斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

日本最低3連発(設備投資、自然科学分野での引用論文数、コンテナ船寄港)から、日本株に長期投資する気持ちが萎えた

NISAの制度拡充が金融庁から提案されています。

NISA、長期運用に重点 「資産所得倍増」へ一歩: 日本経済新聞

期間の恒久化、金額の拡充、つみたてNISAへの一本化などなどが提案されているようで、どこまで採用されるかは分かりませんが、資産所得倍増計画という話もあるので、多少は改善すると期待しています。

と、金融庁的には世論の後押しを求めての今回の提案と理解しているので、私も自分の意見を表明しておきます。

で、今回仮に拡充されるとすると、岸田さんが今年5月の英・シティーで「Invest in Kishida!」と言っていたので、日本企業に投資をしやすいような仕組みにするんじゃないかと思います。

私は日本経済・日本企業の成長性が低いと考えているので、日本株にはこれまで一切投資をしてきていませんでした。ただ、制度が変わって、投資に何らかの優遇があるなら、日本企業に投資をしてもいいかなと少し考えていました。

※グラフはGoogle Financeで作成。上からS&P500、DAX、FTSE100、Nikkei225

そんなことを考えていたら、Alexaの本日朝のフラッシュニュースで、次の報道が流れてきました。

設備投資、ルーキー不在 企業の新陳代謝鈍く成長停滞: 日本経済新聞

自然科学分野の引用論文数 日本は過去最低の12位に後退 | NHK

日本、港湾の競争力低下 コンテナ船の寄港20年で最低: 日本経済新聞

こういう個別の情報で、投資をするかどうかを判断するものではありませんが、私はこれらのニュースを聞いて、「やっぱり私は日本株には長期投資はできない」と思いました。

※長期投資=数十年ぐらいの期間での投資

設備投資は当然ながら企業の成長の源泉です。株主から集めたお金、銀行から借りたお金、儲けたお金を成長のために投資をして、企業は成長をしていきます。日本企業の設備投資水準はOECD加盟国でも最低水準の成長率で推移しているというのが、一つ目のニュースです。これでは、日本企業は長期的に成長しない。

※左のグラフが企業の設備投資金額の過去水位。日本は30年でほぼ横ばい

二つ目のニュースは、過去3年間での日本の自然科学分野での引用の多い論文数が1981年からデータを取り始めて世界の各国とのランキング上、過去最低になったというものです。背景は色々あるでしょうが、要は日本初での革新的な技術が生まれにくくある、または、他国の技術をパテント料を払って利用する必要が増えるということですから、これもまた、日本及び日本企業の長期的な成長が厳しいなと思いました。

三つ目のニュースはちょっと分かりにくいですけど、日本の港の港湾競争力が落ちたというものです。完全に中国や韓国、そしてベトナムに国際ハブ港としての地位を奪われている状態です。コンテナ船が日本に寄らなければ、日本のコアな業種である製造業では、調達もそうだし、販売面でも、コスト面・リードタイム面で不利になります。これも、長期的に日本企業の競争力を奪うと思いました。

以上のニュースを朝から三連発で聞いてしまったせいで、日本株に長期投資をする気持ちが一気に萎えました。NISAで何らかの拡充がされても、よほどのことがなければ投資はできないなと。

ついでに、次のニュースもさらに私の気持ちを萎えさせました。

管理職に占める女性の割合 12.3% 前年度を0.1ポイント下回る | NHK | ジェンダー

企業の規模別に見ると▽10人以上30人未満の企業は21.1%だったのに対し、▽5000人以上の企業では6.7%と規模が大きいほど女性管理職の割合が低い実態がうかがえます。

厚生労働省は「女性管理職の割合は長期的に見れば上昇傾向ではあるが、国際的にはまだ低い水準だ。女性の活躍は企業にとって多様で新たな価値を生み出すとして投資の際の判断材料にもなってきていて、企業の環境整備が進むよう促していきたい」としています。

※太字はtopisyu

2030年までに女性管理職比率を30%にすると経団連は宣言(以下)しているのですが、こんな状況では確実に達成は不可能です。

話は変わりまして、今年の夏は、子どもたちにロシアでプログラマーが大量国外脱出した例を用いつつ、

「もう、ロシアには戻りたくない」 最大17万人のIT人材が出国か [ウクライナ情勢]:朝日新聞デジタル

海外のどこでも生きていけるようにしたほうが将来選択肢が増えて得だよと紹介したら、子どもたちの英語を勉強するモチベーションが上がったようで、以前より気軽に、夏休み中ほぼ毎日、オンライン英会話をしてくれるようになりました。

話は戻って、日本の停滞した経済状況は、何も政治家や経営者が凶悪というわけではなく、日本人が長いこと望んで作り上げてきたものだと私は考えています。私は、PTAでも、職場でも、尖がった人間を尊重するより排除して、集団で責任を曖昧にして合理性の乏しい判断をする"大人たち"をたくさん見てきました。

個々人、そして集団として、こういうあり方を望んできたものですから、私は望まないとしても、結果として日本に住む人たちの多くの人の総意として、今の日本がこうなっているという理解です。

私個人で、多少でも世の中を私の望む姿になるよう、できることはやっていくつもりですが、個人資産の投資と、子どもの教育投資は、海外志向は引き続き変わらないだろうなと思った次第です。

今日はこんなところです。ではでは!