斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

DV事件の報道で被害者が『10代の妻』であることを強調する必要はあるんでしょうか

先日、とある経済評論家がDV容疑で逮捕されました。

その件に関する報道で、妻が10代であることをタイトルに持ってきた(スポーツ誌以外の)主要メディアの報道が以下の通りです。

傷害容疑:経済評論家の三橋貴明容疑者逮捕 10代妻殴る - 毎日新聞

10代の妻殴打で逮捕の三橋貴明氏が釈放 ブログで“騒動”を謝罪 マスコミ批判も(1/2ページ) - 産経ニュース

三橋貴明容疑者を逮捕 10代の妻を殴るなどした疑い 経済評論家(朝日新聞がハフポに記事提供したもの)

他にあるかもですけど、私が見つけたのは毎日、産経、朝日のこの三紙です。タイトルにわざわざ妻の年齢を入れるということは、この三紙では年齢がニュースバリューがあると判断したんでしょう。確かに、そこに反応している人はたくさんいました。

ちなみに、直近の著名人のDV逮捕事例として、作家の冲方丁さんが2015年に逮捕されたことが報道されていますが、この三紙含めてタイトルで妻の年齢が記載されたものは確認できませんでした。

ニュースバリューがあると判断したのはそうなんでしょうけど、報道機関のスタンスとして、DV事件の報道で妻の年齢が10代であることをタイトルにまで入れて強調する必要はどこまであるんでしょうか。他の事例と同じように記事の中で"妻(10代)"とするのではダメなのか。

そもそもで言えば、逮捕時点では容疑を否認していたようだし、さらにいえば、判決が出ていない段階で報道機関が実名報道すること自体どうかと思いますけどね。逮捕時の実名報道は、村木厚子さんの件があってからも改まらない報道機関の悪癖です。

障害者郵便制度悪用事件 - Wikipedia

【音声配信<完全版>】「村木厚子事務次官(当時)が語る、郵便不正事件の冤罪問題」2013年11月26日収録(TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」)

それはそれとして、年の差カップルであることを強調して報道することに何の問題があるかに話は戻してまして。

次に紹介するのは、私の以前からのネットの友人(Sさんと呼びます)のコメントです。

被害者が『10代』であることを強調すると、年の差カップルに何か問題があるように思わせるんじゃないか、実際の年の差カップルが傷つくことになるのではないかという指摘です。

この指摘を見て、そういえば、Sさん自身がマイノリティ視点で呟いていたことを思い出しました。

ハーフに対する差別意識と同じようなものが年の差カップルに対しても世の中には何となくありますよね。

一方で、東京では新成人の8人に1人が外国人だということですし、

東京23区の新成人 8人に1人が外国人 | NHKニュース

年の差カップルも毎年ちゃんといます。

女が40すぎたところでハタチの男と結婚するのは『神話』なのか - 斗比主閲子の姑日記

Four beauties

世の中は多様性を是とするような流れになっている中で、夫婦の年齢差があることをことさらに強調する報道はどうなんでしょうか。私は好ましいとは思いません。

10代の妻だから被害者性が強いとか、言いなりになっているのではないかと考えて、あえて被害者が10代であることを強調するというのなら、はっきりと年の差婚(特に配偶者の片方が10代の年の差婚)に問題があると主張すればいい。それをやらずに、何となく、読者に差別意識を持たせるような形で報道をするのは、報道機関として卑怯で、卑劣だと私は思います。

それにしても、東京で新成人の8人に1人が外国人ですか。留学生が多いんでしょうけど、凄い数字ですね。さすが東京。一方で、都立高の6割が地毛証明書を生徒に提出させているらしい。

高校での地毛の黒染め強要、明るい地毛での卒業式の出席拒否、地毛証明書……多様性はお題目? - 斗比主閲子の姑日記

時代の変化に人々の意識がまだ追いついていないから、色んなところで衝突が起きるんだと思います。色々難しいところはあるでしょうが、まずは報道機関が率先してくれることを勝手ながら期待しています。