斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

暇を持て余した両親が、マイナス金利に怯え、ホームセンターに金庫を買いに行き、銀行や証券会社の営業マンの口車に乗せられる前に

バカなと思うかもしれませんけど、あなたのご両親も最近金庫を買ってたりしませんか? 

LION 防盗耐火金庫 SG-1260 品番70576

※Amazonで一番高い金庫。1260kgある。床が抜ける。

 

ホームセンターで金庫を買う高齢者

たんす預金用?金庫人気…マイナス金利導入で : 経済 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

「マイナス金利対策はお済みですか?」

 ホームセンターの「島忠ホームズ葛西店」(東京都江戸川区)では、2月初めから金庫売り場にポップを掲げている。マイナス金利の導入で預金金利が下がり、家で現金を保管する「たんす預金」が増えると見込んでいるからだ。中小・零細企業の経営者や高齢者がよく買っていくという。

 人気の税込み7万9800円の大型金庫は品切れで、入荷は3月下旬頃になる見込みだ。島忠の最近1か月間の金庫の売上高は前年同期比約1・4倍で、この1週間では約1・6倍に増えた。

日銀がマイナス金利を導入し、預金金利や保険商品の利率が下がるのを受けて、「銀行にお金を預けているとお金が減っていく!」と怯えた高齢者がホームセンターに金庫を買いに行っているようです。

 

そもそもマイナス金利が適用されるのは、銀行による日銀への当座預金の一部に過ぎません。銀行の預金金利は確かに下がっていますけど、みずほ銀行が預金金利を年0.02%から0.001%に下げたのだって、仮に1000万円預けて2000円の利子だったのが100円になっただけです。差額は1900円。そのために1000万円をタンス預金していたらそっちのほうが面倒です。人気の金庫が8万円かかる上、1000万円置いてたら家をおちおち空けられない。ATMでも自由に引き出せない。

 

合理的に考えれば預金金利が多少低くなっても、タンス預金を選択するなんて現実的な選択肢には普通はなりません。しかし、暇を持て余していて、不安ならありえる。

 

銀行や証券会社の営業マンの口車に乗せられる高齢者

さすがにタンス預金をしようとする人は多くはなくとも、銀行や証券会社の営業マンの口車に乗って、手数料が何%も取られる金融商品を買おうとしているお年寄りはそれなりにいるはずです。

マイナス金利開始で金利低下も 投資や消費が焦点 NHKニュース

このうち大手銀行の「新生銀行」では、午前9時半から、マイナス金利の導入を受けて、預金の金利をどこまで引き下げるかなどを話し合う戦略会議を開きました。

銀行では今月、すでに一部の定期預金の金利を下げていますが、会議では、金利をさらに引き下げることもやむをえないという意見が出た一方、これをきっかけに投資信託などの金融商品の販売を強化していく必要があるという意見も出ました。

このように銀行は預金金利を下げる一方で、個人から高めの手数料を取れる金融商品の販売の強化をしようとしています。今まさに、小金持ちのお年寄りには、銀行・証券から「マイナス金利対策のため金を買いませんか!投資信託を買いませんか!」という営業が行われているはず。

 

営業トークに素直に乗って、仮に手数料が3%ぐらいかかる海外の複雑な金融商品を買ってしまうと、老後のための安全資産が目減りする上、思ってもいないリスクに晒されることになります。

 

マイナス金利に怯えている親と話そう

こんなことになる前に、ご自分の両親がマイナス金利を不安に思っていないか、一度話をしておくことをオススメしたいです。基本的なこととして、銀行の預金金利が今すぐ物凄いマイナスになるという話にはなっていないし、タンス預金やリスク性の高い金融商品を買うほうがよっぽどリスキ-であるということを理解してもらうこと。

預金のマイナス金利「契約上できない」 金融法委が見解:朝日新聞デジタル

 

どうしても今ある銀行預金をどうにかしたいと呟き続けるようであれば『10年変動金利型の個人向け国債』がプロからはお勧めされています。理由は利回りが最低0.05%まで保証されていることとインフレにも対応できる部分があることなどから。

マイナス金利時代の個人資産運用はどうすべきか|山崎元のマルチスコープ|ダイヤモンド・オンライン

2/2 誰でも簡単に買えるマイナス金利にならない金融商品 [賢く生きる3分間マネーハック] All About

恐らく、マイナス金利という言葉を言葉巧みに使った投資詐欺も横行するはず。親の財産が目減りし、リスクに晒されることは、今後の介護や相続にも大きな影響を与えます。

暇を持て余して、不安になって、お金が余っている人は碌な事をしません。ウォッチしましょう。

 

マイナス金利―ハイパー・インフレよりも怖い日本経済の末路

マイナス金利―ハイパー・インフレよりも怖い日本経済の末路

  • 作者: 徳勝礼子
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2015/11/27
  • メディア: Kindle版
 

※表紙は煽っているけれど中身は煽っていない。