斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

電子献本が普及してほしい

本が出版されるとき出版社はその本を関係者に献本します。出版社としてはタダで送料を負担して本を送るわけですが、コストをかけて出版社が何を期待しているかと言えば、献本された人がその本について宣伝してくれる広告効果と考えられます。もちろん献本された人が確実に宣伝してくれるわけではないですし、著者がお世話になっている人に配るということもあるでしょうけどね。不確実だけど昔から行われている慣習です。

最近はブログやSNS経由で本が売れることも増えてきたため、インターネットで活発的な人に献本されることがあります。

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photo by El Villano

 

献本をお断りした

先日、小児科医の森戸やすみさんが新刊を出されるということで私に献本したいというお話がありました。

森戸さんは気を遣われて「献本を受けたことでプレッシャーになるとか、個人情報を知らせたくないということであればもちろん断ってください」というお話がありました。結果的にお断りしたのですが、こういう心遣いをしていただくのはありがたいです。

お断りした理由は、献本を受けたことで今後森戸さんの本について公平に語れないというプレッシャーがあった……ということはなく、献本を受けるために出版社に住所等の情報を教えるのが嫌だったからです。

住所等なしに紙の本を送る方法はないわけではありません。ただ、どれも手間がかかったり、コストがそれなりにかかります。一般的ではない。

 

電子的に献本する方法は現状まともにない

そういうわけで、住所等の情報を教えたくないとか、場所を取りたくないとか、献本を受ける側もわがままを言うことがあります。これを解消するのが電子献本だと考えています。

自分は昨年12月にAmazonで電子書籍を発売しました。ありがたいことに非常に多くの方に読んで頂き、そろそろ3000部ぐらいの発行部数となりそうです。この電子書籍をどうにか献本できないかと考えたのですが、Amazonではそのようなサービスはありませんでした。

個人で電子書籍を出された方の中には、PDFやmobi形式のファイルを読んで欲しい人に直接送ることで疑似的に献本をされている方もいらっしゃるようです。ただ、一旦外にPDFやmobi形式のファイルを送ってしまえば故意や過失でその電子データが流出してしまう可能性がないわけではありません。電子献本を提供するWebサービスもあっても、どうやらPDFやmobi形式のファイルを読み手に渡すことが前提となっているようでした。

個人の電子書籍であればそれほど多くの人に献本を依頼することもないでしょうし、流出してもあまり気にならないかもしれませんが、出版社が関与するのであればそういう事態は避けたいでしょう。

 

手軽に電子献本ができる仕組みがあると嬉しい

というわけで、紙の本なら出版社が、電子書籍なら各媒体が電子献本をするプラットフォームを提供してくれるといいんですけどね。

出版社の個人情報管理に否定的だったり、紙の本をもらうのが嫌な人というのはマイノリティだから、こういうニッチな需要に対応することはまずないでしょうけど。

ただ、印刷するコストも配送コストもかからないわけですから、多くの人に献本しようと思ったら便利だとは思います。