斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

離婚は会社の倒産・親族の死・別居と並ぶ凶悪なストレス源。時にワンワン泣くの超大事

以前、グリーフケアを取り上げたときに、配偶者との死別は最凶のストレス源であり、適切に悲しむことがその後の回復のために大切だと紹介しました。

【配偶者との死別】「子どもの成長をともに見守るパートナーがいなくなったらどうしますか」【グリーフケア】 - 斗比主閲子の姑日記

ということで、死別後に悲しむのはたぶん大事。もちろん、悲しいという感情が抑え込まなくても出てこないというのなら、別に無理して悲しむものではないんでしょうけど。

ちなみに、私が好きな、吉田秋生さんの『海街ダイアリー』という漫画では、第一話で、夫に先立たれてワンワン泣く妻と、父親が死んだけれど母(正確には継母)を世話するために葬式で異常にしっかりしている娘が登場します。

ここでも死別後にワンワン泣いているほうが強いという描かれ方がされています。何かと登場人物の察しが良すぎるんだけど、やっぱりこの辺の描き方は凄くいい。

そのときに、配偶者との死別のようなライフイベントがどれくらいストレス源になるかが点数化されていることも合わせて紹介しました。有名な『ホームズの社会的再適応評価尺度』です。

この尺度自体はアメリカで作られたものですけど、他の国でも応用が効くのは確認されています。日本人を対象にしたものを調べていて、見つけたのが、こちらの論文(夏目『出来事のストレス評価』 - 日本精神神経学会)です。結果の一部を紹介します。

f:id:topisyu:20180118230559p:plain

※表の赤線は筆者。

サンプル数は1600人ちょっと。私のブログで取り上げることが多い離婚は、配偶者の死、会社の倒産、親族の死に次ぐ4番目のストレス源となっています。離婚は生活環境がかなり変わります。人生設計にも影響ある。ライフイベントの中で上位のストレス源であるのは当然といえば当然で。 

あくまで傾向ですから、 同じライフイベントが発生してもケースバイケースでストレスをそれほど受けないことはあります。表で見て分かる通り、年齢・性別によっても差は出ています。私も親族の死はあまりストレスにならなかったけど、転職は結構きました。 

ただ、渦中にいるせいで自分では気付けないけど、実際にはストレスを感じていることもあります。離婚なんかは、時にプロセスが面倒で、それなりのパワーが必要になるので、ランナーズハイみたいな感じで、その時は何とか気を張って耐えられちゃったりします。忙しさで辛さが忘れられるみたいな。後になって「正直しんどい……」とジワジワと感じる。配偶者との死別の場合なんかは、悲しめないと地雷が埋まることになる。

ストレス源として凶悪なライフイベントが発生した・しそうなときは、「辛いことがあっても私は大丈夫!」と自分を鼓舞することがあるけど、「辛いことがあるから私は大丈夫かな?」と思って、周りの人に意識的に労ってもらったり、休暇を取ったり、リラックスできる環境に自分を置くといいですよね。後は、泣くのがいい。泣くのはストレスを緩和させます。

涙とストレス緩和 有田 秀穂

ストレス回避や安静・睡眠は消極的な方法である.一方,積極的な制御系の逆転は,涙を流すことである.

忙しいと泣いてる暇もない感じになるけど、時にワンワン泣くの超大事です。泣くのは弱いことじゃないんですよね。泣くことで今をサバイブできる。

冒頭で紹介した海街ダイアリーじゃないですけど、私は辛い時にちゃんと泣ける人は強い人だと思います。