斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

『凪のお暇』が、超超超超いい。登場人物の事情の深掘りがいい。節約料理も好き

2019年の「このマンガがすごい!」オンナ編で第三位にも選ばれた『凪のお暇』が超超超超いいので、私が好きなところを紹介します。

多少ネタバレはあるので、読みたいなと思っている人は、まずは1巻の1/3ぐらいが無料で試し読みできるので、先にそちらを読んで、面白いと思ったら、私のレビューなんて読まないで、先の巻まで読まれるといいかと思います。2019年1月現在、既刊4巻です。

凪のお暇|無料・試し読みも【漫画・電子書籍のソク読み】naginooito_001

以下、あらすじと私の好きなところを紹介します。 

どんな話か

親の影響もあってか、周りの空気を読んで、流れに身を任せてきた、28歳会社員の凪が、彼氏が自分の身体目当てで付き合っていることを知って、なんかやんやあって仕事を辞めて、安アパートに引っ越して、ストパーかけるのを止めて、ちょっとクセのあるアパートの住民などとの交流をして、一時の"お暇(いとま)"を得るという話です。

好きなところ:登場人物の事情の深掘り

私がこの漫画の好きなところは、まず、登場人物の事情の深掘りがされているところです。具体的には、主人公の凪、元彼の慎二が事情説明多めで、アパートの隣人のゴンさん、職安で出会った坂本さんがそこそこ、他の人はちらっと説明があります。

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※画像は、秋田書店のコナリミサト「凪のお暇」特設サイト|株式会社秋田書店から

主人公の凪は、周りの空気を読んで生きてきて、自分で今までに行きたいと思った場所がなく、人に流されてきてばかり(と本人は考えている)人間です。で、彼女の事情は、母親です。北海道に一人で住んでいるお母さんが、精神的にグイグイ外堀りを埋めてくるタイプです。負い目を持たせて、凪をコントロールしてきます。

凪の元カレの慎二は、凪を身体目当てだと嘯く、一見クソ野郎ですが、実は凪のことが超好きです。別れた後も未練たらたらです。彼の事情は、(ある意味凪と共通するけど)家庭環境です。本当はもはや成立してないんだけど、外向きにはいい家族を家族全員が演じきっているため、慎二は仕事でも出来る自分を演じることができます。

凪のアパートの隣人の、ゴンさんは、他称『モーセの海渡り』と言われていて、彼の距離感のない優しさに、彼が通った後は、老若男女問わず、彼に依存した結果、身を滅ぼしていった人々が溢れています。ゴンさんの事情は、(私が読んだ4巻まででは)愛着形成に何らかの問題があったようなことが示唆されています。

凪とお暇友だちになった、坂本さんは、変にポジティブで、周りとのズレが激しくて、就職面接でお祈りされまくっています。彼女の事情の一つとしては、子どもの頃から勉強はできて、東大に入ったんだけど、就活で失敗して、何とか入った会社で「東大なのにこんなこともできないのか」と言われたこと。

事情の説明度合いとしては、圧倒的に凪が多めですが、3巻で慎二が多めに、4巻でゴンさん、坂本さんの背景が少しだけ語られます。後は、ちらっと、元同僚の足立さん関連とか。足立さんとのマウンティング合戦シーンはとても素晴らしい。

こう言っちゃなんだけど、こういう背景事情がある人は、こういう振る舞いをするよねっていうのがスッと入ってきて、私はとても好きです。キャラクターの言動に必然性がある。

一方、漫画としてキャラクターを強調してはいるけれど、実際にこういう人はいるいるなので(自分自身が凪とか慎二だと感じる人はいると思うので)、読むのが辛い人はいるとは思います。それが影響してか、事情が深掘りされダウンな気持ちになりやすい、2~3巻あたりはAmazonでの評価が低い。

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※画像はAmazonから。一部筆者が加工

ただ、辛い事情を説明して終わりじゃなくて、そこから克服される、癒やされるプロセスはちゃんと書いてくれているので(少なくとも、4巻はそう)、2~3巻あたりで辛くても、4巻は結構スッキリする人は多いと思います。実際、Amazonのレビューもそんな感じになってます。

まずは1巻読んで和んで、2~3巻でちょっと落ちて、4巻でカタルシスを得るみたいな感じでしょうか。

好きなところ:節約料理

この漫画のもう一つ好きなところは凪を中心として節約料理が登場する点です。拾った扇風機をペンキ塗り直して使ったり、畳の目地をお茶っ葉使って掃除したりと、節約術も紹介されます。

私は節約料理が大大大好きで、『きのう何食べた?』のシロさんが八百屋や魚屋の前で「旬の食べ物が安く手に入ると嬉しい」という反応をしているのを見て嬉しくなる人間なので(フィクションの登場人物でも嬉しがっているのを見て嬉しくなる)、凪とアパートの住民が、節約料理(豆苗を何度か食べたりとか、牛乳の簡単アイスとか)を作って、それを楽しんでいる姿を見るのが、超幸せな気持ちになります。

何か、ちょっと料理漫画っぽいところがあるなと思ってたら、作者さんは、もともと節約ネタの漫画を描こうとして、肉付けしていって、今のお話になったということでした。

独占漫画家インタビュー:コナリミサト「漫画は全部自分の責任」 | 無料で読める漫画情報マガジン「めちゃマガ」 by めちゃコミック

――漫画の中によく登場するレシピなどの節約術は、コナリさんも普段からやっているものなんでしょうか?

そうです。ちょっと工夫して作る貧乏飯が好きなんですよ。「凪のお暇」は、最初こういう節約ネタを入れる漫画を描きたいと思って始めたんです。それをやるためにはどんな主人公が良いかなと考えて、凪が生まれて、そこから色んな設定やストーリーを肉付けしていきました。

さもありなんで、節約料理を好きな感じが伝わってきます。料理シーンは癒やしのシーンでもあり、比較的重ためな登場人物の背景事情の説明の合間に挟まれる、箸休め的な感じになっています。

締め

ということで、『凪のお暇』のレビューでした。興味を持った人はぜひ読んでみてください。

作中で、凪が自分のことを「少女漫画の主人公には愛され要素があるが、私にはない」と客観視するシーンがあるのですが、私からすると、少女漫画の主人公は大した愛され要素がないのに(決め手はないのに)、ひょんなことから勝手に好かれるのが多いという印象で、凪のほうがよっぽど魅力的であり、それがジワジワ伝わってくる作りになっていて、私は、この点も大好きです。

凪のお暇 1 (A.L.C. DX)

凪のお暇 1 (A.L.C. DX)

  • 作者: コナリミサト
  • 出版社/メーカー: 秋田書店
  • 発売日: 2017/06/16
  • メディア: Kindle版
 

※凪のお母さんの事情が深掘りされることもちょっと期待しています。