斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

炎上でもそうだけど定量的に見るのは認識の擦り合わせをする上でとても大事。家事育児・家計の見える化とかも同じ

違う話題っぽいけど繋がっているという話は私は好きなので、今日はそういうことを書きます。

先日掲載した以下の記事の目的の一つには、

少年漫画に登場する女性が"主人公の足を引っ張るばっかりのエロい女性像"として描かれている事例はそんなに多くないんじゃないかな - 斗比主閲子の姑日記

認識が違うようであれば、認識の擦り合わせのために、具体的な事例の積み上げや、定量的な検討があるといいよね、という確認があります。

人間の認知というのは、人それぞれでもそうですし、その人自身でもその時々で、大なり小なり変わるものです。

認知を前提として、人間の思考というのも決まってくるところが大きいですから、AさんとBさんとで、観測しているものに偏りがあるとか、物の見方が違うということであれば、何をするべきか・どう考えるかというのもかなり変わってきます。(時には認知が違うけれど辿り着いた先は同じという面白いことも起こる)

逆に、何をするべきか・どう考えるかが違うのであれば、n=1の議論をし続けるのもダメというわけじゃないけど、

自分がどう育てられてきたかを最重要視して子どもをどう育てるか考えるのは2つの観点で危険 - 斗比主閲子の姑日記

そもそもの前提である認識がどうなのかを確認するのは、とても有効です。

f:id:topisyu:20181009031831p:plain

※図にもしてみました。意見の前提として認知がある。

「子どもは絶対に私立の中高一貫校に入れるべき」という意見と、「子どもは公立でもいいじゃない」という意見を擦り合わせようとするならば、なぜ中高一貫校の方がいいのか、なぜ公立でもいいとするのか、その考えに至った自らの認識の背景を示し、その認識が適切であるかを、自分たちであったり、今の世の中であったりに当てはめて議論すると上手くいくことがあります。

家事の見える化をするのも、「あなたは家事をやってないよね」「いや、やってるから」というバトルを防ぐのに有効です。お互いが、どれくらい、何をしているかを確認しなければ、殴り合いは続きます。

家事分担について我が家でしていること - 斗比主閲子の姑日記

家計の見える化も同じです。「最近、外食しすぎじゃない?」の、最近はいつからいつまでか、外食でいくら使っているかを確認しないと、言いがかりになりますし、時には、経済的DVに発展することもあります。

マネーフォワードで家計管理するの超快適 - 斗比主閲子の姑日記

例えば、私は、先日こんなことを書きました。

ノーベル賞のNHK解説に「キズナアイ」は適役なのか? ネットで炎上中(千田有紀) - 個人 - Yahoo!ニュース

"太田啓子弁護士が…疑義を呈し…これに反対するひとたちは…太田弁護士に賛同する人は…ツイートが飛び交う事態になっている。"←これを炎上中とするのは私の炎上の定義とは違うなー。

2018/10/03 13:29

炎上の定義と違うとしたのは、この論文で書かれているようなよく言われる定義からすると、

実証分析による炎上の実態と炎上加担者属性の検証 山口 真一

本稿では、炎上の定義として、前述の先行研究のほか、伊地知(2007)や荻上(2007)も参照し、「ある人物が発言した内容や行った行為について、ソーシャルメディアに批判的なコメントが殺到する現象」と定義する。

キズナアイや、NHKに対して、批判的なコメントが殺到しているように見えなかったからです。記事でも、”疑義を呈し…反対する人たちは…賛同する人たちは”とありますし、"炎上"というより、"議論が巻き起こっている"という方がしっくりきました。

こういうことが起きるから、何かを主張するときには、他の人間も分かるような、ある程度客観性のある情報を提供することが有効になります。

ネットでの話題ならGoogleトレンドなんかを載せるのはお手軽ですよね。

確かに、10/2ぐらいから検索数が増えている。これだけだと、単に話題になっているだけのように見えるから、ネガティブワード+対象みたいなものでの結果を載せるのでもいい。

ちなみに、私が見ている限りでは、上のYahoo!ニュースを書いた人は、たぶん、今、炎上しています。Googleトレンドも凄いことになってる。

Twitterでお名前を検索すると色んな人が叩いているのも見て取れます。相当シンドい状況と推測されるので、身近な人が支えたほうがいいように見えます。 

例はここまで。

私は、ブログの読者からよく(月に3回ぐらい)「配偶者がおかしいので変えたいがどうしたらいいか?」というメールをもらうことがあります。そのときは、忘れてなければ大抵は「相手を変えることはできないので、自分が変わるか、伝え方を工夫するか、インセンティブを変えたらいい」とお返事しています。(インセンティブのことを書くのは忘れがち。)

伝え方の工夫というのは、相手の認知へのアプローチとなります。「夫が育児をやってくれない!」としたら、夫婦のそれぞれがどれくらい育児をしているかを見える化してみたりとか、ホワイトボードを使って「あなたが育児時間を割けない理由」を書き出してみるとか、そういうの。

凄く時間はかかるけれど、認識を確認し合っているとその後の意見の齟齬も少なくなる効果があります。「やっぱり私はそう思わないから、考え変えた」という翻意も減ります。

ただ、認識へのアプローチが常に万能ということはありません。前提として、ある程度の信頼関係が必要となります。自分の意見の背景にあるものをさらけ出したり、そこに他人が触れるというのはセンシティブなところがあるからです。特に、その人自身のアイデンティティにまつわる話題なら。

「不妊なら養子縁組すればいいじゃない?」という素朴な質問をしてみる前に見る図 - 斗比主閲子の姑日記

奨学金を語る上でおさえておきたい一つのグラフ - 斗比主閲子の姑日記

他人ならまだしも、夫婦であればある程度信頼関係が築けているように思えて、実態としては、意見を見せることも、更には意見の前提にある認識をさらけ出すことも難しいというのはありがちです。

上手く擦り合わせをしたいけどできない、見える化しても相手の考えが変わらないということであれば、簡単なことではないですから誰でも誰に対してでもできることじゃないけど、「私はあなたの敵じゃない」というアピールから入ることも検討する必要があります。

恋人の「仕事とどっちが大事なの!」に対して「そんなこと思わせてごめんね」と抱き締めるのもそれに近いですかね。本当に簡単じゃないけど。

今日書きたいと思ったことはこんなところです。