世の中には胎内記憶であったり、それどころか受精卵よりもっと前の段階から記憶がある子どもがいるそうです。「雲の上からお母さん、お父さんを見ていたよ」とか。
ほとんどの場合が、子どもが学習した結果だと私は考えています。子どもが実際に何かを記憶していなくても、記憶していると答えたほうがいいかなと思って答えてみたら、親や周りの人間が「よく覚えてるね!」「もっと教えて!」と反応したことで、子どもが「もっと話したら喜んでくれるかな」みたいなことで、結果として、胎内記憶、胎前記憶を語り始めちゃうみたいな感じですね。
まともな人間であれば、子どもが親などの期待に応えてこういうことをやりがちなのは理解できますから、実際に胎内記憶や胎前記憶があるかどうかを検証する気があるのであれば、この辺の影響を排除して、本当に覚えているかを確認したほうがいいはずです。
しかし、私が知る限り、残念ながら、胎内記憶や胎前記憶があると言う人の中に、しっかり検証しようとする人を見かけることはありません。もし、本当にそのような記憶があるというのなら大発見なのに。なんでなんでしょうね。
ここからは我が家の話です。
私は1年ごとぐらいの頻度で子どもたちに「お腹の中にいたときのことを覚えている?」という質問をしています。何しろ世の中には覚えている子どもがいるということですから、もし自分の子どもが覚えているということであれば詳しく知りたいですからね。ただ、今のところは、どの子からも「覚えている」という回答が来たことはありません。
ある子は、最初の頃は、単に「覚えていない」という回答が来るだけでした。ただ、中身はちょっとずつ変わっていっていて、その子の、直近の回答は「脳が発達していないから覚えていない」です。
脳が発達していたかどうかは自分で観測できるものではないでしょうから、脳の発達云々は知識として身につけたものですね。こうなるとこの子から「覚えている」という回答が今後来ることは期待できなさそうです。
この子については、冗談が通じない、リアリスティックな回答をする傾向があり、例えば、私が「目に入れても痛くないぐらい可愛い!」と言うと「目に入れたら痛いでしょ」と返してくるし、「なんでこんなに可愛く生まれてきたの!?」と言うと「もっぱら遺伝でしょ」と返してきます。
ただ、一見クールに見えても、雷が落ちていたり、台風が来ていたりすると、私が事前に「近隣に避雷針があり、我が家に落ちることはない」「これまでこの家が台風で浸水等の影響を受けたことはない」と説明していても、何も言わずに子ども部屋から親の寝室に夜中に移ってくることがあるので、過度に理屈偏重で、バランスが崩れているというわけでもないかなと思って眺めています。
ちょっと面白いなと思った発言としては、駅のホームにいたときに「心臓の音がする」と言っていたことですね。電車が走るとガタンゴトンという音が心音に似ていると考えたようです。確かにそう聞こえるところはある。
科学的にものを見ることは大切ですが、世の中にはまともに検証しようともせずに胎内記憶があると主張する人がいて、そういう人とも接する機会はありますから、ある程度の遊びも持っていると、この子は生きやすいなと思っています。
以上、n=1の話でした。
※この辺のシリーズは大抵読み聞かせ済みです。
※はたらく細胞はかなり気に入っていました。「血小板ちゃん、かわいい!」とのこと。