クリスマスシーズンなので愛の話を一つ。
毎週欠かさず見ているWeb媒体にTroubleshooterというのがあります。読売新聞の『人生案内』を英訳したもので、読者が個人の悩みを相談し、識者がそれに答えるというもの。その最新の相談に、15歳の女の子による失恋エピソードがありました。
TROUBLESHOOTER / I’m 15 and hate myself after rejection by childhood love - The Japan News
Dear Troubleshooter:
I’m a 15-year-old girl, and I’ve been depressed after being rejected by a childhood friend for whom I’d had feelings for a long time.
Since I was rejected by him, I’ve hated myself, thinking I’m not good-looking, I’ve got a bad personality and have no good points as a girl.
Recently at school, more and more of my classmates are going out.
内容を要約すると、「ずっと好きだった男の子に勇気を振り絞って告白したら振られてしまいました。それ以来、自分の嫌なところばかり気になり、自分が嫌いになってしまいました。周りでカップルができると嫉妬で苦しいです」というところでしょうか。
相談者さんが一番欲しいのは共感だとして、一般的なアドバイスとしては、
「まだ若いんだから大丈夫。もっといい男の子と出会える機会はあるよ。次いこ、次!」
ですね。他には、
「見た目が気になるなら、化粧なり整形なりするなり、何とでもなる。キーワードは清潔感」
という具体的なものもできるでしょう。更には、
「たぶん片思いでいる間に、彼の存在があなたの中では大きくなりすぎたんじゃないでしょうか。実際の彼はあなたが考える彼とは違っていたのかもしれません。彼があなたと付き合えないのは色んな理由があるからでしょうし、たった一人の男の子に振られたという事実だけで、あなた自身のすべてを否定するのはもったいないですよ」
という方向性もあるでしょうし、現実路線なら、
「15歳ぐらいだと、まだ付き合っている男女というのはマジョリティではありません。周りの全員が付き合っているように見えて、実はそういうのは少数派です。一生性交渉しない男性も女性も10%ぐらいいます。自分から告白できる積極性があれば、あと数年内に彼氏ができる確率はかなり高いでしょうね」
なんて話でもできますね。他には、
「今はとても辛いと思うけど、嫉妬の気持ちがあるのは自分がこのままではいけないという気持ちがあるから。嫉妬は物凄いパワーを持っていて、それを原動力にすると自分でも思ってもいないことができるよ。今は理解できないかもしれないけど、嫉妬を持てないことほど惨めな状態はないよ」
嫉妬をメインに語ることもできます。
<図 デート経験率の推移>
※画像は、日本性教育協会 | 研究事業について | 第7回青少年の性行動調査から。この調査はとても面白い。
自分としては、失恋をして自暴自棄になっている人には、
「人に愛して欲しいならまずは自分を愛することですよ」
という話をしたいところです。実際自分が10代の頃にこういう話をしたとしても到底理解できなかったと思いますから、ちょっと大人向けですかね。
この理屈は簡単で、自分が自分のことを好きでないと、人から好かれてもそれを信じられないからです。「なんで私のこと好きなの?」「あなただったら他にもっといい人がいるでしょう」みたいに思っちゃう。
美人局というか、罰ゲームで、誰かに好意を伝えられることがないわけではないですが、そういうのは全体からするとごく限定的なものです。好意というのは自分のどこかを本当に相手がいいと思っているから成り立つ。
せっかく人が自分を好きになってくれる可能性があるのに、自分から自分の価値を貶めていては恋愛が成就する土台ができあがりません。
そもそも付き合ってもいない段階ではいいところも悪いところも分かっていることは稀ですからね。セックスの相性も分からないし、相手にどれだけ借金があるか、DV歴があるのか、姑がどれだけお金に意地汚いかなんてことも分かるわけがないわけで……。
ちょっと脱線しちゃいましたが、人に愛してもらうためにはまずは自分のいいところを見つめてみて、自分自身で自分を評価しておくといいですねという話です。
自己評価が上手くできない人には恋愛市場における自分のSWOT分析をするのがお勧めです。
OとTは個人目的としては上級者向けなのでまずはSとWから始めます。自分の強み(Strength)と弱み(Weekness)をホワイトボードや紙に書き出してみる。弱みについては、それが強みに転換できないか考えてみる。"恋に臆病"というのが弱みなら、裏を返せば"ハマれば積極的"ということかもしれない。自分で思いつかないなら、家族や仲の良い友人に聞いてみる。
自己評価というのは得てして過剰だったり、外れていたりするものです。一見すると物凄い遠回りに見えるかもしれませんが、自己評価が不安定な中での恋愛ほど茨な行為はそうそうありませんので、年に一度棚卸しとして、恋愛市場における自分の強みや弱みを分析してみるのもいいのではないかと思います。