斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

いじめ事案の第三者報告書は再発防止のため各自治体の教育委員会は原則公開して欲しい(報告書のリンク集付き)

千葉県柏市、市立柏高のいじめ自殺についての今年3月の第三者委員会の調査報告書を共同通信が再度取り上げて話題になっていました。

吹奏楽部の部員が自殺、長時間練習「過労死ライン超え」が背景に? 第三者委員会が明らかにした千葉の強豪校の実態 | 47NEWS

結果として平日で約5時間半、休日で約11時間の練習が行われていたと認定。「平日で2時間程度」などとした国の文化部ガイドラインを大きく超過していた。1カ月で計192・5時間となり、生徒が受ける授業時間(平日7時間と仮定)も含めると計346・5時間に。これは、労働者の「過労死ライン」とされる1カ月当たりの総労働時間(240時間)を大幅に上回っていた。

この件を我が家では家庭内で話をして、文化部の中で吹奏楽部は練習時間が長くなりがちであること、被害者は逃げる発想が思い浮かばないぐらい追い詰められうること、日本国内でこの手の事案は珍しくないことなどを子どもと共有しました。

せっかくなので第三者委員会の調査報告書を見に行こうとしたら、私の探し方の問題か、見つけることができませんでした。せいぜい会議が行われたという事実だけです。

柏市いじめ重大事態調査検証委員会会議録 | 柏市役所

文科省は第三者委員会の調査報告書に関するガイドラインで基本的には報告書を公開することを推奨しているんですけど、公開されていないか、または、公開されていても情報がざっくり黒塗りされているなんてことはしばしばあります。

せっかくなので、直近1年間での第三者委員会の調査報告書の公開状況を軽く調べてみたら次のような感じでした。

17事例で全面的に公表しているのは7事例、黒塗り多めが2事例、期間限定公開が2事例、概要版のみ公開が6事例です。ちなみに、公開・非公開は教育委員会が判断しています。

全面的に公開

黒塗り多めで公開

期間限定で公開

概要のみ公開

少し前の調査では"2015~2017年度に重大事態の発生を認めた 47 の自治体のうち、26 自治体は調査結果を非公表"で、私が調べた限りで全面非公開の事例は柏市の件ぐらいかもなので、公開自体はされるようになってきており、前進はあるかもしれません。(もしくはたまたまGoogleの検索結果で偏りがあったか)

ただ、まったく公開しないよりかは良いものの、概要版では何が起きていたのかを把握するのが難しいし、期間限定公開も後から読めないし、黒塗り多めで公開するのも再発防止の観点では問題があります。

ちなみに、マスコミに批判されていましたが、大阪堺市の調査報告書は本当に真っ黒で何が起きたかまったく分かりませんでした。

www.fnn.jp

特にいじめの認定事実の部分が5ページぐらいに渡って真っ黒です。報告書の20%ぐらいが黒塗りされています。

堺市調査報告書p.10より。真っ黒すぎて引用とさえ言えないかも

被害者および家族(遺族)による要望で公開しないという判断に至ることはあるにせよ、調査結果の検証可能性および他地域での発生防止のためにも、必要な部分に限定して黒塗りして、各自治体の教育委員会は調査報告書を公開をしてもらいたいところです。

ちなみに、非公開の事例では、各自治体に対して公文書開示請求をすれば公開されることもあります。どうしても読みたい人は手続きを踏んでみてください。

総務省|情報公開制度|開示請求できる文書・できない文書