斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

"「子どもなし別居希望? それ結婚する意味あるの?」に対する答え"を考える

とある漫画家さんの、このインタビューを読みました。

「子どもなし別居希望? それ結婚する意味あるの?」に対する答え、逆風に立ち向かうということ マンガ『合理的な婚活』著者インタビュー(3) - ねとらぼ

タイトルがこれで、記事に「子なし別居希望で、結婚する意味あるの?」への答えが書いてあるかなと思って読んでみたんですが、少なくともこの記事だけでは、私には答えがあるのは解読できませんでした。

結婚する理由は、天涯孤独の身になりたくないから

気になったので、過去の漫画を読んでみたら、結婚する理由は、第一話に分かりやすく書いてありました。

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※画像はスピネルの『合理的な婚活』第一話より

その理由は、最近、お母さんがガンになり、自分より先に亡くなる可能性が高いことから、天涯孤独になることが想定され、誰か一緒にいてくれる人が欲しいと思ったというもの。

天涯孤独のイメージは、世の中に自分がたった一人だけいるという描かれ方をすることが多いと思いますけど、この人は上のコマで表現されているように、ご本人が深い穴を覗き込んでいるような気持ちになったようです。

お母さんと非常に仲が良いということですから、そういう存在の人がいなくなることがリアルに想像され、パートナーの必要性を認識したというのは、結婚する理由としては割合メジャーな印象です。

この記事が連載の第三話の紹介なので、すでに紹介済みの第一話と重複すると考えて、あまりはっきりと触れなかったんでしょうね。

「引かないガチャは当たらないんです!」 マンガ『合理的な婚活』横嶋じゃのめ先生インタビュー(1) - ねとらぼ

子なし別居したい理由は、親が子有り同居で苦労したから

結婚したい理由はそういうことだとして、子なし別居というスタイルを希望しているのは、掲載された記事の中にはっきり書いています。

母親が夫の浮気で離婚して実家に戻ったら、母親と実家で折り合いが悪いのを子どもとして見ちゃって、「子どもがいないで、お金があれば折り合いが悪い時に一緒に暮らさなくて済む」と考えたからというもの。

この発想も、他山の石というか、自分は親と同じような苦労をしないという、割合よくあるものですよね。

子なし別居での結婚の意味があるとかないとかどうでもいい

とりあえず、元記事のタイトルでの"「子どもなし別居希望? それ結婚する意味あるの?」に対する答え"は、私の中で回収できたので、スッキリしました。

こういうことを書くと、「子なし別居での結婚は意味がないと考えているのか?」と思う人がいるかもしれませんが、特に私は意味がないとは考えていません。というか、意味があるとも考えていないというか。

人生はその人自身の物ですからね。他人の権利を侵害しないのであれば、自分の人生は自分の好きなように生きていいわけで、それは結婚でも同じこと。自分の行動に意味があるかないかは自分で判断するもので、他人がどうのこうの言うものじゃないというのが私のスタンスです。

単に、タイトルに疑問への回答があると書いてあるのに、回答がはっきり書いてなかったからモヤッとしただけです。 

表現作品として期待すること

この作品は、小島アジコさんの『となりの801ちゃん』のことを念頭に置いているようですが、海野つなみさんの『逃げるは恥だが役に立つ』 も意識している気がしました。結婚を合理的に考えるというところですね。

恋愛初期のキュンキュンする感じを味わいたい⇛『逃げるは恥だが役に立つ』 - 斗比主閲子の姑日記

価値観が多様化する中で結婚観も多様化するのは至極当然なので、そういった表現作品が増えるのは、私はいいことかなと思っています。色んな人がいていいというのが広まったほうが色んな人が生きやすくなる。

ただ、現状の結婚という制度は、社会的な仕組みであって、例えば法律婚だと、夫婦同姓にすること、同居すること、離婚時に財産分与すること、貞操義務があること、相続財産があることなどが定められています。税制的なこともモロモロある。これが、事実婚だとまたちょっと違ってるけど同居は前提。

そして、法律婚であっても、結婚をしたことで、天涯孤独な状況を回避できるかというと、必ずしもその等式が成り立つわけではなく。ご存知の通り、1/3の人が離婚しているのが現状です。愛している人から離婚を切り出されて、気持ちが冷めているのを分かって離婚を決断した人や、いつか気持ちが戻ってくれると思って離婚を拒否している人からのメールを私もよくもらいます。

離婚をするために別居をする(体裁を整えて客観的に離婚が成立しているように見せる)のが基本となっているように、結婚は同居を前提につくられているところもあります。

はっきりいえば、現状の結婚という枠組みが作者の理想とする環境を作り上げるのに必ずしも"合理的な選択肢"ではないように見えます。特に、子どもの有無云々ではなく、別居を希望している前提が。

また、既存の結婚の枠組みを希望する人が集うであろう、結婚紹介サービスを使って、既存の結婚の枠組みとは違う形を実現したい相手探しをするのも合理的かと言えば怪しい。ちなみに、結婚する前には子どもがいらないと言っていた人が、後になって子どもが欲しいと言い出すのも、よくある話です。

先ほど書いたように、他人の人生は他人の物だから、今の婚活の仕方を否定するつもりは私にはありません。ただ、一つの表現作品として、この辺のところをいかにクリアーしていくかを描いてくれたら私は嬉しいです。それこそ、後ろに続く人たちにとって希望というか、目標になるだろうし。

個人的には、この人がしたいことを実現するのであれば、既存の結婚制度を利用するのではなく、自分たちでカスタマイズしたパートナー契約を結ぶ、そのパートナーも二人の考え方が変われば契約を切って新たな人とパートナー契約を結ぶというのが回答になるんじゃないかなと考えます。