも七瀬美雪も重要な役回りを演じています。

次に、エロい女性というのは、定義が難しいですけど、いわゆる女性のお色気シーン的なものがあるかといえば、ONE PIECE、ゴルゴ13、ドラゴンボール、ドラえもん、こちら葛飾区亀有公園前派出所、NARUTO、金田一少年の事件簿、幽☆遊☆白書、タッチ、らんま1/2、ダイの大冒険、GTO、CITY HUNTER、カメレオン、BOYS BE…、きまぐれオレンジ☆ロード、地獄先生ぬ~べ~にはあったような記憶があります。これはかなりある。

ただ、ここから遡って、これらの作品の登場人物の女性が主人公の足を引っ張るばかりなことをしていたかというと、あんまりピンと来ません。強いて言えば、CITY HUNTERはもっぱら助けるのが女性ばかりだったので、槇村香や野上冴子を除けば"主人公の足を引っ張るばっかりのエロい女性"が登場する漫画には該当してもおかしくなさそう。地獄先生ぬ~べ~は生徒が妖怪に取り憑かれるパターンが多いから、必然的に女子生徒が被害者になれば、ぬ~べ~の足を引っ張っているといえばそうかもしれない。

こんなところでしょうか。

凄くざっくりではありますが、これらからも、私は、少年漫画に登場する女性が"主人公の足を引っ張るばっかりのエロい女性像"として描かれている事例はそんなにないと考えています。

しょせん私の主観に過ぎませんし、私がこう思ったからこれが正しいと主張するつもりはありません。ただ、私はこのような認識ですので、そうではなく、少年漫画に登場する女性は"主人公の足を引っ張るばっかりのエロい女性像"として描かれているものという前提でお話しされるのであれば、たぶん、私とは見てきた漫画が違うし、視点も違うかなと思いました。

なお、話は変わりますが、日本社会において女性が脇役扱いされてきた、女性が行う家事育児について軽視をされてきた、働く環境において女性が働きやすいものでは到底なかったということについては、私は、そのように見ていますし、是正されたほうがいいと考えています。

今回のことがきっかけで、キズナアイのキャラクターデザインをされた森倉円さんについて知り、インタビュー記事も拝見しましたが、

猫がくれたまぁるいしあわせ│森倉円さんインタビュー

森倉:イラストを制作することをとっても、以前までは「描きたいときに描く」という傾向があったんです。そうすると、イラスト制作に充てる時間が不規則になりますよね。でも、今は主に子どもを保育園に預けている時間だけに描くようにしています。

それから、なるべくはじめから余裕をもったスケジュールを立てるように変えました。子どもや家族が病気になったり、何かしらの用事が入ったりするときもあるので、時間に余裕があった方が対応しやすいですから。

森倉円さんが子どもができてからは時間に余裕の持ったスケジュールで仕事をされているように、社会がある程度のバッファを持たなければ、女性に限らず、働ける人も、働きたい人も、働くことが困難になります。