斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

若い人に「成長するために何をしたらいいか?」と聞かれて『株式投資』を勧めている理由

今は機会も減ってきましたが、若い人を指導していると、「今よりももっと成長したいのだけれど、何をしたらいいか?」と質問されることがあります。

アウトプットの期待値調整の仕方は必ず伝えていたのですが、それ以外としては、余ったお金があれば株式投資(個別株である必要はなく、インデックス投資でOK)をお勧めしていました。

コンサル一年目が学ぶこと

コンサル一年目が学ぶこと

  • 作者:大石哲之
  • 発売日: 2014/07/31
  • メディア: Kindle版
 

※期待値調整について知りたければこちらをどうぞ。タイトルはコンサル一年目とあるけど、いくつになっても使える仕事の基本スキルが書かれています。

その理由をちょっと書いておきます。

お金がかかってるから興味が湧く

みなさんご存知の通り、何かを学習するときには知ろうとする気持ちが非常に重要です。好奇心があって、スモールステップで学習内容が提供されれば、習得は早いものです。嫌々やってたらなかなか身につかないですよね。

で、株式投資をするというのは自分の身銭を切る(正確にはなくならないので切ってはいない)ことなので、自分のお金がどうなるかが気になるようになります。株式市場への興味が湧くんですね。

株式市場の理解は少し先と少し前の社会の理解

それで、株式市場に興味が湧くと何がいいかというと、少し先と少し前の社会への理解が深まるようになります。ああ、完璧な因果関係はないですから、そこまでは期待しないように。

少し先というのは、株価というのが実体経済の先行指標であると言われていることから(コロナ禍では乖離しすぎているが)、株式市場での値動きが何によって起きているかの報道に注意を向けていると、まだ実体経済では数字に落ちていないことが株式市場には反映されることがあることに気付くようになります。例えば、アメリカ政府がグリーン政策に舵を切るという話が出ただけで、実際には企業の業績に即座に影響はなくても、クリーンな企業の株価がハネます。

少し前というのは、株価は先行指標であると同時に、実際に企業の業績がマーケットの想定と外れていたときには、遅行指標として株価が下がることがあるからです。特に個別銘柄を見ていると、「コロナ禍でマスクが売れる!」という期待で買われていたのに実際の決算はそうではなかったなんてことはザラです。

このように株式市場に興味が持てると社会の動向と個別企業の決算に徐々に興味が持てるようになります。

個別企業のファンダメンタルへの興味が財務・会計の理解に

社会との接点が多くないと通常は興味は持ちにくいので、社会の動向自体に若いときに興味が持てるのと同時に、個別企業の決算への理解はとても有効な武器になります。財務とか会計の知識が身についていくんですね。

自分が起業をしたり、個人事業主になったりするときもそうだし、企業の中でマネジメント職になるときもそうだし、会社を複合的に分析する機会があるときにも、財務とか会計の知識はとても有効です。

自分が作った・働いている・取引先の資金繰りが厳しいことをさくっと理解できるのと理解できないのとでは、仕事をしているときの解像度がかなり違います。

ただ、何も手掛かりがないと多くの人は財務や会計を勉強しようとはしないものなので、そのきっかけになるために、株式投資を私はお勧めしています。

JALとANAを比較して現在ANAが厳しい理由を10年ぐらいの財務諸表を分析して考えるだけでも相当財務と会計の理解は深まるはずです。

おまけとして、金銭的リターンとリスク感度

ここまでが主題で、ここからはおまけなんですが、株式投資をしているとおまけとして金銭的リターンが得られ、リスク感度がおおよそ分かります。

金銭的リターンは言わずもがなですね。基本的にはr > g > rfなので、インデックスに長期投資していれば金利・GDP成長率以上のリターンが大体は得られます。大体は。配当とか譲渡益を通じて税金に興味を持つのもとても有意義。

それも大事だけど、投資スタンスとして自分がどれくらいリスクを取れる人間かを把握できるのも意味があります。今年の2月に怖くて売っちゃったというのであればリスク回避型だし、保有は当然でかなり突っ込んだということならリスク選好型というのが分かります。

自分のお金へのリスク感度というは普段はなかなか意識する機会がなく、多額の住宅ローンを背負ったり、子どもの教育費がガツンとかかったりするときにようやく気付いてあたふたすることもしばしばです。

若いうちから自分のリスク感度を把握しておくというのは仕事に限らず有効だと私は考えています。

補足

金額の多寡は各人の判断に任せていました。「全部なくなるとかなり悔しい金額」ぐらい。

投資先の株式は国内でも海外でもいいですが、上記の目的なら最初は国内のほうがいいでしょうね。各人の判断。インデックス(個人的には株式の投資信託)でいいとしているのは、何も投資経験がない中で第一歩としてお手軽だからです。取っ掛かりが何もないより格段まし。

FXは社会への感度は高まるけど、基本的にゼロサムゲームであり、また、個別銘柄にまでは興味が向かないので、個人的にはお勧めしません。

債権は同じく社会への感度はそこそこ高まるけど、値動きが少なすぎて上に挙げたものがそこまでは得られにくいかなと思います。

オルタナティブアセット(不動産とか)は、別のロジックが働くので、好きな人なら。

最後に、「あなたは投資をしなければならない」とは言っていません。

また、もっと詳しく聞きたければメール(etsuko.topisyu@gmail.com)してください。