斗比主閲子の姑日記

姑に子どもを預けられるまでの経緯を書くつもりでBlogを初めたら、解説記事ばかりになっていました。ハンドルネーム・トップ画像は友人から頂いたものです。※一般向けの内容ではありません。

読売新聞の人生案内「こんなクズ産むんじゃなかった」に痛快に答えて問題は解決するのか

読売新聞の人生案内が珍しく話題になっていました。

このブログでは人生案内を英訳したTrouble shooterを何度も紹介している通り、私は人生案内が好きです。サイドバーにもTrouble shooterへのリンクを発言小町のランキングとともに載せています。

毒になる親 一生苦しむ子供 (講談社+α文庫) 

※いつもの

 

人生案内ファンにはそれぞれお気に入りの回答者がいるでしょうが、私は精神科医の野村総一郎さんが好きです。回答に優しさとロジックがある。(好きでない回答者についてのほうが人生案内ファンの間では盛り上がる定番ですが、そもそも誰が回答者か知らない人の方が多いでしょうから割愛します。)

 

それで今回の相談というのは、5/19(木)の読売新聞の朝刊に掲載されたもので、

  • 40代のシングルマザーの会社員の女性(C子さん)が
  • 同居する両親のプレッシャーの中で
  • 高校3年生で勉強熱心な娘と比較して
  • 部活を辞めさせられて以来スマホのゲームばかりしている中学3年生の息子について
  • 「こんなクズ、産むんじゃなかった」と言ってしまうぐらい、苛立ちを隠せないので
  • 息子を更生させるべきなのかと悩んでいる

というものです。これについて、このC子さんは酷く、大学教授の大日向雅美さんの回答が痛快だと話題になっているようです。

 

私は相談サイトでの相談内容に自動的に回答が思いつく典型的な発言小町ユーザーです。私は回答をしたいというより、回答をするおこぼれとして、ほっこりエピソードをシェアしてもらいたいだけですが、回答をするのに慣れすぎてしまって、自動筆記のように回答文が思い浮かんでしまいます。

この相談についても、私ならどう答えるかという回答文が自動的に頭の中に降ってきたので、せっかくなので書いてみます。

 

想定回答

C子さん、お仕事をしながらの子育てお疲れ様です。ご両親から子育てに口出しされるのは大変なストレスではないでしょうか。

息子さんを更生させるべきかについては、そもそも今行われている、

  • 子ども同士を比較する
  • 部活を辞めさせる
  • 子どもの存在を否定する

は教育上、好ましい影響がないことを理解してください。息子さんが思春期であればなおさらです。息子さんが反発するのが理解できなければ、C子さんがご両親から息子さんに関する小言を言われた時を想像してください。イライラしますよね? 同じ思いを息子さんはC子さんに抱いているはず。

息子さんがあなたを受け入れるには、まずあなたが息子さんを受け入れる必要があります。息子さんの現状をありのまま受け止め、息子さんの声を素直に聞く。反論なしに話を聞くのは久々ではないでしょうか。

どうしても辛い時には、子育ての無料の電話相談など頼れるところはあります。子育ての辛さを子どもにぶつける前に、他人に打ち明けてみてもいい。楽になりますよ。(423字)

 

回答する上でのポイント

まず、形式的には、読売新聞の人生案内は相談文自体は800字で投稿するものの、実際に掲載される相談と、その回答はそれぞれ400字ぐらいなので、字数はそれぐらいに納めています。

その上で、自分が回答をするときには、

  • 相談者の名前を呼ぶ
  • 相談者を受け入れる
  • べき論を振りかざさない
  • 本人の気付きを大切にする

を押さえるようにしてみました。

悩み事は本人が外に出した時点で解決の道に向かっており、外野としてはそれをサポートすることが求められます。まずは受け入れて、その上でどう対処するか気付きを示唆しつつ、本人に自分の中で解決策を見出してもらう。他人が押し付けた解決策というものは従わないものです。

この悩みの場合は、フルタイムで働く会社員のシングルマザーというところと、実家で両親との同居でストレスを受けていることから、相談者本人の置かれた環境に思いを馳せるといいかなと考えました。問題の本質は息子さんにではなく、ご本人の気持ちにありそう。それに自らの意志で気付く流れにしたい。突破口としては、両親に抱いたイライラを子どもに自覚的にぶつけているところが考えられる。

腹立たしい悩みに対しては、怒りの言葉や説教をぶつけたくもなりますが、これは本質的には、両親がC子さんにしていること、C子さんが息子さんにしていることと同じです。効果がないどころか反発を買うことになる。ストレートな回答で相談者を追い詰めるのは、読者は痛快でも問題はそのまま残ります。

回答者という立場では、悩みに自分の感情を被せるのではなく、悩みはそのまま美味しくいただきたいものだと私は常々考えています。 

 

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