斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

アジア通貨危機からは大体二十年、リーマンショックからは十年

一昨日は、2008年9月15日のリーマンショックからちょうど10年ということで、日経新聞では数日前から特集記事が載り、金融系ブログでも回顧録が多数書かれていました。

私が就職した頃は、いわゆる就職氷河期というやつで、二十年前のアジア通貨危機もあり、景気は確かに悪い印象はありましたが、自分がしている仕事に影響があったということでは、リーマンショックはとても感慨深いものがあります。

おおよそ十年ぐらいの周期で不況と好況が繰り返されるとするならば、リーマンショックから十年経って、チャイナショックどころではない、大きな不況期が来るのではないかというのは、ちらほら見かけるようになりました。

私個人としても、アメリカのテック系を中心とした企業(GAFAが象徴であるもののそれに限らない)の株価が収益性に比べると非常に高い印象で、ここ十年ぐらいアメリカ株に投資していたら年利10%ぐらいとなっていることもあり、そろそろ調整局面に入るのでは?と疑っているところがあります。

次に来る不況期を考える上で、リーマンショックのときに何があったのか、個人としてどう受け止めたかを記録する意味はあると思うので、十年前に起きたことを個人目線でちょっと書いてみます。

Charging Bull - New York City

リーマンショックは2008年9月に起きていますが、その前に兆候がまったくなかったわけではありません。本来は住宅ローンを背負える信用力がないはずの裕福でない層を対象としたサブプライムローンの破綻をきっかけにアメリカの住宅バブルは2007年には崩壊していました。ただ、その時点では、サブプライムローン中心としたリスクの高い金融商品をどの金融機関がどれだけ保有していたかが分からず、徐々に信用不安が広がっていったところで、リーマンショックが起きたと認識しています。

日本国内でも、リーマンショック前はちょっとしたお祭りになっていました。就職状況も、その少し前の就職氷河期とは異なり、売り手市場になっていましたし、特に対外売上の大きい企業の多くは、過去最高の売上高となっていました。週刊誌を見ると株式投資が熱いという特集が大量に組まれ、世界中の不動産投資が大人気になっていました。

当時、私が通っていた英会話学校の、そんなに稼いでいると思えない外国人の先生が自分の地元でマンション投資をしていることを聞いたり、当時私が勤めていた会社にマンション投資の電話が時々かかってきていたりして、不動産業界は景気がいいなと思ったものです。サブプライムローン商品が売れるぐらい、投資家がリスクを取りに行っているわけですから、普通の不動産投資にもその影響が来ていたのは今考えれば当然のことだと思います。

リーマンショックが起きてからは、毎日のように日経新聞に特集が組まれ、海外だけではなく国内の不動産会社も倒産していき、お金がリスクのある資産からリスクの少ない資産に移り、株安となり、円高になりました。

円高は2008年から5年ぐらい続いたため、日本製品が海外に売れなくなりました。メーカーの売上がリーマンショック前の20-30%減となり、多くの企業でリストラが行われました。内定が出ていたにも関わらず、企業から内定破棄をされた学生もいたり、内定先企業が倒産するなど、また就職氷河期が来ました。

一方で、国内生産では為替で負けるからと、メーカーは海外生産能力を増強し、機を見るに敏な企業は大型海外買収を行い始めました。円高だからと海外旅行に行ったり、海外からの個人輸入をしたりする人もいました。

私個人は、リーマンショックが起こる前から海外分散投資をしていたので、リーマンショック後に評価損が数百万円発生し、毎日やきもきした気持ちになったものです。友人で投資を手仕舞いする人も多くいて、私もそろそろ損切りしたほうがいいのかなと思ったものです。

結局、私はその時に投資を止めずに今でも続けていて、リーマンショック前に投資した商品も、60%ぐらいの含み益を抱えています。私の投資した商品の中でもっともリターンが出ているのは、リーマンショック後からいい時期に投資できたもので、130%ぐらいの含み益ですから、二倍以上になっています。これだけ投資を続けられたのは、ひとえに、職があったこと、結婚して夫婦でリスク分散ができていたこと、(二世帯住宅ですが)持ち家があったこと、投資に回している以外の余裕資金があったこと、投資は長い目で行うものだと考えでいたからです。運が良かったところが大きい。

私はNISAやiDeCoを利用した投資を好意的に紹介しているものの、今回紹介したリーマンショックや、その前のアジア通貨危機のときのような不況期がまた来ないとは思っていないため、余裕資金がまったくなかったり、色々とリスキーなポジションな人にはお勧めしたいとは思っていません。リーマンショック時にかなり悲惨な目に遭った友人を見ていますし、自殺をした企業人も見ていますので、リスクをどう取るかは人それぞれであって、私が責任を取れるものではありませんから。

ちょっと脱線しましたが、以上、リーマンショック前後で私が見聞き感じたことを少し書いてみました。

次に大きなリスク縮小期が来たら、リーマンショックでの学びがあるので以前よりは落ち着いて行動できると思います。どうせ円高になることでしょうから、トルコやアルゼンチンに旅行にでも行こうかな。