私が馬鹿げていると思っている公立小学校の決まりの一つに、学校を欠席するときには欠席連絡を連絡帳に書いて他の児童に託す必要があるというものがあります。
【アンケート】現在、過去にお子さんが公立小学校に通っている・いた人向けに質問です。
— 斗比主閲子 (@topisyu) 2020年5月17日
その公立小学校では、欠席・遅刻の連絡をどのように学校に伝える仕組みになっていましたか?
※物の見事にメールなどネット経由がゼロ。矢文とか伝書鳩より少ない
大人が仕事を休むときは、電話やメールやその他のツールを利用するのが当たり前ですから、わざわざ学校を休むのを伝えるために、紙に書いてそれを誰か他の児童に託すというのはあまりに非効率だと思うことでしょう。
私が理解するところでは、連絡帳を使って欠席連絡をする理由としては、
- 学校には電話の台数が少ない & 電話で連絡されると朝の忙しい時間帯に対応しきれない
- 連絡帳であれば子どもによる誤魔化しが効かない
- メールを受信する設備が学校にない
という感じのようです。表立って言われるのは1つ目ですかね。
しかし、実態としては公立であっても中学は徐々に、そして高校にでもなれば電話での欠席連絡を受け付ける学校が大半です。小学生は学校を休む頻度が多い、小学校は6学年だから高校の2倍以上の子どもがいるからキャパが余計に必要になるとか抗弁するかもですが。恐らくは、小学校では登下校の班の仕組みがある、同じ学区に同級生が住んでいるというのが、連絡帳という仕組みが存続している理由の一つと私は考えています。
この連絡帳での欠席連絡という仕組みがいかに配慮が足りていない極悪非道なものかというのは、連絡帳を実際に渡すプロセスを想像するとよく理解できます。
まず、連絡帳を渡す相手は基本的には同級生であり、親が朝の忙しい時間帯に近所に住む他の親に連絡し、「今から連絡帳を渡しに行くね」or「登校ルートで待っているから受け取ってね」と伝えます。その後に、親とその児童との連絡帳の授受のセレモニーが行われることになります。
その児童も休みの場合は、他の児童の親に連絡をする必要があります。子どもは風邪でもインフルエンザでも集団感染するものですから、かなりの頻度で起きる現象です。
仮に、近所に他の児童が住んでいないときや、他の児童や親との折り合いが悪い or あまり接点がないときには途方に暮れることになります。そうなると電話をすることや、最悪学校まで親が連絡帳を持参することになります。
欠席連絡を連絡帳を託すという方法は、接点のある同級生の親がいることや、朝の時間帯に余裕があることを前提にしているんですよね。片働き世帯で親の繋がりがない人の場合は詰みます。まったく弱者に寄り添っていない仕組み。
ここまで説明するとおおよそ想像できると思いますが、この冗長で非効率な連絡帳を手渡しする仕組みが存続できたのは、かつては親に専業主婦世帯が大勢を占めていたからだと考えられます。
※グラフの出所は労働政策研究・研修機構
PTAの打ち合わせが平日の昼間に開催されることがまだ続いているのと同根ですね。
先日の私が書いた記事では、学校のICT対応は賛否がありました。ただ、欠席連絡を他の児童経由で行うことを辞め、欠席をメールで伝えることを反対する人は極少数でしょう。
共働き世帯が一般化し、ご近所付き合いもかつてのようではない現代で、朝の忙しい時間帯に連絡帳を物理的に手渡しして欠席連絡を行うというルールは、私は今すぐに廃止すべきだと考えています。べき論は好きじゃないけど、ここはべき論。
あと、手渡しの連絡帳のもう一つの問題点。
たぶん、ほとんどの公立小学校でまったく考えてもいないと思うんですが、そもそも欠席した児童の親というのは、発症はしていないかもしれないけれどその病気に感染している可能性が高いわけですよね。で、その親が物理的に他の児童に連絡帳を手渡しするってどれだけその児童(及びその家族)の感染リスクを作っているかと。
仮に、家族の誰かがCOVID-19に感染して学校を休むときに、そんなときでも他の児童に連絡帳を手渡ししないとしたらいかに馬鹿げた仕組みであるかがよく分かると思います。
こう言うと、「COVID-19は例外です」などと言い出す学校の責任者がいるのは想定できます。「その代わり、COVID-19の陽性証明書を後で提出するように」とか言い出しかねない。信じられないけど、そういうこと言い出す学校は絶対にあります。インフルエンザ陰性証明書を出させる学校が今でも無数にあるぐらいですから。
そもそも、政府の専門家会議が提唱する『新しい生活様式』では、発熱や風邪の症状がある場合は無理せず自宅療養することを推奨しています。
※新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」を公表しました(新型コロナウイルス感染症)|厚生労働省
この『新しい生活様式』に則って行動するときに、子どもが無理せず自宅療養している状況で学校が親に他の児童に欠席連絡を手渡しさせるって、かなりクレイジーですよね。
全部ICT化するのは大変かもだけど、いい加減、欠席を保護者からのメールとかgoogleクラスルーム・フォームスとかで受け付けるぐらいしてもいいんじゃないでしょうか。
運動会の危険な組体操はほぼ撲滅できましたし、下着の色を指定するという校則も問題視されるようになってきました。
親一人ひとりが学校に「他の子に連絡帳を手渡しさせるって学校が病気感染リスクを意図的に作るんですか? 本気ですか??」と伝えれば、恐らくは簡単にこの仕組みは変えられるはずです。学校は基本的にリスクを回避する傾向がありますから。
ぜひこの機会に「欠席連絡は連絡帳手渡し」ルールを根絶しましょう。