斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

「そんな人は尊敬できない。お願いだから離婚して」……小島慶子さんの夫への振る舞いは私には"モラハラ"に見える

たまたまこの記事を読んだんですが、

小島慶子〈エア離婚〉を選んで2年「夫婦リセットか、続行か。いま心は揺れて」(婦人公論.jp) - Yahoo!ニュース

2ページ目から一般的には読むのが辛いだろう描写が続いていました。(私は慣れているので特に辛くありません。)

以下、パワハラ・モラハラ・DV経験がある人にはフラッシュバックさせる内容が含まれていますので、そっ閉じを推奨します。

Tasmania

※タスマニアの景色

記事の内容は小島慶子さんという方(すいません、伊集院光さんや荻上チキさんがTBSラジオで触れていたことぐらいしか知りません)が、16年前(長男の年齢からすれば18年前ではないかと思うが筆者は16年前としている)の夫の不貞行為に対して以降"辛辣に言いつの"り続け、離婚も想定していたものの、今年7月に夫がようやく問題を理解したこともあり、コロナ禍もあり、離婚をするか心が揺れているというものです。

ちなみに、上の記事は婦人公論の紙媒体に掲載されたものをWebに転載したものです。転載時に3~4箇所ぐらい主に不貞行為に関するところを削除しているため("キス"も)、そのまま読むと小島慶子さんが何にどう苦しんだかがよく分からなくなってしまっています。気になる人は婦人公論を読んでください。私は雑誌読み放題サービスで読みました。

婦人公論 2020年 11/24 号 [雑誌]

※この号です。婦人公論、初めて読んだ。LDKとはまったく違いますね!

で、何が一般的には読むのが辛いかというと、いくつかあるんですが、かなり厳しいのが、16年前の夫の不貞行為について、約5年前に行われた家族会議で子どもたちに明らかにしたところです。該当箇所は次のとおり。

パースに戻ったときに、夫と、当時14歳と10歳の息子たちを前に、家族会議を開きました。わが家ではもう性教育は一通り終えていて、女性の人権についても説明していました。それでも多感な年齢の彼らに対し、父親の愚行や両親の関係の危機をあからさまに示すという、かなり酷なことをしたと思います。私は、単なる家庭内の不祥事ではなく、父親の行為は女性蔑視であり、それに無自覚であってはいけないことをどうしても息子たちに伝えたかったのです。

彼らは懸命に考えたうえで「それでもパパが好き。家族の形はこのままがいい」と言いました。しかし夫はうなだれて「うまく言えないんだ」と言うだけ。私は深く絶望しました。そして、子育て終了後の離婚を念頭に置いて今から準備を進めよう、と心に決めたのです。

ご本人が「子どもにかなり酷なことをした」と書かれているように、これはかなり酷だと思います。子どもにとってももちろんですが、夫に対してもです。

子どもに酷なのはそれほど難しい話ではなく、子どもの前で配偶者の悪口を言うというお決まりのやつですね。これは性教育が終わっているかどうか関係なく、子どもの心を相当傷つけるものです。

配偶者の悪口を目の前でされたら、結構多くの子どもが傷つきます。私も幼少期、母親に傷つけられました。子どもが「それでもパパが好き」と答えている時点で、小島慶子さんの息子さんは母親から父親を否定されたと受け取ったのが推測できます。

で、夫に対しても酷なのは、夫婦関係での自分の問題を子ども(他人)に開陳されたからです。ある人に非があったとしても、それを他人がどこまで開示するかどうかというのは、やり過ぎれば開示したほうが加害者になりえます。

もう一つ厳しいところは、この部分ですかね。夫の16年前の不貞行為について、いかに問題であったかを小島慶子さんが伝えるものの、

ここ数年、何度夫とこの話し合いをし、どれだけの参考資料を送ったことか。けれども彼の反応は通り一遍の「読みました」とか、「申し訳ありません」。謝罪のことばではなく、あなたの考えが聞きたいのだと言い続けました。

コロナ禍が広がる直前の今年の1月、一家でタスマニア島に旅をしたのですが、二人でいるときにその話になり、夫は「まだ考えがまとまらないんだ」と逃げました。「16年も経つのに? 考える勇気がないんでしょう。そんな人は尊敬できない。お願いだから離婚して」と突きつけたら、彼はポロリと涙をこぼしました。胸が痛んだけど、なし崩しにしたくはありませんでした。

小島慶子さん視点では、夫からは逃げるようなリアクションしかなかったというものです。

これも、何が厳しいかというと、自分が求める答え(リアクション)以外の答えは答えではないという姿勢を貫いているところです。今年の7月に夫が"答え"を理解したことで夫が内省し学んだと評価しているところ含めて、自分の正解以外が正解ではないから、それに辿り着かない限りすべて不正解というスタンスに読めます。

自分の正解以外はすべて不正解とみなすのはDV配偶者がよくやりますよね。「本当に自分の頭で考えてそう思ったのか」「私が考えているものと違う」と繰り返し、相手を徐々に無気力にさせるもの。

特に夫が答えに辿り着かないから「お願いだから離婚して」というのがヤバい。離婚という切り札を使って相手をコントロールしている。記事タイトルにあるようにエア離婚という言葉が記事中に何度も出ていること含めて、もしかして小島慶子さんは離婚をナチュラルに語って夫を支配しているのではないかという印象を受けました。

ざっとこんなところです。

事の発端は16年前の子どもが生まれた直後の夫の不貞行為で、しかもその不貞行為で小島慶子さんが被害を被っていることもあり、この点では疑いようもないほど夫有責です。間違いない。

子どもが生まれたばかりのもっとも大変な時期に(「この子は私がいなければ死んでしまう」と思うのはメンタルが相当やられます。私もやられました)、外で不貞してきて、しかも、(雑誌にしか書いていないので詳細は省きますが)不貞の仕方が不貞の相手にも配偶者にとっても最悪だったというのは、その通りなら許せる女性はまずいないんじゃないかと思います。離婚してもおかしくない。

私は、この件についての小島慶子さんのスタンスを真剣にとらえすぎとか、適当に流すことができないとか、男なんてそんなものだと大らかに受け止めろとも、まったく思いません。そんなことを小島慶子さんに言ってきた人間はgo to hellです。

今でも夫の行為を赦せないという気持ちを捨てるべきだなんて私は思いません。この夫の行為について小島慶子さんには何の落ち度もない。

ただ、ただ、そういう事情はあるにせよ、その後の16年間で記事にあるような小島慶子さんが夫にしてきた言動というのは、ご本人は、

私はまだ夫を完全に赦(ゆる)したわけではないので、経済的に立場の弱い夫に対してモラハラ的になってしまうかもしれないと、自分が怖いのです。 

と書かれていますが、経済的に弱いかどうか関係なく、相手の非をテコにした"モラハラ"をしている印象を私は受けました。

本来は他人の家庭のことですから外野の私がどうのこうの言うものではありません。ただ、ご本人が雑誌やWebに誰もが見える形で公開しており、私の目の前に"暴力"が曝け出されているのを見て何も言わないというのは私の中での正義に反すると思い、あえて書いています。総合的俯瞰的と何度も繰り返す人間に不誠実・不合理を覚えるのと同じです。

「結果的に一部の大学に(会員が)偏っている」←秒で否定できるロジック持ってきている点で頭が悪いか、受け手を馬鹿にしている - 斗比主閲子の姑日記

小島慶子さんという人をこれまでほとんど知らない私が、あくまでこの記事だけを読んだ印象としては、いつも私が書いているように被害者意識から加害者になっている状態に読めました。

自分が被害を被ったとしても無限に相手を追い詰められる権利を得られるわけではありません。"エア離婚"という切り札をチラつかせて良いわけではない。

ご自身が「怖い」と仰られていることからモラハラはしたくないということだと思います。もし、本当に怖いとお思いであるならば、ご自身のこれまでの言動を列挙した上で、第三者の客観的な判断を求められてもいいのではないかと私は思います。