斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

2020年、今年読んで良かった本と漫画 5作品

個人の備忘録として書いておきます。発売年が今年というわけでは必ずしもありませんが、今年読んだもの限定。思い出したら追加します。

なお、今回はAmazonのアフィリエイトリンクに加えて、実験的に楽天ブックスへのアフィリエイトリンクもそれぞれ置いています。

AIに負けない子どもを育てる 新井 紀子 (著)

AIに負けない子どもを育てる

AIに負けない子どもを育てる

  • 作者:新井 紀子
  • 発売日: 2019/09/06
  • メディア: Kindle版
 

思えば中室牧子さんの『学力の経済学』(2015年)を読んで以来、子育て・教育を極力エビデンスがある形でやりたいなと思っていました。エビデンスベースの子育て方法を紹介したものは翻訳物の本では複数あるものの、日本人を対象に日本人向けに書かれたものはなかなか見かけない中で、この新井紀子さんの本は日本人の読解力に限定して分析的に解説してくれていて、大変貴重でした。 

新井紀子さんが後半部分で、いかに子どもの読解力を高めるかについて、エビデンスベースではないものの、彼女が見える範囲でどういう仮説がありえるか書いてあったものも良かったです。親を責めない姿勢も大変良かった。今でも定期的にこのパートは読み直しています。エッセンスが濃縮された10ページ弱。

楽天ブックスのリンク → AIに負けない子どもを育てる [ 新井 紀子 ]

水は海に向かって流れる 全3巻 田島列島(著) 

こちらは2020年内に全3巻で完結しています。とある男子高校生が男女複数人が暮らす家に住み始めたら、同居人の1人が父親のW不倫の相手の娘だった…というところから始まるお話。

田島列島さんの『子供はわかってあげない』(上下)が大好きで、期待値高めに読み始めた本作でしたが、見事に期待値通りの絶妙な感情表現に、やっぱり田島列島さん大好きだなと思いました。これからも新作が出たら読み続けたい。

楽天ブックスのリンク → 水は海に向かって流れる(1) (KCデラックス) [ 田島 列島 ]

格差は心を壊す 比較という呪縛 リチャード ウィルキンソン (著), ケイト ピケット (著) 

もとは私が定期購読しているブログのひとこと感想:『格差は心を壊す:比較という呪縛』 - 道徳的動物日記で見て、興味を持った本です。

2019年に読んだ松岡亮二さんの『教育格差』は日本の教育格差を網羅的に一般向けに書ききった意欲的な本でしたが、こちらは世界中の国々の格差がいかに世界中で不幸を生み出しているかを膨大な参考文献とともに紹介する、これまた壮大な本でした。

最後に格差についてどこまで何が分かっているかの研究結果を表でまとめているのが、学者でない人間としては大変ありがたかった。当然、因果関係と相関関係ははっきり分けて書いてくれてる。

貧富の差がある国では富裕層でさえ心の病を持ちやすいなど、単に貧困層に限定せず包括的に問題を取り上げていることで、格差のある状態が誰しもにとって望ましくないというのは、私のような功利的な発想の人間にはとても響きました。

楽天ブックスのリンク → 格差は心を壊す 比較という呪縛 [ リチャード ウィルキンソン ]

三体 劉 慈欣 (著)

三体

三体

  • 作者:劉 慈欣
  • 発売日: 2019/07/04
  • メディア: Kindle版
 

2019年に話題になったSF小説、私は今年読みました。

作中で、

「みなさん、想像していたとおりの方々ですね。『三体』はみなさんのようなハイクラスなユーザーのためのゲームです。『三体』の意味や雰囲気は、一般大衆にはじゅうぶんに楽しめませんからね。ちゃんとプレイするには、一般人が持っていない知識と理解力が必要です」

(p.249)

という発言があるように、実際、『三体』は読み手を選ぶ、ハイクラス向けの小説だと思います。

私も正直理解できていない部分は『TENET』と同様にたくさんありましたが、麻雀ができないけれど福本伸行『アカギ』を楽しんだように、分からない人間なりに世の中には私の想像や理解を超える物語が存在していることに興奮しながら読了しました。

全三部作で続編はまだ読んでいません。じゅうぶんに楽しめるよう少しだけ復習しておくつもりです。ちゃんと読むには、一般人が持っていない知識と理解力が必要ですから。

楽天ブックスのリンク → 三体 [ 劉 慈欣 ]

あさひなぐ 全34巻 こざき亜衣 (著) 

あさひなぐ(34) (ビッグコミックス)

あさひなぐ(34) (ビッグコミックス)

 

確か去年から読み始めたと思います。高校の薙刀部のお話。今年、全34巻で完結しました。

主人公が話にならないほど運動ができないところからスタートして、スポーツ漫画としてどう展開させるのだろうかと不思議に思い読み始めたら、今どき珍しいスポ根の連続で逆に目新しさを感じつつも、

登場人物を一人ひとり丁寧に描いていることから、全員自分の子どものように思えて、最終巻では個人個人への思い入れから、ずっと泣きっぱなしでした。34巻の表表紙、裏表紙にいる全員にドラマが用意されているんですよ。凄い。

終盤、熊本東という薙刀強豪校の島田というかなり気持ち悪いキャラがたくさん登場するのに違和感を覚えた人もいると思うのだけれど(準主役的扱い)、薙刀経験者が周囲にいる中で、どうやって強くなるか、勝てるかを愚鈍に追い求めた点で主人公の東島旭と同じであるという34巻での昇華の仕方はとても良かった。 

Twitterにも投稿されていた『シュレディンガーの高校生』が34巻の最後に収録されていて、読んでいて感情移入しちゃって泣いちゃいました。これを読んでいいなと思ったら『あさひなぐ』本編も楽しめるはずです。

どうでもいいですが、私が一番好きなキャラは紺野さくらです。

楽天ブックスのリンク → あさひなぐ(34) (ビッグ コミックス) [ こざき 亜衣 ]

以上、思い出しただけで5作品紹介しました。

今年も良い作品に巡り会えたことを幸せに思います。来年も素晴らしい本・漫画に出会えることを楽しみにしています。

皆さんの良かった本・漫画があればこの記事の下に関連記事として紹介しますので、ぜひ書いて教えてください。