これは先日ドラマ化した『フラジャイル』という漫画のとある一コマです。
※正確には1巻P137の単行本用のおまけ四コマの2コマ目。赤線はtopisyuによる強調です。
この後この女性(宮崎という医師)は、上司である病理医の岸先生(『フラジャイル』の主人公)から蹴られます。どういういきさつがあったかというと、
- 岸先生は自分が勤務している病院で白衣を着ていないことから、病院にお見舞いに来ていた子どもから患者と間違われて「どこが悪いの?」と聞かれます。
- これに対し岸先生は「性格かな」と答えて、子どもはドン引き。
- その子のひいおばあちゃんが、その場に居合わせた宮崎に「性格が悪いんじゃ治らないわよね?」と言ったので、ついつい宮崎が「そ、そうですね」と岸先生の前で岸先生の悪い性格が治らないことを肯定。
こういう流れです。蹴られた宮崎は「理不尽……」と呟く。
これを読んでいて、理不尽は理不尽だし、笑える範囲のネタであるけれど、こういうのはあるあるだよなと思いました。相手が自分で言った自虐にこちらは乗っただけなのに、相手の不興を買ってしまうというシチュエーション。
例えば、「貧乏暇なしなのよ~」については「いやいや、そんなご謙遜を」と言った方がいいし、「全然勉強できないんだ~」については「そんなことないでしょー(笑)」と返した方がいい。
素直に「やっぱり貧乏っぽいですもんね。見て分かりますよ」だったり、「今更そんなこと言っている暇があるなら病院に行って頭の治療でもしたら?」と肯定する方向に話を進めるのは喧嘩を売っているようなものです。(これは明確に喧嘩を売っているけれど)
ただ、こういうのは気を付ければ回避は可能です。自虐的な発言を本心でそう言っていると受け止めなければいい。
しかし、対処が難しいのが、本人が愚痴を吐いているような時です。
例えば、「彼氏がこんなに酷くて~」「お母さんのここが嫌!」と身内や大切なものをネガティブに語っている時。
愚痴なのだからここは同調しようと「えー、そんな彼氏、別れちゃいなよー!」「それはお母さんが悪いわ!!」と乗ったら乗ったで「私が大好きな人、悪く言わないでよ……」と返ってくることもあれば、その場では「ありがとう!やっぱりそうだよね!!」と言いつつも後になって、「あの人、私の彼氏/お母さんの悪口言ってた……」と脳内変換する人がいる。
ではどうすればいいかというと、ここではその対象の人物には触れず、その人の気持ちに寄り添うことが正解となります。「大変だったねー」「あなたなら大丈夫だよ」「私にできることがあったら何でも言ってね!」などなど。
本当の正解は、こういう面倒くさい人とは付き合わないことでしょうけどね。自分は人に察してもらうことを期待しておいて、人の気持ちを察しようとはしない、Give and TakeならぬTake and Takeな人物ですから。わざわざ不幸を呼び寄せておいて、いざ不幸になったらそれを人のせいにするような人間と付き合ってもろくなことはありません。
ただ、ネガティブスパイラルに入っているとまともな人でもこういう状態になることもあるし、上司のようになかなか逃げられにくい人物が仕掛けてきたりすることもあるので、そう簡単に切り捨てられるものでもないのが厄介なんですが。
……などなど、こんなことを『フラジャイル』を読みながら考えていました。漫画自体は安楽椅子探偵っぽいところが良かったです。岸先生はかなりアグレッシブですけど。