斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

「女性より男性の方が性別を理由とした制約や推奨を受けている」「男の子は男の子らしく、女の子は女の子らしく育てるべきと考えている母親は4割、父親は6割」

タイトルは、公表されたばかりの最新の男女共同参画白書からです。次の一節。

第2節 進路選択に至る女子の状況と多様な進路選択を可能とするための取組 | 内閣府男女共同参画局

(女性より男性の方が性別を理由とした制約や推奨を受けている)

「多様な選択を可能にする学びに関する調査」によると,親や家族から,勉強や進路,将来のことについて,性別を理由に制約を受けたり,推奨されたことがある割合は,勉強及び進学,職業選択のいずれも男性の方が高くなっている。特に勉強は男女差が大きく,かつ若年層で男女差が広がっている。年代別に見ると,女性は若くなるほど言われた割合が低くなっているが,男性は20代が32.8%と言われた割合が最も高くなっており,女性と異なる傾向を示している(I-特-19図)。

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結構衝撃的な調査結果ですよね。どの年代で見ても、男性より女性のほうが性別を理由とした制約や推奨を受けておらず、そして、女性は年を追うごとに家族からの制約が減っていっていると感じているのに、男性はほとんど変わっていない!

この背景に何があるのかなと、男女共同参画白書のほかのページを見ていて、たぶん、これが繋がっているのかなと思うものがありました。

一つは、子どもに対する調査で、働く上でのイメージや進路選択において影響を受けたものとして、

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※グラフはI-特-17図 働く上でのイメ-ジや進路選択において影響を受けたもの | 内閣府男女共同参画局から

男性は父親から、女性は母親からの影響を受けていることが多いという調査結果。もちろん異性親からも影響は受けているけれど、同性親から受ける影響のほうが多い傾向があるというもの。

これに加えて、親に対しての調査で、「男の子は男の子らしく,女の子は女の子らしく育てるべき」と考える人の割合で、

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※グラフはI-特-5図 「男の子は男の子らしく,女の子は女の子らしく育てるべき」と考える人の割合 | 内閣府男女共同参画局から

母親はぐぐっと下がって直近の2014年では40%なのに、父親はまだまだ64%と高い。調査方法が毎回同じというわけではないので、経年推移を追うのは必ずしも適切ではないかもだけど、少なくとも、男女の比較で、現時点で父親のほうが「男の子は男の子らしく,女の子は女の子らしく育てるべき」と考えている人が多い可能性があるのはうかがえます。

この3つの調査を並べてみると、女性は、影響を受ける女親の意識の変化もあって「女の子だから」という制約が薄れているかもだけど、男性は、父親の「男の子は男の子らしく」にまだまだ縛られている可能性があるんじゃないかというのが何となく考えられます。

この辺は、誰かがしっかり研究していることでしょうし、男女共同参画白書の統計だけでどうのこうの言い切れるものではないでしょう。ただ、現代日本の男の子の生きにくさの背景には、「男は男らしく」という考えを持つ父親や、加えて、管理職の男性比率が高い会社組織はあるのではないかというのは、何となく感じるところではあります。

この、明らかに労働環境に問題がある朝日新聞の男性記者の場合でも、

父親「モヤモヤ」語っていい?仕事と家庭のやりくりが… [父親のモヤモヤ]:朝日新聞デジタル

役員のうち女性は30人に5人しかいません(社主を除けば4人)。これでも以前よりかは改善しているのだけれど。

ちょっと飛躍がありますが、日本の男性の生き辛さを軽減するために、父親の負担感を減らしたり、女性の管理職を増やしたりする必要があるのではないかなと思ったりします。

子育てをする中では、「男の子なんだから女の子に優しくしなさい!」と言っている親を見かけることがあるんですけど、私にはピンと来ません。別に、女の子が男の子に優しくしていいし、男の子が男の子に優しくしてもいいと思うから。一般に、個人差は性差より大きい。