斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

悩んでいる人との会話で「上手いこと言えた!」と思ったら失敗。話を聞くのが基本

福井県池田町の中学校の、男子生徒の自殺に関する報告書(概要)を読みました。

中学校生徒自死に係る報告書概要について | 福井県池田町

この報告書、今現在は、

※御遺族様の申出により、調査報告書(概要)の当ホームページへの掲載は差控えさせていただいております。

とのことで、公開されていません。気になることはTwitterで一通りコメントしましたが、一点だけ触れ忘れていたことがあったのでブログに書いておきます。それは、「自分が一方的に話して、相手が話す機会がなければ、相手がすっきりしようもない」という話です。

 

この調査報告書(概要)には、担任・副担任による男子生徒への様々な(後から見れば)不適切な言動が紹介されていました。その中の一つに、保健室での担任と生徒とのやり取りがあります。

現在は非公開になったものを引用するものでもないですから、ざっくり説明すると、「保健室で担任と生徒が話す機会があり、担任は生徒がもろもろ納得したと思ったけれど、保険の先生が聞いている限りでは担任が一方的に話しており、生徒にはモヤモヤが残っている様子だった」というエピソードです。

担任・副担任による男子生徒のやり取りは、ほとんどがパワハラに近いもので、自分がすることはあり得ないものと思うかもしれませんが、

福井 男子中学生自殺報告書全文に書かれていたこと | NHKニュース

このエピソードでのやり取りは、結構多くの人がやりがちなものだと私は思いました。相手が納得していないことを、こちらが一方的に説明さえしてしまえば、納得させることはできるという発想。

だいたい、他人が何か納得するのは、話者のロジックが理解できるからじゃなくて、その人にとってロジックが通ったからですよね。「何かこの人、私の話に納得してないな?」と思ったら、やるべきことは「もっと説明しよう!」じゃなくて、「なぜ納得していないか、この人の考えをもっと聞こう!」とするもので。その上で、もし幸運にも、相手の話を聞けることができて、色々会話ができたとしても、最終的に納得するかしないかは、その人の判断です。

これ、説得される側になってみれば当たり前のことなんだけど、説得する側だとなかなかできないんですよね。「なんで納得しないの!?」って話を聞くより、ついつい説明しようとしちゃう。

この担任の先生は、一方的に話しておきながら、生徒に対し「すっきりしたか」と聞いたそうです。生徒はほとんど話してないんだから、すっきりしようがないんだけど、逆に、すっきりしたのは、たくさん話せた担任の方だったと思うんですよね。

悩んでいる人の話を聞く機会があったときに「私、上手いこと言えた!」と思ったとしたら、それはだいたい失敗しているときで。他人との会話の良し悪しの判断は、自分がどう話したかじゃなくて、他人がどれだけ話してくれたかを基準にするといいんじゃないかと私は考えています。 

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  • 発売日: 2014/05/09
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※イラスト版が出てた。