斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

あなたは知りすぎていないか

釣り判定をしていた時に特に気を付けて見ていたのは、そのポジションにいる人の文章としておかしくないかということでした。

 

トラブルの渦中にいる人はなかなか事態を客観視できませんし、その人が認識していないことは書けないものです。不必要に客観視ができていて読み手が理解しやすく書いてあったり、その人が到底知りうるはずもない情報が書いてあったり、他の登場人物の思考プロセスがその書き手本人の思考プロセスと限りなく近かったり、読み手が反応しやすいキーワードやエピソードがてんこ盛りだったりすると、釣りではないかと疑っていました。

 

このようなことを考えながら行う釣り判定は答えあわができない論理ゲームのようなもので、暇なときの時間の使い方として楽しんでいました。

 

 

 

最近は読者からよくモヤモヤエピソードを送っていただくことがあります。モヤモヤをすっきりさせたいということで、色々お話をうかがうのですが、その際、この釣り判定の時に培った技能というか、視点は役立つことがあります。

 

具体的には、その人がある対象について知りすぎていないかという視点です。

 

先ほど書いたように、その人が知ることができるものというのはその人のポジションに大きく依存します。語れるものも自然と決まってくるものです。首相はスーパーで蒸し焼きそばが3玉でいくらで売っているか一般的な傾向は語れませんし、スーパーのお総菜売り場の担当者はTPPが日本の農業にどのような影響があるか語れることには限界があります。良い悪いではなく、それぞれの役割やポジションでカバーする領域は変わってくるものです。

 

読者からのメールをいただくと、その立場にしては知りすぎている、書きすぎているモヤモヤをいただくことがあります。

 

例えば、

  • 祖父母には子どもがいるのにも関わらず、孫が祖父母の相続財産に詳しい
  • 母親がいかに酷い人間だったか、本人は覚えがないが知っている
  • 自分がまったく知らない親戚について悪感情を抱いている

こういうものです。

 

こういうのを見ると、それがその人のモヤモヤの根本原因ではないかなと考えます。本人が認知できないものを誰かから流し込まれている。上の三つの例で言えば、

  • 祖父母には子どもがいるのにも関わらず、(祖父母の実子であり、孫の親である母親がその子に切々と語っているため)孫が祖父母の相続財産に詳しい
  • 母親がいかに酷い人間だったか、本人は覚えがないが(父親が子どもに吹き込んだために)知っている
  • 自分がまったく知らない親戚について(叔母からそう教えられたから)悪感情を抱いている

たぶん、こういうことが背景にある。

 

もちろん、首相がマンガやプラモデルに詳しくてもいい。余暇や余技で何をしてもいいですよね。ただ、小学生の子どもが家計に詳しすぎる、父親がどんな女性と浮気をしたのか知っているというのは、子どもが負える範囲を超えている。

その年齢で知っていることを知らないと生活に支障をきたすのは当たり前のこととして理解されています。一方で、その年齢で知っているはずがないことを知りすぎているというのも実は大きな問題をはらんでいる可能性がある

 

私はプロのカウンセラーなど専門家ではなく、あくまで読者からいただいたモヤモヤを美味しくいただいているだけです。モヤモヤをいただく際に、その人が何を知っていて、何を知らないか、何を多く語るか、語らないかが分かると、モヤモヤをより楽しむことができるため、色んな質問をしています。

 

自分自身で自分のモヤモヤを解消するときにも、自分が何に無知で何に詳しすぎるかという視点で眺めてみると思いがけない発見があります。何かどうしても解消できないモヤモヤがある人は一度それを紙に書き出してみて眺めてみると面白いですよ。 

 

子どもの心のコーチング―一人で考え、一人でできる子の育て方 (PHP文庫)

子どもの心のコーチング―一人で考え、一人でできる子の育て方 (PHP文庫)